実は1週間も前に見た映画なのに、印象はいまだ鮮明。

休暇のため別荘にやって来ていた一家3人。
隣人の遣いで、と卵をもらいにきたのは真っ白な出で立ちの好青年だった。
どこか不思議な彼にドアを開けた瞬間、そのゲームははじまる。



タイトルも聞いたことがあり、顔に布を被せられている画も見かけたことがあります。
わたしはもう、こわいお話に隅からすみまでびびるタイプなので、見ることはないだろうと思っていたし、レンタルビデオ屋で『ぼくらの家路』を手に取っていたのに、
目に入ったこのゲームから なぜかどうしても離れられなかった。




車中に流れるおだやかなヘンデルから一転、Naked Cityのメタルが埋め尽くした空間、そのなかでわらう彼ら。
やばい映画の兆候が開始数分で滲み出す。



20分後の約束、姿の見えないジェニー、やけに吠えるラッキー、ゴルフクラブとボール
序盤に登場する出来事・物質すべてが恐怖をつかさどります。
どことなく不気味な雰囲気は気のせいじゃない。事象を、見逃してはいけない。



思わず自ら“巻き戻し”してしまったシーンがあった。
カメラ目線で男が放った「皆さんならどう賭けますか?」「こんなラスト納得できますか?」という言葉。

このゲームは何でもありの最高の不条理。だってファニーゲームだから!
一家を襲う不幸の連続に感情移入していたのも束の間、わたしはいつの間にか“最悪な恐怖”を望んでいるようだった。

納得できるかと問われれば返答はノーであるし、わたしの賭けはウィンであった。



別荘に滞在している・隣人と交友関係にある
どうあがいたってそれが事実であれば誰ひとりとて逃げることは不可能。
ラストだって“予想通り”にたどり着いたが、男がこちらを向き、あの顔ではじまるエンドロールは… 図らずも自分の目を覆ってしまったしあの曲はやはりロックンロール。


もし、彼らが「卵を分けてくれませんか?」とわらいかけてくれば。ゴルフボールが転がってきたら。
賭けの決着は、もうすでに決まっている。

それでも男は聞くだろう。
「楽しいゲームの賭けをしませんか?」「あなたならどう賭ける?」

皮肉で最低で、そんな痛みの先でハネケ監督が伝えたかったことに考えをめぐらせるばかり。
まんまと虜になりました。降参です!






れな