参議院の教育基本法特別委員会で、与党は政府提出の教育基本法改正案の強行採決を行い、法案は数の力で可決されました。
 政府案の法案そのものにも、いくつもの問題がありますが、同時に、国民の声を聞くとした政府主催のタウンミーティングで、やらせ質問があったことは大きな問題です。政府は、そのやらせ質問の声を教育基本法賛成の国民の声だとしてきましたが、質問そのものを偽装していたことで、その姿勢は崩れています。さらに、タウンミーティングに要したお金の使い方があまりにも常識からはなれていたことも発覚しました。しかも、一回1000万円もの経費をかけて行われたタウンミーティングの請求書には領収書の添付なしに、お金が正しく使われていたかの確認もなしに支払われていました。
 会期末を狙ったかのように昨日の昼に提出された政府からの、タウンミーティング調査報告書では、見積書と精算書を一緒に作成する「さかのぼり契約」が行われていた事が明らかになりました。内閣府の説明では「後手にまわった」とされましたが、そんな軽い言葉で説明できるものではありません。しかも、8回開催された教育改革タウンミーティングでは、5回でやらせ質問がありましたが、今回の調査報告書では、やらせ質問の原稿を書いた文科省の官僚は誰で、誰が了承していたのかを全く明らかにしていません。教育を所管する文科省が「やらせ原稿」を書いていたことの問題の大きさを軽視しているとしか言いようがありません。当時、官房長官だった安倍総理は、給与を3ヶ月分国庫に返納することで『責任』を取るとしていますが、不祥事の責任の取り方としてはふさわしいとは思えません。
 政府の考えを直接伝え、その場で耳にした国民の声を政策、法案に反映させるタウンミーティングは民主主義国家としては極めて大切なものです。その場でやらせを行ったことに対しての責任を、金銭的なもので済まそうという総理の姿勢に憤りを感じるとともに、法案審議の前提となる教育改革タウンミーティングでの実態調査報告をしないままに法案を強行採決した政府の姿勢には強く抗議をします。
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