あきらさんの住むマンションの前。


全面ガラス張りの優雅な作りが魅力的な建物だ。


入り口の中央にバリアフリーの緩やかな坂道。


玄関は丸太をイメージした作りで、優しい感じがする。


わたしはインターフォンの下にあるボタンを8・0・5・と押した。


「はーい」


「遅くなりました。志村です。」


「どうぞ~」


玄関でカチッと音がする。


わたしは玄関を開け、中に入った。


広いエントランス・・・1,2階が吹き抜けになっているので天井が高い。


エレベーターの乗り込み8階を選ぶと静かにドアが閉まった。


805号室は8階の一番奥にあった。


わたしはドアの前に立つと大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせる。


(いい美貴・・・舞い上がっちゃだめ・・・落ち着いて・・・)


チャイムを鳴らそうとすると、その前にドアが開いた。


「いらっしゃい」


待っててくれたのだろうか・・・


「うふ ごめんなさい わたしったらせっかちだから・・・」


そう言って、あきらさんがクスッと笑う。


待っててくれたんだ・・・なんか感激。


「はいって」


そう促されると、わたしはあきらさんの後に続いた。


リビングに案内されたわたしは、最初にその広さに驚いた。


マンションでこれほど大きなリビングは見たことがない。


「ひっろ~~い!」


「うふ ひろいでしょ」


あきらさんは得意そうに笑って見せた。


「このマンションはね。8階だけ特別な作りなのよ。」


「すごい広い・・・新婚旅行で泊まったスイートより広いかも・・・」


「あはは 大袈裟よ~」


「大袈裟なんかじゃないわ・・・びっくり・・・」


「うふふ この部屋はあたしが設計したのよ」


「せっけい・・・?」


「そう。このマンションはね、8階だけ「注文住宅」みたいになってるのよ。

つまり・・・マンションが完成する前に自分の自由なプランでお部屋が作れるってこと」


「へ~」


「このマンションは各階に12世帯分の部屋があるの。

でも8階だけ5世帯しかない。つまり5つの家が12世帯分の広さってことかしら」


おおお・・・すごい。


なにがすごいって・・・あきらさんがわかるように説明してるところが・・・


「こっちに来て」


あきらさん、わたしの手を取って、隣りの部屋に招いた。


「ひぇー」


クイーンサイズっていうの・・・あれ。

すごい大きなベッド・・・

ふわふわして気持ちよさそう・・・


「ここが寝室。ここにもシャワーが欲しかったんだけど、設計上無理だって」


いらんってば・・・


というかあんた・・・湿気はどうするのさ・・・


「だから・・・」


といってまた手を引っ張られた。


寝室の向うにまだ部屋がある・・・すごい。


ドアを開けると洗面所がり、ガラス張りの温室みたいな部屋がその奥にあった。


あきらさんがその「温室」のドアを開ける。


観葉植物で囲まれたその中央に・・・ジャグジー・・・


女の人なら7~8人入れるかしら・・・


ぜいたくだ・・・


すっごい贅沢・・・


これがセレブなのか・・・


感心しながら一歩いたとたん、スリッパが滑った・・・


「きゃっ!」


わたし、倒れそうになって隣りにいたあきらさんにしがみついたんだけど

体制を崩してしりもちをついてしまった。


「いったーー!」


お尻をタイルにぶつけてしまった・・・かなり痛い。


「だいじょうぶ?」


あきらさんが心配そうにわたしを見てる・・・


「あは・・・ご、ごめんなさい・・・い、いた・・・」


「打ったのね・・・こっちへいらっしゃい」


あきらさんの肩を借りて、抱えられたままリビングに戻った。


(あ~あ・・・わたしったら・・・やっぱりやってしまった。。。)


