「こんにちは。和也くん」

「こんにちは。翔ちゃん先生」

診察室、というにはいささかアットホームな雰囲気の部屋で、資料が山盛りの机を挟んで椅子に座る先生とソファに座る僕。

翔ちゃん先生はお医者さん。
でも、全然お医者さんっぽくないの。大学教授みたい。いつも白衣は着ずに椅子の背もたれに掛けてあるし。

「はい、どうぞ」

とお茶を出してくれるのは、少しベテランな感じの看護師さん。ソファの前の小さなガラステーブルに置かれたマグカップには、金色の液体。
ここではいつもハーブティが出てくる。リラックス効果、なんだろうけど………僕はコーヒーの方が好きだな。

翔ちゃん先生は僕のカルテをペラペラと捲ってから立ち上がり、僕のとなりに座った。

「今日は天気がいいね。歩いて来た?」

「ううん、潤くんに車で送ってもらった」

マグカップを持ち上げると、柔らかなハーブの香りがする。静かにその香りを吸い込むと、心が柔らかく癒されていくのが分かる。コクンと飲むと、クセが少なくて飲みやすい。

このハーブティ、美味しいかも。何て言うのか後で教えてもらおう。まーくんと一緒に飲みたいな。

僕の言葉をメモした翔ちゃん先生は、柔らかく微笑みながら、質問を続ける。

「潤くん……迎えに来てくれたの?」

「朝ね、寄ってくれたの。ご飯、作ってくれた」

「じゃあ、今日はちゃんと朝ごはん食べれたんだね。お昼は?食べれた?」

「朝ごはん遅かったから……。あ、でもプリン食べたよ」

「ふふっ、プリンね」

優しい顔でさらにメモメモ。ついでに朝ごはんのメニューとその美味しさも伝えたら、えー俺も食いてぇ、ってちょっと拗ねた(笑)

翔ちゃん先生にはもう5年位、こうして診てもらってる。時々落ちてしまうけれど、それでも僕がこうして毎日生きていられるのは、翔ちゃん先生のおかげ。
そして、まーくんと潤くんのおかげ。

僕は、みんなの力を借りながら、今日も


生きている。