English version
以前,チャーチ数を箱で作った.1, 2, 3, というような数を機械にもわかるようにどうやって定義すれば良いのかという話だった.この時には計算の話をしていたので具体的な数が欲しかったのだ.数なしで計算の話をするのはなかなか難しいので不自然な話の流れだったかもしれないが,著者の力量ではそんなものである.
以前既に紹介したが,チャーチ数のλ版を再掲しておこう.このあと使う予定だ.
0 := λf x. x
1 := λf x. f x
2 := λf x. f (f x)
3 := λf x. f (f (f x))
ここで重要だったのは,f の数が番号に対応していることだ.0を見てみると,函数の入力は f と x だが,その中身は x しかない.1 は f x で f が一つである.しかし中国ではこのようなものは昔から存在していた.1 を漢字で書くと「一」棒が一本,2 を漢字で書くと「二」棒が二本,そして,3 を漢字で書くと「三」と棒が三本である.以下,4 も 5 も棒の数を増やしていけばこれはチャーチ数そのものである.が,しかし,古代の中国人は知恵があったのでこれ以上のチャーチ数は計算機がでてくるまで実用的でないと判断したようだ.ローマの番号も番号が大きいとここでのチャーチ数のようになる.ところで漢字の 0 は 零である.しかし,いつ 0 が認識されたのかはわからない.日本の古典落語ではこほめで 0 を只と言っていた.つまり値段が「ただ」のただである.