こんにちは。
ゴールデンウィーク、1日目は思いのほか寒くなりましたね〜。
久しぶりにコートを着ました。🥶
今日は、私の好きな作家・小川洋子さんの魅力について綴ってみたいと思います。
小川洋子さんの文章の特徴は、「映像的」な所です。
見えるものを書く描写の量が、おそらく通常の3倍くらい。
でも、それが決してクドくない。
むしろ、情景がスーッと浮かび上がるように美しいのです。
その描写力があるからこそ、見えないはずの感情までも、自然と伝わってくるのだと思います。
たとえば、かなり過去の作品になりますが、
**『博士の愛した数式』**から印象的なシーンを。
どこかで悲鳴が上がった。
「危ない」
と、博士の声が耳元で聞こえた。打球がルート(主人公の息子)の膝をかすめ、足元のコンクリートに突き刺さり、大きくバウンドして背後に飛んでいった。
博士はルートに覆いかぶさっていた。首と両手を精一杯にのばし、絶対にこのか弱き者を傷つけてはならぬという決意をみなぎらせながら、全身でルートを包み込んでいた。
「どこかで」「かすめ」のところでは言葉によって静謐さが漂っています。
また、意識しているのでは?と思うほどに、すべてのトーンが静かで丁寧。
「覆いかぶさっていた」だけでも十分伝わるところを、
「精一杯のばし」や「決意をみなぎらせ」などの描写で、
博士の必死さと優しさ、強い意志がビリビリと伝わってきます。
読んでいて、心があたたかくなります。
もう一つ、こんなシーンも。
「数学の女王と呼ばれる分野だね」
缶コーヒーをごくりと飲み込んで、博士は答えた。
「女王のように美しく、気高く、悪魔のように残酷でもある。一口で言ってしまえば簡単なんだ。誰でも知っている整数、1、2、3、4、5、6、7・・・・・・の関係を勉強していたわけだ」女王と呼ばれる分野だね」
このシーンを読むと、自分の仕事の専門分野って何だろう…と考えさせられます。
私は戦士かもしれない。ときどき、味方を攻撃してしまう戦士。
日番谷冬獅郎のような…(わかる人にはわかる!)
そして、小川洋子さんの作品には、どの登場人物にも優しさがある。
そこも大好きなポイントです。
ちなみに小川さんは中国地方のご出身。
ほかにも、中国地方出身の漫画家といえば、岸本斉史先生(NARUTO)や
久保帯人先生(BLEACH)など。
私の大好きなBLEACHの作者と共通点があるなんて、心が昂ります!
映画監督の大林宣彦さんも中国地方のご出身なので、また作品を見返したくなりました。
みなさん、映像的技術力が高く、かつ人気を博した表現者たちです。
以前聞いた分析によると——
- 中国地方: 映像的・象徴的・内省的。自然や歴史との対話を重視。
- 近畿地方: 会話的・日常的・多層的。人間の滑稽さや社会の皮肉に敏感。
中国地方的な特徴をもつ作品がとても好き。
自分がそういう表現者になりたいかどうかは別として、都会で生きづらさを感じたとき、そっと救ってくれる、心を安定させてくれる作品なんだと思います。
そんなところが、小川洋子さんの作品の「いいな」と思うところ。
これからも読み返したくなる、心に優しい文学です。