午前8時10分。スーツを用意する。箪笥の中のほとんどのスーツは数年前に購入したものばかりで、どれも時代遅れの代物ばかり。給料が減り、生活に余裕がないとこんなところにしわ寄せがくるから、ほとほと嫌になる。うんざりしながらもう一本タバコを吸う。
僕と彼女のブログを介して、二人の会話が始まったのはそれからだった。僕は読者になってくれた方全てのブログを読んでいたが、彼女のブログは特に念入りに読んだ。必ずと言っていいほど僕はコメントを書き込み、翌日は彼女が僕のブログに書き込んだ。そんな具合に匿名ではあるけれど公開しているある種の文通のようなものが始まった。それは僕に、フォーマルを装いながら自分を知ってもらうという複雑な芸を強いるものだった。今までは誰のために書いているわけでもなかったが、その頃から僕は彼女の顔を勝手に思い浮かべながら文章を綴った。
見知らぬ人を感じながらその人のために文章を書くという体験は、不思議なものだ。厳密にいうならば、結局、僕は誰のためにも書いていなかった。もはや自分のためにさえ書いていないのだろう。彼女からの連絡を待つために、僕は書きたいのではなく、誰かが僕のために言葉を投げ掛けてくれるのをじっと待つために、書いていた。彼女からのコメントを待ちわび続けた。
僕と彼女のブログを介して、二人の会話が始まったのはそれからだった。僕は読者になってくれた方全てのブログを読んでいたが、彼女のブログは特に念入りに読んだ。必ずと言っていいほど僕はコメントを書き込み、翌日は彼女が僕のブログに書き込んだ。そんな具合に匿名ではあるけれど公開しているある種の文通のようなものが始まった。それは僕に、フォーマルを装いながら自分を知ってもらうという複雑な芸を強いるものだった。今までは誰のために書いているわけでもなかったが、その頃から僕は彼女の顔を勝手に思い浮かべながら文章を綴った。
見知らぬ人を感じながらその人のために文章を書くという体験は、不思議なものだ。厳密にいうならば、結局、僕は誰のためにも書いていなかった。もはや自分のためにさえ書いていないのだろう。彼女からの連絡を待つために、僕は書きたいのではなく、誰かが僕のために言葉を投げ掛けてくれるのをじっと待つために、書いていた。彼女からのコメントを待ちわび続けた。