Veach 論文に関する私的補足(19) pp.272-282 | Chandler@Berlin

Chandler@Berlin

ベルリン在住

p.272 Twice brighter sample

Importance sampling を Light と BRDF に基づいて行なった場合の例が p.270の図9.6に示されている.ここでその図を引用しておく.この場合,bias を避けるために,importance の weight が probability でcompensate されているので,次のような面白い式ができる.

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図1

ここで,hat{w_2} = p_2/(p_1 + p_2).注目するのは,p_1, p_2のこの場合での値である.p_1 が値を持つ領域では p_2 は小さい.p_1 >> p_2,しかし上式は図の赤い線のような,たまたま p_1 の領域で p_2 のサンプルが発生した場合である.一般に p_2 の領域は大きく, p_1 の領域は小さいので,このようなことはほとんど起きない.しかし,起きた場合には,そのcontributionは f/(p_1 + p_2) -> f/p_1 であり(p_1 >> p_2 より),これは p_1 での contrubution に近い.これが,図 9.5(c)の所々の明い点であると説明している.これは面白い.もちろん,これはサンプル数が少ない時のbad luck の一種である.

サンプル数が増加するに従って, p_1 と p_2 の密度の違いから,この「たまたま」二倍明るい状況はなくなっていく.サンプル数が少ない場合の variance が大きい場合の例がここにある.

\section{p.282 Figure 9.12(a)}

図9.12(a)は光源に近い部分に暗くてノイズの多い領域ができる.しかし,この手法は light サンプルであるから,暗いのは light をミスしているからではない.では,なぜか.

この状況ではサンプル点があまりに光源に近いので,cos 項が 0 になってしまうことが暗くなる理由である.

そして,ノイズがある理由は,図2 に示すように,面光源をサンプルする場合, geometry 項がずいぶん変化してしまうためである.ある程度光源との距離があれば,面光源のたとえば,下部と上部をサンプルした場合には距離の差は,距離がほとんど無い場合に比較して安定した距離になっている.しかし極端な場合,light とサンプル面との境界では,距離がほぼ 0 から光源の高さの対角線まで急激に変化する.これがvariance の原因になる.つまり,光源をサンプルしている場合,光源に近いのに暗くてノイズが多くなる,ある意味,近すぎて計算が不安定になる,という状況が発生している.
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図2

謝辞
Thanks to Matthias, Carsten, Daniel.