時々匂いを確認しながら、潤王子は馬を走らせます。そして森の奥の家にたどり着きました。
「ここだな。クンクン……うん、間違いない」
恐るべき嗅覚。花粉症の時期には役にたたないが………。
潤王子はドアをトントンノックします。が、誰も出てきません。
「すみませーん。……あ、開いてるな。入りますよー」
鍵が開いてるので、潤王子はズカズカと入って
いき、寝室のドアを開けた。
「あ、いた。ニノ」
「あ?なんだ、お前」
振り返った大野さんは、潤王子をギッと睨み付けます。
その目力に少し怯んだ潤王子。しかし、すぐに気持ちを立て直します。
「俺は隣国の王子。ニノ、しらゆきひめとは幼馴染だ。姫は眠っているのか?」
「魔法使いのせいで倒れてしまったんだ」
苦渋の表情を見せる大野さん。
潤王子はフム、としばらく考えるとしらゆきひめに近寄りました。
「魔法使いのせいであれば、魔法をとけば目を開けるはず。そして魔法を解くのは、王子のキスと決まってる」
そう言ってしらゆきひめの傍らに立つと、身を屈めてキスをしようとします。
「ちょっと待て!しらゆきひめにとっての王子は俺のはずだ!」
実は王子だった、という訳ではなく正真正銘只の釣り人なのですが、大野さんは大真面目にそういうと、釣竿を手に潤王子を威嚇します。
「はっ。なにを無茶苦茶な。ニノの王子は俺だ!」
潤王子も負けてはいません。腰に差した剣を引き抜くと、大野さんに向けて構えました。
「いざっ、勝負!」
━━━━━ざっと省略
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キン、と高い音と共に潤王子の剣が大野さんの釣竿によって弾き飛ばされました。
「はぁ、はぁ……くそっ」
「ふっ、お前なかなかやるな。だが、俺の勝ちだ」
勝利宣言した大野さんはしらゆきひめに向き直ると、姫の頬に手を添えて、そのさくらんぼのような唇にキスをしました。
はじめは、チュッと。
それでも目覚めないので、ブチュッと唇を塞ぐと手で姫の顎を引き強引に口を開かせて、そこに舌を差し込………(自主規制)
「うわぁお。情熱的だね~」
潤王子のちゃかしにも動じず大野さんがキスを続けると、しらゆきひめの体がびくり、と震えました。
「ンッ、ンンッ……」
吐息を漏らすしらゆきひめから大野さんが唇を離すと、ケホッケホッと小さくむせてから、しらゆきひめがゆっくりと目を覚ましました。
「ひめっ」
大野さんの声に、しらゆきひめがゆっくりと瞳を動かして、そしてフワリと微笑みました。
「大野さん。助けてくれて、ありがとう」
しらゆきひめが手を伸ばすと、大野さんはしらゆきひめの体を抱き寄せました。
「姫、良かった」
「大野さん…………」
「好きだ、しらゆきひめ。いや、ニノ」
「大野さん、………。ワタシも、…好き」
ひしっ、と抱き合う二人。お手上げポーズをした潤王子は静かにその場を立ち去りました。
こうして、大野さんとしらゆきひめ、いやニノは森の中で末永く幸せに暮らしましたとさ。
おしまい。