大事なときに必ずドジるんだ・・・わたし。


ソファーにゆっくりと座らされてお尻をさすってみたけど、たいしたほどではないみたい。


「だいじょうぶです・・・は、はずかしいわ あは・・・あはは」


「も~びっくりさせないでよ~」


そういいながら、あきらさんの眼が笑ってる・・・


わたしも愛想笑いで精一杯ごまかした。


「スカート濡れちゃったんじゃない?乾かさないと・・・」


「い、いえ!大丈夫です」


「ほんと?だいじょうぶ?遠慮しないでね」


「あ、はい。ほんと大丈夫ですから」


ちょっときまずい・・・かな


話題を変えよ・・・えーと、えーと


「あきらさん、すごいお酒がいっぱい・・・」


わたしはサイドボードに並んだお酒を見ていった。


「あなたもお酒が好きなの?」


「あ、はい。強くはないけどお酒は好きなほうです」


並んだ瓶のの中に一つだけ見覚えがある瓶がある。


海外旅行でお父さんにお土産に買ったものだ。


「あれ・・・たしか、カミュのXO・・・」


「へぇ~よく知ってるわね」


「あは・・・たまたまですけど・・・」


「これはわたしのお気に入りのひとつよ」


「前におとうさんにお土産で買って来たんですけど、

おとうさんったら味も知らないお前たちにはもったいないって

一口も飲ませてくれなかったんです」


「あははは そうだったの。なら・・・いっぱいどお?」


え・・・昼間っからお酒はちょっと・・・ねぇ


「遠慮しないでっていったでしょ~」


「で、でもまだお昼だし・・・あは・・・あはは」


「だいじょうぶよ、すこしなら・・・ね、ね」


ん~~少しなら・・・まぁいいか


「じゃ、じゃあ・・・ちょっと・・・だけ」


あきらさんはうれしそうにグラスを取りに行く。


大きなブランディーグラスに注がれた琥珀色の液体・・・


甘い香りが心地よく、グラスを何度も回してみる。


「カンパイ♪」


あきらさんに促されて、わたしもそれを口に運ぶ・・・


「・・・おいしい・・・」


口の中で広がる甘さ・・・


喉の奥で染みこむような快感が続く・・・


あきらさんはわたしが飲むしぐさを見て楽しんでいる。


「おいしいわ・・・」


さらにもう一口・・・


「はぁ・・・」


あきらさん、わたしを見て笑った・・・


わたしもそれが可笑しくて、つい笑ってしまう。


「あは・・・あはは・・・あははは」


だって・・・おかしくて・・・おいしいんだもん


「さ、もうすこし・・・」


あきらさん、わたしのグラスに琥珀色をまた注いだ。


軽く頭を下げ、注がれてゆく液体を見る・・・


今度はグラスの半分ぐらいまで入った。


それをまたゆっくり揺らしながら、口へ運ぶ・・・


「おいしい・・・」


あきらさんが何か話してるけど、耳に入らない・・・


こんなにおいしいものがあったなんて。。。


わたし、今まで生きてきて、ちょっと損をした感じ・・・


「ねえ・・・聞いてるの?」


あきらさんが立ち上がり、わたしの隣りに座る・・・


「はあ?・・・はい・・・きいてますよぉ・・・」


「ちょっと効き過ぎたかしら・・・」


あきらさんが「聞きすぎた」らしい・・・なんのこと?


なんかふわふわしてよくわからない・・・


あきらさんの説明・・・わからないよぉ・・・あは あはは


「もっと美味しい飲み方・・・教えてあげるわ」


ん?おいしいのみかたぁ?


あれ・・・


あれ・・・?


