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話題作が多くそろった春ドラマだが、見ていて気になるのが「掛け持ち出演」の多さだ。ここ数年の傾向がいよいよ加速し、主要キャストとして2本、3本を掛け持ちしている俳優が15人くらいいる状態。「こっちでは善人役、あっちでは悪人役」という感じで受け手は混乱するし、胸焼け感も否めない。民放テレビマンによると、背景には「テレビ局が弱くなった」という事情もあるようだ。

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今期、放送担当記者の間で特に話題なのが、3本に出演しているオダギリジョーと谷原章介の2人。

◆オダギリジョー…テレビ東京「リバースエッジ 大川端探偵社」(主役の探偵)、フジテレビ「極悪がんぼ」(悪徳刑事)、TBS「アリスの棘」(新聞記者)

◆谷原章介…TBS「ホワイト・ラボ」(科学捜査班スタッフ)、フジテレビ「SMOKING GUN」(刑事)、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」(竹中半兵衛)

2人とも、作品の中でかなり重要な役どころを掛け持ちしているのが特徴で、オダギリは主演ドラマと同時進行というモーレツぶりだ。探偵、刑事、新聞記者という似たような役どころで、3役ともけだるいアウトローというキャラクター。谷原は科学捜査モノが2本というテーマかぶり。TBSでは科学捜査員、フジでは科学捜査員と敵対する刑事というややこしい演じ分けをしている。

民放連ドラにかかわる中堅テレビマンは、ドラマ界の掛け持ち事情について「昔は、かぶってOKなのは大河ドラマくらいだった」。3本、4本掛け持つ人もいたが「番手のかなり低い脇役」に限られた話だったという。

朝ドラや大河ドラマで存在感を示した“NHKお墨付き”の脇役や、高視聴率ドラマで光るキャラクターを示した俳優などが軒並み人気だ。「手堅い実力派は限られているし、プロデューサーによって俳優の起用傾向はある程度決まっている。BSも入れればドラマ枠は増えており、欲しい人材がかぶるケースが多くなっている」。企画書の段階で名前がかぶっており、スケジュールの調整さえつけば、芸能事務所はどの仕事も積極的に取りにいく時代になった。「プロデューサーは、出演者には自分の作品に集中させたいのが本音。昔は『ウチの放送中は他局には出ないでほしい』と言えたものだが、芸能事務所とのパワーバランスが変わり、言いづらくなった。要は、テレビ局が弱くなった」。

演劇出身の実力派がドラマの中核を占めるようになったことも、掛け持ち傾向に拍車をかけている。演劇担当記者によると「舞台では、主役でもない限り、通行人とか1人で何役もこなすことも珍しくない。器用である上、場数も踏んでおり、舞台でも映える個性がある。重宝されるので、結果かぶることが多くなる」。

春ドラマでいえば、生瀬勝久(「花咲舞が黙ってない」「MOZU」)、大杉漣(「ホワイト・ラボ」「花咲舞が黙ってない」)、遠藤憲一(「ロング・グッドバイ」「BORDER」)、古田新太(「ロング・グッドバイ」「BORDER」)などがその主な例。無名塾出身の滝藤賢一は、初主演「俺のダンディズム」のほか「ロング・グッドバイ」「BORDER」の3本に出演中だ。

演劇系ではないけれど、真島秀和も「軍師官兵衛」で重要な役どころをこなしながら「アリスの棘」と「マルホの女」を掛け持ち。「アリスの棘」では死んだお父さん役として回想シーンや遺影で登場するが、1月期の「緊急取調室」でも、天海祐希の死んだ夫役。2クール連続の遺影出演となっている。ひっぱりだこの頂点にいる香川照之は、今期は同じTBSの「MOZU」と「ルーズヴェルト・ゲーム」で重要な役どころを任されている。

視聴率が苦戦するドラマ界で、手堅いキャスティングに人気が集中するのは理解できるが、受け手からすると「きのうも見た」とおなかいっぱいに気分になるのも事実。掛け持っているのが同じような役であれば混乱するし、「あっちで善人、こっちで悪人」と違いすぎるのも混乱する。何でもできる演技力はすごいことだけれど、個人的には、同時進行ではなく、クールごとに違う魅力を見せてくれる方が安心するのである。

特筆すべきはマキタスポーツ。朝ドラ「花子とアン」の教師役、「ルーズヴェルト・ゲーム」の配送課長。「リバースエッジ」の4話にも依頼人としてゲスト出演する。この人だけ、全然見飽きないのはなぜだろう。

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