9.ロスタイムメモリー


数年経っても影は消えない 感情ばかりが募って行く
踞って一人描いていた
炎天直下 坂道の上 滲んだ僕らが歩いていた
夏の温度が目に残っていた

「構わないでよ、」「何処かへ行ってくれ」君の手を払った
「行かないよ」なんて言って君は僕の手を掴んだ
「五月蠅いな」僕はちょっとの先を振り返ずに歩いた
『本当の心は?』


「聡明」なんかじゃ前は向けない 理由が無いから腐って行く
巻き戻ってくれれば良いのにな
何年経っても僕は死なない 希望論ばかりを唱えている
当然今日も君は居ないのにさ

「構わない、死ねよ、死ねよ」って手首を握って、ただ呪って
何も出来ないでただ、のうのうと人生を貪った
「夏が夢を見せるのなら、君を連れ去る前へ」なんて
照れ隠しした日々が 空気を照らして脳裏を焦がしていく

18歳になった少年 また何処かで待っていたんだ
カゲボウシ滲む姿を思い出して
炎天下に澄んだ校庭 笑っていた君が今日も
「遊ぼうよ」って言ってユラユラ揺れた


「心配です」と不器用な顔 隣人なんかには解んないさ
悲しそうなフリをしないでくれ
朦朧、今日も不自然でいよう 昨日のペースを守っていよう
君の温度を忘れない様に

叶わない夢を願うのならいっそ掠れた過去を抱いて
覚めない夢を見よう 当然の様に閉じ篭って
「それじゃあ、明日も見えないままですよ?」
それならそれで良いさ
つまらない日々を殺す様に手を染め、『一人』を選ぶから

18歳、腐った少年 また今日も祈ってたんだ
色めいた君の笑顔にしがみついて
炎天下に「どうかいっそ連れてってくれよ」なんて
呟いて息を静かに止めた


「聞こえていますか」と声が消えた
理由もなんだか解っていた
夏の温度に手を伸ばしていた

炎天下、願った少年 「あの頃」に立っていたんだ
夏めく君の笑顔は変わらなくて
「死んじゃった。ごめんね」なんて
「『サヨウナラ』しようか」なんて
寂しいこと言わないで 往かないで
カゲボウシがそんな僕を見つめていたんだ
オツキミリサイタル


「もう、どうやったって無駄かもな」
泣きそうな顔 見ていた

「諦めないでよ」みたいな
言葉じゃ 全然足りない!

「そしたらもっと元気を出さなきゃ、
明日も眩んじゃう!」って

君を連れ出していく
無理矢理かなぁ


日差しにブルーになる
君のこと やっぱ正直心配だ

瞳が潤んでいく
「弱虫な僕には、ダメだよきっと・・・」


だけど信じる、君だから。
真っすぐ前を向いて?
ホントにダメな時は、君の心を支えてあげる。

『いっそ』なんて諦めちゃ
絶対ダメだから

ねぇ、一緒に進もう?
『独りぼっち』を壊しちゃおう、ほら!


「どうなっているんだか解らない」
君はまだ泣きそうだ

溜め息ばっかで 目を瞑っちゃ
ほら、絶体絶命!

「もっと頑張んなきゃ想いも
昨日に消えちゃう!」って

街を駆け出して行く
無理矢理だね


夕暮れ ブルーになる
日差しが閉ざしていく
その一瞬で

たちまち嘆いた顔

音も無く 涙が零れて消えた

酷く小さなこのセカイが
大きく牙を剥いて
「一緒に居たかったな」と
君の心を俯かせる

小さな言葉じゃ
もう全然届かなくても

力になりたい

「助けたいんだよ。叶えてよ、ねぇ!」


「信じる、君だから。」
本気の声出して
「絶対ダメなんかじゃない!
君が望めば、また出会える!」

大きな深呼吸で
遠くのお月様に 弱気な君が
「やってやるさ!」と
叫んでいた


・・・少しかっこいいかな。まぁ。
7.アウターサイエンス


矮小(ちいさ)く惨めに生きた生命が
死んではドアを叩くでしょう

小さな主は見かねる 「嫌な話だ」

大きく拡がる 喉と胴体は
死んだ心を 溶かす様に

ゆっくり命を 飲み込み
目を刳り貫く


ねぇ、君も祈っちゃったんでしょう?
僕に睨まれた時にさ

そんな悲壮精神が 大好物だ


ようこそ、我が胎内へ
愛とエゴの終着点

君もすぐに 生まれ変われる
怪物みたいで 素敵なことでしょう?

「あぁ、神様、なんで」って
「もう嫌だよ」と泣いたって

受け入れろよ これが運命だ

次の次の次の主に懸命しよう


神話も命も人の運命も
うっかり恋に落ちるのも

ひっそり蛇は笑い出す
「馬鹿な事だ」

あぁ、なんだいなんだい もう溜らないね
くすんだ心を 舐るのは

小さな命に取り付き
目を埋め込む

あぁ、君に宿っちゃったんでしょう?
目を合体させる(あわせる)運命(のうりょく)がさ

君がこの悲劇の 「女王」なんだ


謳歌しろよ生命よ
愛とエゴの合掌祭

揺れる日々も崩れ始める
「始めの悲劇」へ足並み合わせて

「返して」と嘆いたって
「もう嫌だよ」と哭いたって

知ることかよ それが運命だ

酷く脆くちゃちな物語(ひび)が 正銘だろう

なんて馬鹿な生命だ
何度でも 抗って

同じ話(ひび)へ逆流(もど)り始める
無謀に 無様に

泣いて、哭いて、啼いて、綯いて

あぁ、無様な生命よ
「なんで?」だのと言う前に

求め過ぎた 罪に傅け
虚ろな奇跡が 弾けて崩れて

「もう、なんだか良いや」って
何度もただ泣いたって

終わりすらも 直に薄れる

次の次の次に来る
次の次の日を
次の次の次も嘲笑しよう