失恋の前触れ | 恋愛手帳

失恋の前触れ

部活も頑張っていたけれど、成績も下がらなかった。
それが裏目に出て親に
「塾やめなさい。もう一人でできるだろ」
と言われてしまった。反論する言葉も見つからなくて、やめるしかなかった。

片思いの人との連絡手段は呆気なく途絶えた。

でも私はテニスを続けて行くことがあの人への想いを続けていくことなんだと信じた。
幸いに、たまに会う友人からは彼の話を聞くことが出来た。

だけど、段々会わなくなってから様子も変わってしまったようだ。彼はもはや想像の人でしかなくなった。

悲しいけど、もうこれ以上どうすることも出来ないのかな。
丁度その頃、席が前の子と恋の噂をされることもあった。毎日その子と話すのが日課であった。

高校生にもなって、ちょっと話したくらいではやし立てるなんて大人気ない行動だなあ、そう思いながらも、相手の顔も悪くないし、別に悪い気分じゃなかった。

たまたまその子がテスト前に休んだからノートを貸してあげた。ふと友達と寄り道した帰り道、テスト範囲がプリントもあることを思い出した。テストの日まで日にちがない。

困るだろうなあ。
そう思って、近くの図書館の前の電話ボックスから電話を掛けた。
妙にドキドキした。
電話口に随分年の離れたお姉さんが出た。
「まだ帰ってないのぉ。ごめんなさいね」

それから家に帰って暫くしてから電話が掛かってきた。

「もしもし。あ、そうだったんだ~。え?持ってきてくれるの?悪いよ。じゃあ、中間地点の○○駅で。」

先に私は駅に付いた。もう陽は落ち始めていた。夕陽が綺麗だなあ。
最近帰り道を変えたばかりの私はぼーっと駅を眺めていた。すると向こうの方から

「ごめんね!待ったあ?」
と軽やかなステップで走ってくる子がいる。制服姿と違って妙に新鮮で、なんとなく初恋の子と似ていた。男の子なのに笑顔がかわいい。

「とりあえず、座ろっか。」
ベンチとも言い難い、椅子が一個ずつ乗っかった長いすみたいなものに腰を掛けた。丁度オレンジ色のライトに照らされて、夜のせいかムードがある。毎日通っていたのに気がつかなかったなあ。

そこでテスト範囲のプリントを広げているだけなのに、楽しくて、ついつい世間話が弾んで帰りたくなくなってしまった。噂みたいに、好きと言いたくなってしまった。でも会ったばかりだから、信じてくれないんだろうな。

別々のホームに降り手を振った。電車に乗り込んだのにまだ手を振ってくれている

きっと、人がいいのだろう。

いつまでもいつまでも、手を振ってくれているのをみて

頭の中でなぜだか槇原敬之の曲が流れる。嬉しくてたまらないはずなのに

失恋の曲。

きっとこの恋は始めてもうまくいかない。

そんな気がした。

でも、恋はそんな気持ちとは関係なく進んでしまう。