あきらさんの住むマンションの前。
全面ガラス張りの優雅な作りが魅力的な建物だ。
入り口の中央にバリアフリーの緩やかな坂道。
玄関は丸太をイメージした作りで、優しい感じがする。
わたしはインターフォンの下にあるボタンを8・0・5・と押した。
「はーい」
「遅くなりました。志村です。」
「どうぞ~」
玄関でカチッと音がする。
わたしは玄関を開け、中に入った。
広いエントランス・・・1,2階が吹き抜けになっているので天井が高い。
エレベーターの乗り込み8階を選ぶと静かにドアが閉まった。
805号室は8階の一番奥にあった。
わたしはドアの前に立つと大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせる。
(いい美貴・・・舞い上がっちゃだめ・・・落ち着いて・・・)
チャイムを鳴らそうとすると、その前にドアが開いた。
「いらっしゃい」
待っててくれたのだろうか・・・
「うふ ごめんなさい わたしったらせっかちだから・・・」
そう言って、あきらさんがクスッと笑う。
待っててくれたんだ・・・なんか感激。
「はいって」
そう促されると、わたしはあきらさんの後に続いた。
リビングに案内されたわたしは、最初にその広さに驚いた。
マンションでこれほど大きなリビングは見たことがない。
「ひっろ~~い!」
「うふ ひろいでしょ」
あきらさんは得意そうに笑って見せた。
「このマンションはね。8階だけ特別な作りなのよ。」
「すごい広い・・・新婚旅行で泊まったスイートより広いかも・・・」
「あはは 大袈裟よ~」
「大袈裟なんかじゃないわ・・・びっくり・・・」
「うふふ この部屋はあたしが設計したのよ」
「せっけい・・・?」
「そう。このマンションはね、8階だけ「注文住宅」みたいになってるのよ。
つまり・・・マンションが完成する前に自分の自由なプランでお部屋が作れるってこと」
「へ~」
「このマンションは各階に12世帯分の部屋があるの。
でも8階だけ5世帯しかない。つまり5つの家が12世帯分の広さってことかしら」
おおお・・・すごい。
なにがすごいって・・・あきらさんがわかるように説明してるところが・・・
「こっちに来て」
あきらさん、わたしの手を取って、隣りの部屋に招いた。
「ひぇー」
クイーンサイズっていうの・・・あれ。
すごい大きなベッド・・・
ふわふわして気持ちよさそう・・・
「ここが寝室。ここにもシャワーが欲しかったんだけど、設計上無理だって」
いらんってば・・・
というかあんた・・・湿気はどうするのさ・・・
「だから・・・」
といってまた手を引っ張られた。
寝室の向うにまだ部屋がある・・・すごい。
ドアを開けると洗面所がり、ガラス張りの温室みたいな部屋がその奥にあった。
あきらさんがその「温室」のドアを開ける。
観葉植物で囲まれたその中央に・・・ジャグジー・・・
女の人なら7~8人入れるかしら・・・
ぜいたくだ・・・
すっごい贅沢・・・
これがセレブなのか・・・
感心しながら一歩いたとたん、スリッパが滑った・・・
「きゃっ!」
わたし、倒れそうになって隣りにいたあきらさんにしがみついたんだけど
体制を崩してしりもちをついてしまった。
「いったーー!」
お尻をタイルにぶつけてしまった・・・かなり痛い。
「だいじょうぶ?」
あきらさんが心配そうにわたしを見てる・・・
「あは・・・ご、ごめんなさい・・・い、いた・・・」
「打ったのね・・・こっちへいらっしゃい」
あきらさんの肩を借りて、抱えられたままリビングに戻った。
(あ~あ・・・わたしったら・・・やっぱりやってしまった。。。)
大事なときに必ずドジるんだ・・・わたし。
ソファーにゆっくりと座らされてお尻をさすってみたけど、たいしたほどではないみたい。
「だいじょうぶです・・・は、はずかしいわ あは・・・あはは」
