Brando has a break from filming "Viva Zapata"
(Photo by Hulton Archive)

 

ℝendez-vous が独断と偏見で選ぶ

” マーロン・ブランド出演作ベストテン ”
 

7.「地獄の黙示録」(1979)

監督: フランシス・フォード・コッポラ

脚本: フランシス・フォード・コッポラ、ジョン・ミリアス

撮影: ヴィットリオ・ストラーロ

共演: マーティン・シーン、ロバート・デュヴァル

 

原案となったコンラッドの小説では熱病に冒されミイラの如く痩せさらばえた様子で描かれるクルツだが、映画でこの役を演じるブランドはまるで「岩」を思わせる巨体で自らの王国に君臨する。ジャングル奥地における食料面や衛生面などの諸条件を考えた場合、果たしてそこで暮らす人物が、「地獄突き」を得意としたかつての人気レスラーを彷彿とさせるような立派なボディを維持出来るのかと言ったやや意地悪な疑問が生じないわけではないものの、あの姿を「帝国主義」「資本主義」の象徴として捉えれば、「アブドーラ・ザ・ブランド」とでも呼びたくなる容貌もあながち間違いではない気がしてくる

 

 

Photo by United Artists
 

8.「革命児サパタ」(1952)

監督: エリア・カザン
脚本: ジョン・スタインベック
撮影: ジョー・マクドナルド
共演: アンソニー・クイン、ジーン・ピータース
 
ブランドはメキシコ革命の指導者エミリアーノ・サパタを演じるに当たり、顔に特殊メイクを施しスペイン語訛の英語を操って役に臨んだ。彼は57年に製作された「若き獅子たち」のナチス将校役でも見事なドイツ語訛を披露しており、この辺は形態模写を得意としていた点が非常に活かされているように感じられる。劇中サパタと兄エウフェミオが対立するシーンに迫真性を求めた監督のカザンは、ブランドと兄役アンソニー・クインの双方に「あいつがおまえの悪口を言いふらしてるぞ」的な嘘を吹き込み、憎悪の感情を煽った。従ってその場面で見られる「怒り」を剥き出した二人の表情は演技ではなく本物だ。ブランドとクインの険悪な関係は最終的に誤解が解けるまで何年も続いたそうである。サパタの存在が伝説となることを窺わせる印象深いエンディングはいかにもスタインベック(脚本執筆)らしい

Photo by Sam Shaw
 

9.「蛇皮の服を着た男」(1960)

監督: シドニー・ルメット

脚本: テネシー・ウィリアムズ、ミード・ロバーツ

撮影: ボリス・カウフマン

共演: アンナ・マニャーニ、ジョアン・ウッドワード

 

ブランドとアンナ・マニャーニをイメージして書かれたテネシー・ウィリアムズの戯曲「地獄のオルフェウス」をその二人の主演で完成させた本作の配役は全く申し分がない。30代後半と年齢的に男盛りだったブランドのムンムンする「色気」が画面から匂い立つ感じで、撮影中にマニャーニから言い寄られた話も無理からぬことに思える。ブルース・ギタリスト役のブランドのことを「ギターを弾けそうな雰囲気がしない」と言った映画評論家がいたが、私の目にはどう見てもアメリカ南部の酒場に出入りしているようなブルース・ギタリストにしか映らないのは「贔屓目」だからなのか

Photo by United Artists

 

〈 vol.4 に続く 〉