死火山と活火山 | 瀬川爾朗blog

死火山と活火山

数日前、長野県と岐阜県を境する御嶽山(おんたけさん3067m)が突然噴火しました。

土、日と重なり、好天であったがために、多くの観光客の度肝を抜き、悪いことに、死者も多くでました。
偶々私も、この様子をテレビで見たものですから、初めは、人がこの地球に脅かされている姿がよく解かり、なるほどと納得したような気になったのですが、その内に無性に腹が立ってきました。

その瞬間のテレビ映像や、比較のため後刻、新聞の写真等と比較してみて、最初に驚いたのは、御嶽山の頂上山荘や剣ヶ峰山荘などの位置が、此の度の噴火口にきわめて近いことでした。

最近は携帯電話で写真を撮り、それを放送局に伝送する人が多いものですから、テレビを見ながらでも、噴火の状態を家でリアルタイムに実感することが出来る世の中です。


それで、噴火口から吹き出す噴火ガスや噴石を見詰めていると、山荘と噴火口とが僅か数100mの急な勾配で結ばれており、我が家に居りながらも、まるで、家から真下の噴火口を見る思いで、よもやすべり堕ちるのではないかという恐怖に襲われるようでした。

この時一瞬に思ったことは、
観光用の山荘が、こんな危ない所に在っていいのだろうか、

という事でした。

最近の観光地は、大変に用心深くなっていて、危険かもしれない火山などと、人の泊まる宿舎とは、離れすぎるぐらい離れているのが普通なのですが、御嶽山ではそのようなセンスが全くないのではないでしょうか?


御嶽山は、かつては死火山と言われていたようです。噴火のタイプはイタリアのベスビオ山と同じ様式でプリニーと言われていますが、最近の一万年位は動きが鈍く、1979年に水蒸気爆発を起こし、久しぶりに活火山だという認識が蘇ったのです。

一方、御嶽山での溶岩噴出は5000年前に一度有ったらしいというのが、最近の知識です。

私が思うことは、現在の神社を祭っている御嶽頂上山荘等は、御嶽山が死火山だと思われていた時代の構想によるもので、たびたび噴火をする現状を見れば、山荘の配置、構造等を抜本的に考え直す必要があると思います。


この観点から見ると、1700年頃の宝永の富士山噴火についても、300年以上の無噴火時代を経た現在、噴火の再来に対する対策をもっと真剣に考えなければいけないと思います。


最後に、念のために、航空機と火山噴火との関わりについて、敢えて触れましょう。


今や、地球上での救難事業において、航空機・ヘリコプターが果たす役割は極めて大きいと思います。

しかし、災害が起こす異常な環境によって航空機等がその機能を発揮できないことがあります。

特に硫黄などの酸性の液体、気体は飛行体のエンジンを腐食させ、劣化を早めるという害があります。

現在、御嶽山の現地における大気中の硫化水素等の濃度について、警察や自衛隊が大変に神経質であるのは、人に対する害と同時に航空機の機能を損なわないようにという配慮が成されている為でしょう。


私はこれも、自然の災害から身を守るための、大事な基本方策であろうと思います。


平成26年10月1日
瀬川 爾朗