あきらさんのくちびるが・・・あたしにくっついて・・・


あ・・・キス・・・されてる・・・


あきらさんおくちから・・・おさけが流れてくる・・・


ゆっくり・・・ながれて・・・あたし・・・それを飲んでる・・・


・・・あまい・・・


おいしい・・・よ・・・これ・・・


あ・・・あきらさん・・・離れないで・・・もっと・・・


あきらさん、お酒を口に含んで、また唇を近づけてくる・・・


ちょうだい・・・


はう・・・


おいしい・・・


ああ・・・


あきらさんの・・・舌が・・・入って・・・きた・・・


や・・・やだ・・・


や・・・


やめ・・・て・・・


あきらさんの舌が、わたしの舌を舐めてる・・・


いやなのに。。。わたしったら・・・舌を動かしてる・・・


舌が絡まって。。。


ん・・・


んはああ・・・


んんん・・・


・・・


つづく



続きを読む 九



今日も朝から雨だ。

もう3日も続いてる・・・

雨が嫌いなわけじゃないけど、こうも続いて降られると・・・ね。

こんなときは外に出ないでビデオでも借りてきちゃおうかな。


星野さんたちは・・・

あれから数日経つけど、静かにしてるみたい。

ちょっとやりすぎたかな・・・ハハ

でも人のこと家政婦にするなんて許せないよね。

加奈さんにもあれからはお呼び出しの連絡がないらしい。

加奈さんのためにも、きっとあれでよかったんだ・・・うん。


プルルル・・・プルルル・・・


電話だ。


リビングにある子機をとると、見覚えのない番号だった。


「はい。志村です」


「もしもし、志村さん?」


子機の向こうからは女性の声がする。


「はい志村です。どちら様でしょうか?」


「一之瀬です。」


「一之瀬・・・さん・・・えーと・・・どちらの市ノ瀬さんでしょうか?」


「あはは。あたしよ。あきら。わかった?」


「あ~あきらさん。一之瀬なんていうから誰かとおもっちゃった」


あきらさん、「一之瀬」っていう苗字だったのか・・・

そういえば、「如月あきら」って芸名だもんね。


「あきらさん、本名はなんていうの?」


「一之瀬よ。結婚してからは一之瀬あきら。」


「あきら」は本名と芸名と一緒なのか・・・

まあ芸能人ってそういうことってよくあることだしね。


そんなことを考えていると、あきらさんがお構いなしに話し始める。


「ねえ志村さん、今日は忙しい?あたし、すっごく暇なんだけど

よかったらうちに遊びに来ない?」


うそ・・・あきらさんからのご招待だ・・・

でも、ちょっと強引な感じがするのは気のせいかしら・・・


「え!いいんですか。すっごくうれしいです」


「よかった。加奈さんもちょっと遅れるけど、後から来るらしいわ。

この電話番号も加奈さんから聞いたのよ。」


加奈さんも招待されてたのか。

あれ以来電話では毎日話してたけど、会うのは初めて。

なんか、3人で楽しくなりそう・・・


あきらさんの声がさらに続く。


「あたしのマンション知ってるかしら?「エル・シエラ」っていうんだけど・・・」


「える・・・しえら・・・」


「加奈さんの家の斜め前の8階建ての白いマンションわかる?」


「あ、はい。あの玄関前がおしゃれなマンションですよね?」


「あはは。そうそう、そこよ。そこの805。わかる?」


「805・・・はい、わかりました。えーと何時ごろ・・・」


わたしが聞く前にかぶるように話が続く。


「えーと。11時ごろでいかが?」


「あ、はい。11時ごろですね。わかりました。」


「マンションの入り口でインターフォンを鳴らしてね。ロック解除するわ」


「はーい。」


「じゃあ・・・ま・っ・て・る・わ・ね・♪」


「あはは。はーーい」


電話を切ると急にドキドキし始めた。


おいおい美貴・・・あんた、あの有名な如月あきらの家に招待されたんだよ・・・

こんなことめったにないよ・・・


そ、そうだわ・・・

す、すごいわ・・・


「きゃあああああ!」


思わず叫んでしまった・・・あはは。


そうだわ!こんなことしていられない!

着る服を探さなきゃ!


