「じゃあ、和也くん。次は3週間後ね。お薬はちゃんと飲んでね」

「はーい」

ソファから立ち上がると、ふらり、軽く立ちくらみ。

「おっと」

「あっ……りがと、せんせ……」

素早く駆け寄り支えてくれた翔ちゃん先生にお礼を言って、ゆっくり息をととのえる。

「迎え、誰かいるの?」

平日の午後3時前。僕の診察は、いつも、普通の午後診察の前。
潤くんもまーくんもお仕事真っ最中。
翔ちゃん先生もこれから他の患者さんが来る。

だから、僕は一人で電車で帰らなきゃ。

「大丈夫。ゆっくり休みながら帰るから」

「ほんとに大丈夫?」

ふふ、翔ちゃん先生ってば、ほんとに心配性だな~。
まあ、目の前で立ちくらみされたら、心配にはなるか。
でも、しばらく立ってたら、うん大丈夫って思ったから。

「ありがと、せんせ。大丈夫、帰れるよ。またね」

そう言って、僕は病院を出た。



病院から駅までは、歩いて5分くらい。ほんとに近い。だから心配いらないの。

そういえば、この間TVの情報番組で紹介してた本が気になってるんだった。駅ビルの本屋に寄っていこう。

エスカレーターを上がってすぐの本屋さんにいくと、店頭に特集コーナーが設けてあって、そこにお目当ての本もあった。

「あった。あ、でもあと一冊?」

そう思って手を本に手を伸ばすと、横から別の手が伸びてきた。

「あっ……」

思わず手の主を見る。
健康的に日焼けした男性が、こちらも少し驚いたように、僕を見つめていた。