息子の友人で、御三家に進まれた男子くんのママさんから、

 

「えー うちはマンスリーとかでクラスと偏差値維持できたら漫画5冊、表彰されたら10冊、とか普通に買ってあげてるよ」と聞いたのが、息子が小学5年の頃。

 

おお、子どもをご褒美で釣るのはダメな親・・・て、ネットにも子育て本にも書いてあるからうちは手伝いや勉強については何もあげずに来たんですが、少し大きな節目の何かの時にはそういう方法もありですよね・・・と、身近で大成功している例を見たので思いました。

 

とはいえ、もらわないとやらない!という風になっても困るので、基本は何も与えないまま我が家は淡々とサピ通いを続けましたが、

 

小学6年の12月・1月。

あまりにも大量な社会の暗記積み残しと理科・算数の演習の日々に、ついに息子がストレスを感じたのか、空き時間に漫画ではなくインターネットの通販サイトで欲しいレゴブロックのおもちゃのページを探しまくり、「栄東受かったらこれ買って!」「早稲田佐賀も受かったらこれ買って!」と言い出し、「2月、受験いくらでもやる!9校受けて9校受かったら9つレゴ買って欲しい!」と言い出したのです。

 

おお・・そんなにたくさん買ってどうするの・・と思いましたが、

ゲームも封印されていたこの時期、迫りくる本番のプレッシャーと毎日朝から嫌な社会の暗記にも向き合わなければならないというストレスで、彼の中でもう「何かニンジン(ご褒美)がゴールの後にぶら下げられてないと頑張れません」という時期になっていたのだと思います。そう感じるほどに、特殊な特別な時間を過ごしていたのがこの二ヶ月間でした。

 

なので、「いいよ」と言いました。

 

とはいえ、我が家は2月は9校も受けません。

そこは、受けるだけの学校のままで、合格した学校数だけ、レゴブロックを買って欲しい!という彼の願いに、いいよ、と答えました。

 

正直、もっと小さな幼児の頃から、何か一緒に頑張ろう、というときに

ご褒美を鼻先にぶら下げたことはありませんでした。

ので、この時も「そんなもので釣っていいんだろうか」と、一抹の不安と罪悪感を覚えました。

 

が、大人の自分から見ても、中学受験をするこの時期の小学6年生のストレスというものは、測り知れないほど大きくなっていると感じられたのです。

たった10分、レゴを検索してその画面を見て思いを馳せて、受験が終わったらレゴをたくさん作るぞ、と思うくらい、いいじゃあないか。

そう思えました。

 

結果的に、この約束が最後の最後、息子にとっては原動力となった部分もあると思います。

暗記に飽きたり、疲れると、レゴの画面を見て「これはすごい!絶対作りたい!」と、ろくに大好きなものづくりにも時間を取れていない現状の中で息子は精一杯夢を見ることができていました。

 

結果、合格した学校の数のとおりに、息子が欲しいと願っていたレゴを2月中旬以降に手に入れることができました。

それはとても喜ばしいことだったようで、自分で頑張ったから、これが手に入ったのだ、とその後レゴを作りながら大事にして妹にもなかなか触らせようとしません。

 

賛否両論、もしくは否定的な意見が多いかもしれない、ご褒美システム。

 

普段の掃除や家事手伝い、宿題なんかではそんなものは出しません。出したことがありません。

 

月々のお小遣いも6年生で600円。それも全く使わない。基本的には普段はとにかく物欲がない息子の、

受験期間中に最高に煮詰まったその時に願った「僕にこのニンジンください」のメッセージ。

 

そのメッセージを無視することは到底できないくらいに、過酷な受験生の冬でした。

 

ちなみに、その過酷すぎる冬を超えた今、学校の宿題や課題をやるのにいちいち「じゃあレゴ買って」なんていうことは一切ありません。そんなことをお願いしても聞き入れられないことがよくわかっているからだと思います。

 

アメとムチ、という言葉がありますが、中学受験はまさにムチだらけの日々。

ちょっとぐらい、アメを与えてあげても良いのだと思いました。

息子にもう一度中学受験があるなら、もうちょっと早くアメをあげるべきだった、とすら思います。

 

いいと思います。育児本やネットのサイトはそれはそれ。

我が家は我が家。それぞれの親子のやり取りの中で、子どもにとっての最適なやり方を、親も一緒に考えてあげられたら、たとえそれが「ダメな育児だ!」とされるやり方の一つだったとしても、それでよかった、となることだってあると思いました。

 

むしろ・・・・

 

なんのご褒美もなしに、最後まであのサピや過酷な中学受験の日々を走り切れる子って、ちょっと色々特殊じゃないですか?とすら思いますよ・・・

 

それはそれですごいですけど、ザ・一般人でザ・普通の子な我が家にはご褒美が必要でした・・・。