回想6 | 恋愛手帳

回想6

塾であうT君はいろいろ心配しながら探ってくる。

ある日、塾に新しく買ってきたという、ミスチルのCD『Q』を持ってきた。

『どんな曲なの?ちょっと聞かせて♪』そういうと、

『K君が6番と12番のような人だったらいいね』と言う。

その曲の名は、『つよがり』と『ハレルヤ』

聞いてるうちに無性に切なくなった。あったかくて・・・

なんか、ちょっぴりオススメしてくれたT君に似てるねと心の中で思った。



色々有りながらもやってきたK君との二度目のデート☆

目的地はお台場、その日は日曜日。

今度は母にもちゃんと話して、タイトスカートを履いて持ち合わせの駅へ向かう。

お互いに今度は時間通り。

今度はK君も控えめな格好。でも相変わらず、お洒落なジャケット。

『K君って細いよね~っ♪』

『うん…洋服もなかなかなくて…実はこれも女性物なんだよねぇ~(笑)大学の女の子たちには羨ましい~っ!!って言われるけど(笑)』
可愛く笑うK君。こういう場合の女の子達って、どうなんだろ?K君のこと恋愛対象で見てるのかな?

一瞬考えちゃう私…

可愛い系が好きなら、そうかもしれないな~(>_<)
当時は草食系は流行ってなかったからそこまで心配した訳じゃないけど、とにかく今は目の前の事に集中しようと打ち消した。

地下鉄に入ると、目の前の席が空いたので二人並んで座る。

K君がウォークマンを取り出す。

『聞く?』

イアホンの所がクルクル回転して耳にフィットするそれは、すごく肌触りがよく、当時としてはかなり珍しい物だったように思う。

聞こえてきた音楽は19のアルバム曲だった。

自分と趣味がどんぴしゃで凄く嬉しかった。当時は流行っていたから誰でも聞いてたかもしれないけど、健司の声がK君の話す声に所々似ていると思ってK君に伝えると

『19は歌ったことないけれど、シャ乱Qのシングルベッドならよく歌うよ。そ~だっ、オーディションの時、そっち歌えばよかったなあ~っ!!もったいなくて、最後までとっておこうと思ったのが間違いだった(笑)』
なんて言っていた。

歌が好きなのは良いなあって思った。


そういえば、K君の歌は二度ほど聞いたことがある。
一度目は海の家に向かうバスの中でスピッツの『空を飛べるはず』

その時は一番を別の友達が、二番をK君が歌っていた。

もう一人の友達の十八番だったみたいでその子の声がそっくりでK君は残念だったけど。
ちなみに私も乗りで、今井美樹の『プライド』を歌い、みんなの眠気を誘った(爆)

もう一曲目は、宿舎でなぜかクラスの先生も含めて宴会室に集まって、カラオケ大会をした時。

K君は受けを狙って?反町隆史のPOISONを歌ってたなぁ(笑)

『ポイズン♪』ってワザと低い声で言うのがツボに入ってしまった(笑)

その後の玉置浩二の田園がかなり情熱的でギャップがあり、密かに感動した。あれ?バスの中でも歌ってくれて、私がアンコールねだったんだっけな・・・・?

それにしても、興奮してなんか寝付けない夜だったことを覚えている。

歌唱力はどうか分からないけど、味わい深くて好きだったから機会があれば又・・・

・・・なんて、回想から脱線して願望になってきてしまった(汗)


19のアルバムをK君の横に並んで聞きながら、ささやかな幸せをかみしめてた。

途中で新橋につき、ゆりかもめに乗り換えることにする。

えらく行列ができていて、そこでK君が話したのは・・・

最近K君がK君らしくなかった理由が分かる内容だった。

元カノと高校に入ってからしばらくして別れたこととか、

・・・・それって正直すぎるんじゃない?って思う内容だった。

私が知らなくてもいいことなのに話す心境はわからないけど

でも、総じて言えば今の方が幸せっていう意味なのかな?

