兄って、モテるんだ!!

と、こみちが徹底的に認識したのは、兄の中学の卒業式の日だった。

 

当時、学生服の第2ボタンを好きな男の子に貰うハート

というのが流行っていたので、

兄は何個ボタンをあげてくるんだろう~

と、こみちは炬燵でぬくぬくしながら、兄の帰りを待っていた。

 

それまで漏れ聞いていた話から、何となくモテているんだろうなぁ

くらいは思っていた。

でも女子からすると、いくら好きだといっても

ボタンを貰うのは勇気が要る事だろう…

みんなが皆、好きな男の子にボタンを貰いに行ける訳じゃない。

 

1個という事はなくても、2~3個くらいかな?

それにしても、遅いなぁ…

と思っていたら、やっと帰ってきた。

!!

なんと、学生服をはだけて帰ってきた!

『前のボタンが全部無いー!!』ポーン

と叫ぶこみちに

「おぉ!こっちも無いぞー!!」

と、両袖を出した滝汗

「お、お兄ちゃん、前も袖も全部ボタンあげてきたの?びっくり

 

「それがさぁ、どんどん皆貰いに来るんだけど、

もうボタン無くってさぁ、それを知った子達が泣き出しちゃって」

「で、泣きながら何か下さい…と言うんだけど、卒業式だから何も持ってなくてさぁ」

『ほんでどーしたの?』

「だもんで、しょーがないで生徒手帳出して

人数多いから、一枚づつ千切ってあげたら凄く喜ばれた」

 

そらそーだろぅ

あの年頃の女の子は、好きな男子の手帳の切れ端だって宝物になるのだろう。

よく解るよ…

 

「ほら、なっ?」

と言って取り出して見せてくれた生徒手帳は、ペッラペラだった。

 

お、お兄ちゃん…

あなたって人はぼけー

 

という訳で、この兄がこみちに凄い影響を及ぼした事だけは

間違い無いえーん