「浅田真央」と「なでしこジャパン」
昨年の12月25日、フィギャースケートの全日本選手権女子最終日に浅田真央(中京大、21歳)が5度目の優勝を果たした。
先月の9日に母の匡子さんを病で失った直後のことでもあり、その心構えと慎重さには頭の下がるものがあった。
大阪府門真市がその会場である。
このフィギャースケートの上位者による会が翌日開かれ、真央は最後に登場して、母も一緒に選曲したリスト作曲の「愛の夢」で応えた。
1年半前のバンクーバー・オリンピック世界大会で、中国のほぼ同年のキム・ヨナ嬢と闘い、惜しくも2位になった時に比べ、舞の雰囲気はまるで異なっていたと見てよい。
この大会は国内選ではあったが、当時と比べ、真央の振る舞いはまさに慎重そのものであった。
国内選であるので2位の鈴木明子、3位の村上佳菜子ともども、なかなかの慎重な舞ではあり、今後が期待されると思う。
さて、それではサッカー女子ワールドカップ(W杯)に話を移そう。
日本時間で昨年の7月18日にドイツ・フランクフルトで行われ、日本のチーム「なでしこジャパン」が、なんとワールドカップを獲得したのである。
相手は米国の女子チームであったが、その差し迫った力のぶつかり合いは、日本人ですら目を回すような出来事であった。
少なくともこの時点でほとんどの日本人は日本が米国に勝つとは思っても居なかったのである。
勝負が決まったのは18日の午前5時ごろであった。
実は私も日本が決勝進出だということ知って、初めてテレビにしがみ付いたのである。
やまと撫子は日本における花の愛称である。
最近はよく使われる。
「なでしこ」というと日本という言葉の次に日本らしい言葉だという人もいる。
主将の沢穂希もゴールキーパーの海堀あゆみも、つい昨日までは知らない人が多かったのではないか。
それにも拘らず、あの素晴らしい体の動きを見て、全員がファンになったのではないか。
このように昨年は、3月11日の東日本大震災津波をきっかけとして日本は滅びるのではないかと思う一方で、その視覚をさますがごとく、特に女性の側からすばらしい掛け声がかかってきた。
それの何というすばらしさか。
これはまるで、太平洋戦争は男の戦いであったものが、男が静かになるとともに、次には女性が飛び上がってきたか、と思うようである。
まさに人間の助け合いとはこのことなのかと思わせるようだ。
それにしても、大地震と大津波は、よく考えてみるとまるで違うものではないか。
大地震は岩石の亀裂に沿った強い超すりあいから生じる大きな振動がもとで、その動きが数10メートルに達する。
一方、津波は基本的には海底と海面との相互作用によるが、人間(動物)の住居地と大地との間の相互関係により、時に大きな破壊と生命の焼失が起こる。
今回の大震災による1つの結論は、現状の設備では人間は数10%の命を失うことと、仕事場と休息場を上手に区別するために交通手段もさらなる工夫が必要なことである。
この両者を上手く組み合わせたものが地震予知であるが、組み合わせ方の論理がいまだはっきりせず、新しい考えが生まれない限り、当分現状が続くのではないだろうか。