僕の目覚めは、すこぶる悪い。
今日も、ツキツキ痛む頭に手をやり、ゆっくり大きく息を吐いた。

朝なんて来なければいいのに………
 
睡眠時間は十分取れているはずなのに、いつまでもスッキリしない頭は、容易にろくでもないことを考え始める。


たとえ僕がここから消えても
                                                      誰も気づかない
たとえ僕がここに現れなくなっても
                                                      誰も泣かない
たとえ僕が…………この世からいなくなっても
                                                      誰も悲しまない

「誰も、僕のことなんて、気にしな…………」

「い、なんてこと、ないからな。カズ」

カチャリと寝室のドアが開き、顔を覗かせた潤くんが怖い顔して、そういった。

「じゅ、ん、くん……」

潤くんはつかつかとベッドの側までやって来て、クシャッと僕の頭を撫でた。

「おはよ、カズ。朝食作ったから、食べよ」

世の中の女の子がみんな見とれてしまうような微笑みを浮かべてる潤くん。
朝からそんなイケメンで来られたら、眩しくってあっという間にすっきり目が覚める。

「潤くんの朝ごはん、久しぶりだな~。もしかして、また徹夜明け?」

本来は僕より寝起きの悪い潤くん。その潤くんが僕より早起きなんて考えらんないし、ましてや朝ごはんまで作ってくれてるなんて。
仕事が夜型な潤くんは、徹夜もしょっちゅう。で、気分転換兼ねて料理をすることがある。そんな時、僕は潤くんの朝ごはんを食べれると言うわけ。

「んー。やっと片付いたかな。まあでも……」

「?」

「今日は、なんとなくカズに俺のご飯食べさせたくて」

そういって、掛け布団からはみ出していた僕の右手にそっと触れた。

………潤くんも、優しい人。
僕のこと、よく分かってるんだ。
僕の、周期を、感じてくれる人。

「………ありがと、潤くん」

僕はそっと体を起こすと、潤くんに手を引かれて寝室を出る。
リビングに入ると、レースのカーテンだけひかれた部屋は朝の爽やかな光に包まれていて、僕の心を浄化してくれる。

「カズ、おいで」

潤くんに呼ばれダイニングテーブルにつくと、サクサクのクロワッサンで作った卵サンドと、潤くん特製の野菜スープが目の前に置かれる。

野菜スープの優しい匂いに、僕のお腹は刺激され、キュルと小さく音を立てた。

そういえば、夕べほとんど食べてなかった。

「いただきます」

両手を合わせて小さく呟くと、僕はスープを一口飲んだ。

「………美味し………」

ニコニコ、微笑む潤くんに見守られ、僕はゆっくり朝食を食べた。