にのちゃんの美背中から妄想暴走…。
こちらは「乙女❤Ver.」です。



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浴室から、出てきた彼はパンツ一枚で首にタオルを掛けただけ。

「服着なよ。風邪ひくよ」

洗い物をしていた私はキッチンから声をかけた。

「まだ暑いんだよな…」

ボヤキながらもクローゼットのある寝室へ向かう彼。

洗い物を終えた私は、その彼の後ろ姿を見てポツリと呟いた。

「ずるいよ……」

「何が?」

私の呟きが耳に入ったらしく、彼は足を止めた。

私は彼に近寄り、

「背中、キレイ。
シミひとつなくて、白くて、すべすべ……」

そういいながら目の前の背中をするりと撫でた。

「ちょっ、くすぐったいよ」

クスクスと笑いながら、体を捩る。

「嫉妬しちゃうくらい、キレイ」

「なにいってんの。…でも、オレもまだまだだな」

「えっ、なんで?」

彼の言葉は時々私の理解を越える。背中の綺麗さを羨ましいといってるのに、なんでまだまだ、なんだろ?

きっとその思いは顔に出てた。

彼はくるりと私の正面を向き、右の口角をあげてニヤリと笑う。

「おまえが何もわからなくなるほど激しく抱いてたら、きっと背中に爪痕ついてるだろ」

「なっ、何言い出すのよ、急に」

ボンっと真っ赤になってしまったであろう顔をあげて彼を見ると、ちゃっかり両耳が赤くなってた。

自分でいったくせに……。
たまにとんでもないこと言うけど、言った後で直ぐに恥ずかしくなる、そんなとこも可愛い。

「そんなの、いつ誰が見るか分からないじゃない。痕なんて残せないわ」

特殊な世界に身を置く彼を分かってるつもり。だから一応気を付けてるのよ。

「…ありがと」

彼はふわりと笑うと私の背後に回った。

「オレはさ、お前の背中、好きだよ」

そういいながらお揃いで買ったシルクのパジャマの上からつぅーと背骨をなぞる。

そして彼の男にしては小さな手がするりとパジャマの中に入り込み、めくり上げた。

「えっ……あ、んぅ……」

微かに吐息を感じたと思ったら、柔らかな感触が背中のほくろを辿る。

「ほくろ、くすぐったい?」

「やっ、あん……」

優しい口づけの雨。

緩やかに疼き始める体に正直になろうかな。

私はするりと体を捩ると向き直り、彼の首に手を回した。

「ねぇ、カズくん……」

少しだけ上にある彼の琥珀色の瞳を見つめて呟くと、彼は目を細めて微笑んだ。

「何、誘ってンの?…いいよ」

リビングの電気を消して、二人寝室へと向かった。