父親殺しの疑いがかかった女性の話を臨床心理士が真実を追求していく素晴らしい物語になっている。

 

 まず、ミスチル「HANABI」の中に、”誰も皆問題を抱えてる”という歌詞がでてくるが、まさに登場人物それぞれに過去の呪縛から解き放たれずいる。それが、最後には見事に解決し、過去と和解するのである。回収のウマさを感じさせますね。

 

 また、作者は文中で用いる言葉に注目すべき箇所がある。”今は、今の中だけじゃなく、過去に中にもあるものだから”と。時間は常に進み、今と時間は、一瞬でしたないことを思い知らされるのである。

 

 さらに、会話のやり取りが絶妙だ。感情的な話にどんどん吸い込まれていく。言葉一つ一つに重みがあって、心理描写が克明に描かれているのである。

 

 この作品が直木賞を受賞したのが頷けますね。まさに必読です。映画化もしてますね。