10万円の収入印紙が2枚並んでいる契約書。

 発注者は社会保険庁、受給者は民間企業で契約額は約5億7000万。

 契約書はこの他に2枚あり、いずれも発注者は社会保険庁で受注は民間企業。契約額はそれぞれ約3億、約3億5000万円。総額12億もの契約が交わされた内容は『5000万件の記録についての名寄せ、及びねんきん特別便の実施にかかるシステム開発業務』です。

 5000万件もの宙に浮いた年金記録を一日も早く持ち主の記録に統合し、お渡しすべき本来の年金額をお支払いするべきだ、というのが私たちの主張です。これに対し、安倍前総理は一年で統合を終えると約束する発言を繰り返しましたが、その公約が守られるかどうかを待たずして辞任、新たに福田総理が誕生しました。福田総理は年金問題について具体的な言及はまだされていません。そうした中、私たちの資料請求にようやく社会保険庁が答えてくれたのが先の契約書です。コンピューターの中で迷子になった記録を名前、生年月日、性別の3条件で名寄せを行なうシステムを開発するために使われるお金が12億円。

 本当にこの契約額は適性なのかいぶかしく思えるのです。

 基礎年金番号記録と受給者給付記録は都内二カ所に分けられ、それぞれ別の企業がシステム開発から運用までを担っています。そもそもコンピューターに入力する際に誤入力をしていたことも社会保険庁の大きな問題ですが、こうしたシステム等にかけられてきたお金を見ると、本当に適性な額なのかどうかという疑問がわくのです。業務委託した二社に10年で支払われた総額は1兆4000万円。年間にかけられる運用資金は850億円。うち、1社には約1000億円の残債があり、それは今後3年かけて返済する予定となっています。さらに、基礎年金番号を管理している庁舎は事業発注先の有する不動産で、社会保険庁は発注先に家賃として平成17年で月額9600万円、18年で月額9200万円を支払っています。さらに言えば、今、使われている旧式のコンピューターシステム全体を平成18年から22年まで5年をかけて新しいものに取り替えるために、社会保険庁は来年度で約1500万円の予算要求をしています。

「システムのため」という名目で、適性価格かどうかの実証や検証、他社との比較なしに随意契約で進められてきた社会保険庁のオンラインシステム。

「極めて緊急を要する場合であることから、現有システムに習熟し、改修のもととなる既存システムについて著作権を有している開発業者と契約を行なうこととしている」とするだけで、詳細な説明なしに社会保険庁は「5000万件の名寄せ」のためとして新たに約12億円もの契約を、安倍内閣改造でメディアや世間の目が新大臣に向けられている8月30日に交わしていたのです。

 全てに反対するつもりはありません。

 ただ、・・・

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