小学一年生、36人のクラスで6人6グループに分かれて「作文」を書いている授業を視察してきました。何が一番の特徴かと言えば、教室には、子どもたちに教える大人が7人いるのです。1グループに1人の大人がついて、子どもたちの質問に丁寧に答え、わからない子どもには親切な指導をしています。
前々から噂を聞いていて、いつか視察に行きたいと思っていた三鷹市立第四小学校。ここは、平成12年度から教員、保護者に加え地域の方々に参加してもらいながら学校運営を展開する「参加型コミュニティスクール」を始めています。PTAの方、学校の卒業生を子どもに持つ親御さん、学校のOB、OG、地域に暮らす方々で、子どもたちの夢育(子どもたちに夢を持ってもらえる学び舎を目指していることから、この小学校では教育を夢育と呼んでいます)に参加してくれる人をNPO法人に登録してもらい、専門知識•技術を持つ人はコミュニティティーチャーに。算数や国語の授業の学習支援者や各種行事の指導補助として参加するスタディアドバイザーに。自らの趣味や特技を解放された空き教室で課外の選択活動として指導をするきらめきボランティアになって学校に参加をするのです。今や登録者は217人。年間に活動に参加をした人は2600人で、平均すると週に60人の地域の方々が学校活動にボランティアとして参加をしています。
私の視察をした授業では、1人の学校の先生と、残る6人はSAと呼ばれるスタディアドバイザーでした。これだけ多くの大人に見守られて授業を行う子どもたちは、先生に質問する時間を「待つ」ことなく、SAの先生に積極的に話しかけている姿が印象的でした。小学生の授業では、生徒が、わからない箇所に悩んで、先生に聞く機会を失ってしまい、いつの間にか授業が面白くなくなってしまうことがありますが、この小学校では多くの大人がそうした機会を作らないように気を配っています。
第四小学校では、参加型コミュニティースクールで「人間力を育む」ために、授業を変えるだけではなく、子どもたちにキャリア教育、起業家教育として職業体験活動や起業体験活動も行っています。この体験は地域の方々がコミュニティスクールに参加しているからこそ積極的に行えるものです。
校長先生と学校関係者の方にお話を伺って感銘したのは、
「コミュニティスクールは目的ではなく手段です。コミュニティスクールになって『何が出来るか』が目的です。」
「私たちは勤労感を子どもたちに与えたい」
「小中学校で『夢』を持ってもらって、高校でその夢を『志』にしてほしい」
学校関係者と保護者、地域の方々が連携して学校活動に参加し、子どもたちの夢育を育てていく姿勢に魅了されました。
平成16年度に改正された地方教育行政に関する法律で、教育委員会は学校に「学校運営協議会」を置くことが指定できるようになりました。まだ耳慣れない言葉かもしれませんが、子どもたちの教育を学校だけではなく地域の人々が参加して支えていく、同時に学校を中心に地域のつながりを強くする制度だけに、もっともっと多くの学校がコミュニティスクールになることを望みます。