「も~びっくりさせないでよ~」
そういいながら、あきらさんの眼が笑ってる・・・
わたしも愛想笑いで精一杯ごまかした。
「スカート濡れちゃったんじゃない?乾かさないと・・・」
「い、いえ!大丈夫です」
「ほんと?だいじょうぶ?遠慮しないでね」
「あ、はい。ほんと大丈夫ですから」
ちょっときまずい・・・かな
話題を変えよ・・・えーと、えーと
「あきらさん、すごいお酒がいっぱい・・・」
わたしはサイドボードに並んだお酒を見ていった。
「あなたもお酒が好きなの?」
「あ、はい。強くはないけどお酒は好きなほうです」
並んだ瓶のの中に一つだけ見覚えがある瓶がある。
海外旅行でお父さんにお土産に買ったものだ。
「あれ・・・たしか、カミュのXO・・・」
「へぇ~よく知ってるわね」
「あは・・・たまたまですけど・・・」
「これはわたしのお気に入りのひとつよ」
「前におとうさんにお土産で買って来たんですけど、
おとうさんったら味も知らないお前たちにはもったいないって
一口も飲ませてくれなかったんです」
「あははは そうだったの。なら・・・いっぱいどお?」
え・・・昼間っからお酒はちょっと・・・ねぇ
「遠慮しないでっていったでしょ~」
「で、でもまだお昼だし・・・あは・・・あはは」
「だいじょうぶよ、すこしなら・・・ね、ね」
ん~~少しなら・・・まぁいいか
「じゃ、じゃあ・・・ちょっと・・・だけ」
あきらさんはうれしそうにグラスを取りに行く。
大きなブランディーグラスに注がれた琥珀色の液体・・・
甘い香りが心地よく、グラスを何度も回してみる。
「カンパイ♪」
あきらさんに促されて、わたしもそれを口に運ぶ・・・
「・・・おいしい・・・」
口の中で広がる甘さ・・・
喉の奥で染みこむような快感が続く・・・
あきらさんはわたしが飲むしぐさを見て楽しんでいる。
「おいしいわ・・・」
さらにもう一口・・・
「はぁ・・・」
あきらさん、わたしを見て笑った・・・
わたしもそれが可笑しくて、つい笑ってしまう。
「あは・・・あはは・・・あははは」
だって・・・おかしくて・・・おいしいんだもん
「さ、もうすこし・・・」
あきらさん、わたしのグラスに琥珀色をまた注いだ。
軽く頭を下げ、注がれてゆく液体を見る・・・
今度はグラスの半分ぐらいまで入った。
それをまたゆっくり揺らしながら、口へ運ぶ・・・
「おいしい・・・」
あきらさんが何か話してるけど、耳に入らない・・・
こんなにおいしいものがあったなんて。。。
わたし、今まで生きてきて、ちょっと損をした感じ・・・
「ねえ・・・聞いてるの?」
あきらさんが立ち上がり、わたしの隣りに座る・・・
「はあ?・・・はい・・・きいてますよぉ・・・」
「ちょっと効き過ぎたかしら・・・」
あきらさんが「聞きすぎた」らしい・・・なんのこと?
なんかふわふわしてよくわからない・・・
あきらさんの説明・・・わからないよぉ・・・あは あはは
「もっと美味しい飲み方・・・教えてあげるわ」
ん?おいしいのみかたぁ?
あれ・・・
あれ・・・?
あきらさんのくちびるが・・・あたしにくっついて・・・
あ・・・キス・・・されてる・・・
あきらさんおくちから・・・おさけが流れてくる・・・
ゆっくり・・・ながれて・・・あたし・・・それを飲んでる・・・
・・・あまい・・・
おいしい・・・よ・・・これ・・・
あ・・・あきらさん・・・離れないで・・・もっと・・・
あきらさん、お酒を口に含んで、また唇を近づけてくる・・・
ちょうだい・・・
はう・・・
おいしい・・・
ああ・・・
あきらさんの・・・舌が・・・入って・・・きた・・・
や・・・やだ・・・
や・・・
やめ・・・て・・・
あきらさんの舌が、わたしの舌を舐めてる・・・
いやなのに。。。わたしったら・・・舌を動かしてる・・・
舌が絡まって。。。
ん・・・
んはああ・・・
んんん・・・
・・・
つづく