ひとまずの安全を確保出来た、ということでジュンに連絡を取ろうと思ったが、やはりというか砂嵐による妨害でモバイルも無線も繋がらなかった。



「……あなたがもう少し早く帰ってきてくれてれば、良かったんですけどね」


「それは、悪かったよ。ぼーっとしてたら、つい……」


バツが悪そうにサトシは鼻の頭をかいた。


サトシがぼーっとしてるのは、まあよくある事だ。

いざ出動となれば、状況判断力に優れその場の機転を効かせてとにかく隊員が無事に帰れることを優先に動くことが出来る頼れるリーダーだ。

その反動として、普段は人から離れて頭を空っぽにしてぼーっとする時間が必要なのだろう。

それがわかっているから、チームAのメンバーは普段の行動に注文付けずにサトシの好きなようにさせている。


「リフレッシュ、出来た?」


はい、とサトシの目の前に差し出されたのは湯気を立てるコーヒー。

迎えに来る前にカズが食堂に寄ってポットに入れてもらったものだ。


フーフーと息を吹きかけてから1口すすると、強風に晒されて冷えきった身体に沁みてゆく。


「んー、出来たのか?」


「いやオレに聞かないでよ」


サトシ本人にとっては、特段リフレッシュ云々の気持ちはなかったのかもしれない。けれど、無意識に脳が、身体が、1人を求める。

そんな時間の後に1番に会うのは自分でいたい、とカズは思う。

だからこそ、ジュンに言われて仕方なくの体をとりつつもこうして迎えに来ているのだ。


「………凛々しいカズが見れたから、いいんじゃね?」


「………なによ、それ……」


こういう

不意の

発言って


ずるい………


「ん?」


「なんでもないっ!」