少しだけ、やきもちじゃないけど、

何にも経験のない私に彼女は務まるのかな?と少し、不安じゃないけど

経験のない自分が悔しい気持ちだった。

過去のこと笑い飛ばしてしまうK君。あきらめてしまっているのかな・・・

真面目に付き合うこと。

怖いのかな?って。

言ってあげればよかった。私は初めてだから、何もかも知らないから大丈夫と。


着くとすぐ、観覧車に乗ろう♪ってことになった。

行列に並ぶ。今、塾にいるT君にアプローチかけられてること正直に話す。

『僕といた方が絶対幸せになれる。なぜなら・・・そばには居れないけど、・・・そうそう、今ちょうど大学で数学をやっているんだ。芸術に数学はいらないと思うだろうけどね(笑)』

『二次関数のグラフ知ってるでしょ?くるみも勉強してると思うけど、大学に通っている僕の方がくるみのことを引っ張ってあげられると思うんだ。でも、その同級生だと、同じ浪人生同士、並行のグラフを描いてるだけで。第一、勉学に集中できないだろ(笑)』

ちょうどその時、T君の聞かせてくれた『ハレルヤ』の歌詞を思い出した。

『座標軸を渡って、無限の愛を、希望を、夢を・・・叶えにゆこう』

私は数学は好きだけど、でも、この恋のグラフに正しい答えはわからないと思った。

平行でも一緒にわたればいい。とっさに、そんな反論を思いついてしまうのだから。


お昼を軽くマックで食べる。そこのマックは普通のところと違ってサッカー観戦できるお店のような作りだった。

沢山の人の中、空いてる席を見つける。

近くの人がつまずいてジュースをこぼす。

間髪入れず、ティッシュを出すK君。

私『なんでわかったの?』

K『常に周りを見渡してるから』

私はK君の顔しか見えなかったから、すごく驚く。

急に無言になるK君。

私『ぼーっとしてたでしょ?(笑)』

K『いや、常に考えてるよ。ぼーっとしてることなんて一度もないよ。』

そう言ったK君のこと、ちょっぴり尊敬した。


K『せっかく来たし、海でも見に行こうか♪』


お台場の海浜公園まで歩く。

途中、近くのコンビニに寄る。ちょっと小腹がすいて・・・と言うK君。

何を買うのかと思ったら、『チョコチップクッキー』

甘党だなぁ♪と思いつつ、『私も好き♪』と言うと、半分分けてくれる。


『お台場の海にはトビウオがいるんだ』とK君はいう。

『それって本当?』半信半疑な私。

海をのぞくと、夕陽が跳ね返った水面から、ぴょんぴょんと元気よく跳ねる魚がいる。

『ほんとだ♪』

『でしょ?』

その魚の正体はわからないけど、かなり高くジャンプしていたから、ちょっと信じてみる。

未だ、正体は知れず。

周りはカップルだらけ。

K君が近付いてきた。またしても、肝心な時に逃げようとしてる私。

まずい、塾でT君に何て言えばいい?なんて思ってる。

この状況まできてなぜ?

『くるみは顔はばっちりだよ。でも・・・もう少し足が細くなれば完璧だよな♪』

会うたびにそんな冗談をいうK君も最後までわからないから?

冗談?いや、

違う、私むしろ痩せ体系だし、もしかしたら過去の彼女と比べているのかもしれない。

比べていないにしても、ありのままの自分を愛してくれないのかなと不安を感じて・・・


・・・そう頭をよぎったとき

K君が止まった。

よかった・・・助かった。

とてもとても怖かった。

K君『さて、今日はかえろっか。』

なんでなんだろう。K君好きなのに、どうして駄目なんだろう?

私『ごめん、K君のこと大好きなんだけど、どうしても今は無理なんだ。』

K『残念だけど・・・また会ってくれる?』

私『もちろん!こちらこそ、また会ってほしいです。次はどこいこっか?』

K『うーん・・・・ラブ○かな♪』

私『え~?!!嘘~!』

K『ほんと』

私『他には?』

K『ラブ・・・(以下略)』

そんな冗談を言いながらその日は家まで帰りましたとさ。



正直、捧げた以上、一生一緒にいたい。

体を簡単には許したくなかったんだ。

K君のこと大好きだけど、そのことわかってくれてたのかな?冗談じゃなくて。

口には出せども、拒むとその先にはすすまなかったK君。

それをいいことに私も私で、当時はほっとしたいたんだ。ごめんなさい。今ではもう、いう術がないけど。