「えーと・・・あきらさんに合わせるには・・・と」


あきらさん、すっごくきれいだもん、勝てるわけないけど・・・

子供っぽい洋服はやめて、大人の女性で決めていこう・・・


クローゼットの中でしばらく格闘すること30分・・・

なんとかそれらしい格好になった・・・と、思う。


上は胸が大きく開いた白いブラウスに

スカートはスリットが20センチほど入ったアイボリー色のタイトにした。

耳には少し長めのチェーンピアスをつけて、口紅は赤。

念入りにお化粧をして、結んでいた髪をほどいた。


「ちょっと、おみずかな・・・」


姿見の鏡に映し出されたわたしは、いつもと違う色っぽい女になっていた。


「うふ♪」


自分に向かって、投げキッスをしてみる・・・


「うん。美貴もまだまだイケてる!」


時計を見ると約束の時間まで後10分しかない。


「やば!いそがなくちゃ!!」


戸締りをして、バッグを持つと、急いで外に出た。

雨はやんでいたけど、いつでも降りそうな雲・・・


ヒールの高さの分、いつもと景色が違う。

ハイヒールを履くと背筋がピンと伸びて、

なぜか気持ちまでキリッとしてくるから不思議。


周りに誰もいないのを確認するとちょっとだけお尻を振ってみた・・・


(うふふ・・・わたしって色っぽい?)


塀の上の猫がわたしを見て「にゃあ~」と鳴く。


(あなたもわたしの魅力がわかるのね うふ♪)


わたしったら、ひさしぶりのおしゃれにゴキゲンになってる。


わたしは時間に追われながらも、鼻歌を歌いながらゆっくり歩いた・・・。


つづく


続きを読む 八



今日は6時に起きた。


朝早く起きた理由・・・それは、あいつらと顔をあわせたくなかったから。

別にコソコソと隠れているわけじゃない。

ただ、朝早くから嫌な気持ちになりたくなかっただけ。

朝の新鮮な空気ぐらいは気持ちよく吸いたいもん。


今日は生ゴミの日だから、集積所のあたりにきっとあいつらがいる。

だから朝起きて、すぐにゴミを出してきた。


洗濯機をまわしながら、新聞をパラパラと読む。

・・・総理大臣も結構大変なのね・・・

そんなことを思っているとチャイムが鳴った。


「はーい。どちら様?」


だれだろう?こんな朝早く・・・まだ8時前なのに。


「あ、あの・・・ふ、ふじた・・・です・・・」


加奈さんだ!


昨日は嫌なこと話させちゃったけど・・・

ちょっと悪いことをしたような気持ちでいたから、加奈さんの訪問はちょっぴり嬉しかった。


エプロン姿のまま勢いよく玄関の扉を開けたわたしの目に飛び込んできたのは・・・


10人ぐらいいるだろうか・・・

見るからに「奥さん」の人だかりが、我が家の前に集まっている。

インターホンの前には加奈さんもいたけど、バツが悪いみたいで目をあわせようとしない・・・

わたしを呼び出すために加奈さんは利用されたんだ・・・

加奈さんの隣り、人だかりの中央に星野さんと加藤さんもいた。


(みんなすごい怒ってるみたいだけど・・・どうしたの・・・かな?)


「あの~・・・なにか・・・」


「なにかじゃないわよ!」


いきなりの罵声にちょっとだけひるんでしまった・・・


「志村さん!あなたね・・・今日は何のゴミだか知っているんでしょうね!」


「は、はい・・・えーと・・・生ゴミの日だと思ったんですけど・・・間違ってました?」


「あなたね・・・生ゴミは分別してからこそ、生ゴミなの!それをなによこれ!!」


星野さんの手に掲げられたものは、どこにでもあるような透明のビニール袋。


ん?なにか入ってる・・・みたい・・・いや、入ってる・・・


ピンク色の・・・薄っぺらい物・・・二つ入ってるみたい・・・なに?あれ・・・


・・・はて? あれがわたしに何の関係が??


近くまで寄って・・・眉をひそめて、よーーーく見た・・・


「きゃああああああああ・・・」


わたし・・・慌てて、そのビニール袋を奪った。


そして両手で身体の後ろに隠した・・・だって・・・


耳たぶが真っ赤になって、顔から火が噴き出しそう・・・


「あなたね・・・ゴムは生ゴミじゃないのよ。そんなことも知らないのかしら」


えーーーだって・・・だって・・・ちゃんとティッシュに包んで捨てたもん・・・


でも、何もいえない・・・恥かしい・・・


「まったく・・・女のくせに男の人にまたがったり・・・ほんと、好き者ね・・・」


「ほーんと・・・毎晩こんなもの使って・・・いやらしい女・・・」


「一晩に二つも・・・盛りのついたメスね・・・まったく・・・」


あちこちからいろんな言葉が降ってくる・・・

家の中に逃げ込みたい・・・

いや・・・!聞きたくない!!いや!!いや!!


