13.サマータイムレコード



昨日も今日も晴天で
入道雲を見ていた

怠いくらいの快晴だ
徐に目を閉じて

「それ」はどうも簡単に
思い出せやしない様で

年を取った現状に
浸ってたんだよ


大人ぶった作戦で
不思議な合図立てて

「行こうか、今日も戦争だ」
立ち向かって 手を取った

理不尽なんて当然で
独りぼっち 強いられて

迷った僕は
憂鬱になりそうになってさ

背高草を分けて
滲む太陽睨んで
君はさ、こう言ったんだ
「孤独だったら、おいでよ」

騒がしさがノックして
生まれた 感情さえも
頭に浮かんでは萎んだ

「幻なのかな?」


秘密基地に集まって
「楽しいね」って単純な
あの頃を思い出して
話をしよう

飛行機雲飛んで行って
「眩しいね」って泣いていた

君はどんな顔だっけ
なぜだろう、思い出せないな


痛いくらいに現実は
足早に駆け抜けた

選んだ今日は平凡で
崩れそうになる日々さ

昨日の今日も延長戦
大人だって 臆病だ

今になってなんとなく
気付けたみたいだよ

廻るセカイのイデア
枯れる太陽 炎天下
陽炎が揺らいだ

「忘れないで、さぁ、進もう」

もどかしさに何度でも
明日を夢に見ていた

戻らない、先のある世界へ
「僕たちで変えよう」


「思い出して、終わったって。
秘密基地も、冒険も
あの日に迷い込んだ話の事も」


独りぼっちが集まった
子供たちの作戦が
また今日も廻り出した

「また何処かで。」

「涼しいね」って言い合った
夏空は透明だ

泣かない様に、吸い込んで
「さようなら」しよう

秘密基地に集まって
笑い合った夏の日に

「また何処かで思い出して
出逢えるかな」って

何度でも描こう
11.マリーの架空世界


同じ声 同じ風景に
気付けずに 心は弾むのでしょう

また次の同じ未来も
新しく思えてしまうのでしょう

「どうしたの?わからないよ」
君の目は固く閉じて

夕焼けの色 伝う涙は
切に願う 心を赤く染める


「あのね、また明日も次の日も
君と居られたなら、嬉し過ぎて」

きっと私は、ただ繰り返す
君と明日の空を眺める為

いつか望ていた世界に出逢う為
10.アヤノの幸福理論


思い出していたのは また、家族の事
「アヤノはお姉ちゃんだから 皆の事、よろしくね」

赤煉瓦の壁 小さな家の中で
ひそひそ話そう 秘密の作戦みたいに
連れて来られた 三人の真っ赤な目には
大人に隠していた 過去がある

怯えた顔で 「僕は化物だから」
私は告げる 「そんなことはないよ」って
「真っ赤な色は主人公の色だから、怯えていなくても、良いんだよ」

面白い事 悩んでは 今日もお姉ちゃんぶって
「ほら、見ていて」 赤いマフラー巻き付けた
「秘密組織みたい!」

茜色、染めて、始めよう 小さな「ヒーローのフリ」だけど
「少しでも、また笑えたら」って 今日も家族でいよう

「幸せ」を願おう、先にある未来が どれだけ 悲しくても
「このことは秘密だよ」 楽しくて陽が沈んだ

春風巡り 大人になった世界は
理不尽に曲がる 誰かの陰謀みたいに
膨らんで消えた 愛する人の涙は
誰も気付けなくて、黒くなる

狂い出していた 気付いたら もう
誰にも 言えなくて
「嫌だ、嫌だよ。壊れるのは」
幸せの終わる世界が来る

「茜色、お願い。これ以上、誰かの未来を壊