社会保険庁のミスによって保険料を納付した記録が消されていたものの、本人が偶然にも領収書などの納付証書を保存していたおかげで記録が訂正され、本来受け取るべき年金が新たに支給されるのは当然のことですが、これまでは5年を超えた記録には「時効」がかかっていて、記録が訂正されても5年以前の未支給年金は受け取れないことになっていました。今年の通常国会で私たちはこうした時効対象者の中で、社保庁のミスに起因する事例は時効適用外にすること、あわせて5,000万件の宙に浮いた記録の調査、情報管理の問題解決に向けた内容を盛り込んだ「消えた年金適正化法案」を提出し、自身には何ら瑕疵はないのに泣き寝入りするしかなかった方々には年金をお渡しすべきだと主張してきました。

 社保庁のミスによって記録が消されていたものについて、5年の時効適用対象外とする年金時効特例法が施行された7月3日から11月30日まで、ほぼ5ヶ月の間に支給決定された人数は12,088人、お渡しされた総額は90億円になることが明らかになりました。

 これだけの総額が社保庁のミスによりながら「時効」の壁で不払いされていたことにも激しい怒りを覚えますが、新たに支給決定された方々の中で最高年齢者は101才でした。この方にはいくらお支払いされたのか不明ですが、もしこの方が支給時から満額を受け取れていたら、60代でやりたかった事、買いたいものがあったのではないでしょうか。あわせて支給対象者の平均年齢は75才ということもわかりましたが、17日に発表された男性の平均寿命は78.79才ということを考えると、社保庁は本当に取り返しのつかないことを繰り返し行ってきていると言わざるを得ません。

 今日の厚生労働省の説明では、この間に支給決定された12088人の大半は時効撤廃法が成立する以前に再裁定されていた方々で、第三者委員会で社保庁のミスと認定されるような方々には、これから支給決定がされるということです。つまり、社保庁のミスにもかかわらず時効の壁に泣いていた方々へ交付される本来の年金総額はもっと増えることになります。
 
「(公約なんて)言いましたっけ?」
と、発言していた福田総理は昨日になって態度、言葉を一転させ陳謝はしたものの、陳謝したのは党のビラに誤解を招く表現があったことについてお詫びしたにすぎず、政府公約には言及していません。

 公約は選挙用のスローガン。支持率が下がったらお詫びのフリをする。
 とても許容できる政府与党の姿ではありません。
 
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