39歳既婚。
乳がん1年生。
4年前からしこりはあったので
遅咲きのデビュー。
やっと治療が始まる。
まずは月曜日に職場の
上司に報告してしなくては。
市の施設のサブ職員で
パート扱いだから
長期療養休暇の取得は無理だろう。
まだ勤めて半年。
治療に専念したいので
出来れば退職の方向で
話を進めたい。
なんて考えていた
穏やかな日曜日の昼下がり。
出先から真っ赤な顔をした
ジジイが帰宅した。
明らかに様子がおかしい。
「朝から頭が痛くで呼吸しづらい。」
なんですと？？？
体温計を渡す。
38度8分。
キャァァァァァァー。
職場が休日診療所。
速攻で向かわせる。
まさかね。
そんなはずないよね。
ジジイ帰宅。
「インフルエンザＡ型だった。
肺の音がおかしいから
明日病院でレントゲン撮ってもらえって。」
あぼーん。
私はただの風邪だったのに。
なんてこった。
しかもジジイは薬アレルギー。
医師も散々迷ったあげく
リレンザという吸うタイプの薬を処方したようだ。
イタリア娘みたいな名前だな。
これ吸ってアレルギー出たら
救急車呼ばなくちゃ。
とりあえず隔離して寝かす。
もしかして肺炎を併発している？？
気が気でない。
もしジジイも入院することになったら？？
ポートどころじゃねーな。
部屋をのぞく。
薬が効いているのか
爆睡していた。
アレルギーは出てないようだ。
だけど安心は出来ない。
夜になると今度はおかんが
熟れたトマトみたいな顔になっている。
「大丈夫。何でもないから。」
おかんの大丈夫は
大丈夫じゃないことが多い。
無理やり熱を測らせる。
38度2分。
…駄目だこりゃ。
おかんはインフルかどうか
分からないので別の部屋に隔離。
翌日から殿が早出で5時起き。
火曜から私が1泊2日で入院。
両親がインフルエンザの可能性大。
しかもジジイは肺炎かもしれない。
考えれるだけで発狂しそうだ。
どうなるんだ蓮華一家。
神さまー
これ以上いじめないでくれー。
困った時はカレー。
カレーがあればなんとかなる。
夜中にカレーを作る。
この日はほとんど眠れず。
翌日。
ジジイとおかん
ヨレヨレになりながら朝一で病院へ。
職場には事情を話し
休みをもらう。
おかんが先に帰宅。
「…インフルエンザだった。」
やっぱり。
「お父さんはインフルエンザの菌が
肺をいたずらしているんだって。
点滴打ってから戻るよ。」
肺炎じゃなくて良かった。
それにしてもインフルエンザ菌
いたずらが過ぎるだろう。
おかんもジジイと同じ部屋に隔離。
とにかく殿にはうつさないでくれ。
まてよ。
ジジイは家仕事。
おかんは専業主婦。
どっからうつったんだ？
もしかして…
私が職場から菌を運んできたのか？？
私…運び屋？？？
ガビーン。
もしや私の場合は食事療法で
免疫力上がって
ただの風邪で済んだのか。
そうだったらやりがいがあるぜ。
喜んでいる場合ではない。
ジジイ帰宅。
点滴を打ったせいか
昨日より見違えるほど元気になっていた。
「お腹空いた。」
「おかゆ作ろうか？」
「いやカレーが食べたい。」
大丈夫かジジイ。
ガツガツ食べる。
案の定腹下す…
このーすっとこどっこい！
ジジイも隔離部屋へ。
1時間後部屋をのぞく。
2人してスヤスヤ寝ていた。
しかもジジイの寝顔が
私と瓜二つ…
疲れがドッと出た。
薬が効いたせいか
夜には2人ともかなり熱が下がっていた。
殿が帰宅。
「明日の入院延期した方が良いよね。」
「俺は大丈夫だから。
治療が遅れちゃうから行きなよ。」
ジジイとおかんにも確認。
「自分達は大丈夫だから行きなさい。」
本当に大丈夫かよ。
不安を抱えつつも
入院準備をする。
結局この日も
ほとんど眠れなかった。
記念すべき初入院。
最悪のコンディションで
朝を迎えてしまった。
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