「いやーーーー!!」


耳をふさいで、その場にしゃがみこんでしまった・・・


なんで・・・なんでなの?


わたしがなにを・・・何をしたって言うの・・・


罵声は冷たい笑い声に変わったけど、わたしの耳には入らない・・・


なんで?なんでなのよ・・・!


・・・


・・・


・・・


あれ?・・・あれあれ?


わたし・・・どうしちゃった・・・の?


わたしったら・・・急にニヤニヤにやけだして・・・


美貴・・・ねえ・・・もしかして・・・


こわれた?


しゃがみこんでいる「わたし」と、それを見ている「わたし」・・・

見ているといっても、上からや横からではない。

自分が自分を見てる・・・って感じ・・・


恥かしさに恐怖すら感じている自分と、

それをはね返そうとするいつもの自分・・・


二人になった「わたし」がすぐに一人の「わたし」に戻ったとき・・・

「いつもの自分」が全てを支配した・・・

いや・・・「いつもの自分」ではない・・・

もっとハイテンションで・・・

恐ろしいほどに怖いもの知らずの美貴だ・・・


「あーっはっはっはっは」


わたしは・・・愉快でたまらなかった。


そう・・・わたしは・・・確かに・・・「壊れた」・・・わ


大声で笑うわたしを見て、冷たい笑いはピタリと止まった。


「ふーーーん・・・星野さん・・・」


星野さんの顔を覗くように見つめる・・・


「これは・・・このコンドームは、「わたしの家のゴミ」の中にあったのかしら?」


「あ、あたりまえでしょ!だからこうして・・・」


「ほーーー。わ・た・し・は、そのコンドームを

外から見えないようにティッシュに包んで、

それをまたティッシュで何重かに包んで捨てたんだけど・・・

それを、そうやって裸の状態にしてビニールに包んであるということは・・・」


一瞬の間を持つ・・・


「星野さん。あ・な・た・が・・・これを見つけたのかしら?」


星野さん・・・慌てた様子。


「も、もちろんよ・・・わたしは、PTA会長として・・・

子供たちの教育上、こ、このましくないものを・・・」


そこまで言わせて言葉をさえぎった。


「ちょっとまって!

あなたね・・・

このゴミ袋には・・・ちゃんと「志村」というシールが貼ってあったはず。

シールはわ・た・し・がちゃんとお金を払って買ったもの。

シールを貼れば、ゴミは回収するっていう市の決まりよ。

そしてこのゴミは、ゴミの回収車に回収してもらうために

わ・た・し・が集積所に置いたものよ。

集積所とはゴミを回収しやすくするために作られた、仮の置き場。

要するに・・・このゴミはわ・た・し・が直接、回収業者に手渡すものを、

便宜上、仮の置き場で手渡すようにした市の決まり・・・よね。

このゴミはまだ回収業者の手に渡っていない・・・

ということは・・・

このゴミはまだ志村の所有物であり、

それを回収業者以外の第三者が中身を荒らすということは・・・

つまりそれは・・・「窃盗」ということにならないかしら・・・」


みんなにわかるようにゆっくりを説明する・・・


「あなた・・・人のゴミを荒らすということがどういうことか・・・

わかってないようね・・・」


星野さんがつばを飲み込む音が聞こえた・・・

ごくっ・・・って


「窃盗罪は確か・・・最高で懲役5年だったかしら・・・

重大な犯罪だわ・・・

罪は重いし・・・

ああ・・・そうそう・・・

それから・・・わたしの家に一昨日・・・泥棒が入ったみたいなの・・・

お庭の窓から部屋の中を物色してたらしいわ・・・

家の中に入らなくても、家人の許可なしに敷地の中に入れば、

それはれっきとした「不法侵入」よ・・・」


さらに続ける・・・


「あそこにある防犯カメラに犯人らしい人影が映っているんだけど・・・

警察に提出して犯人を割り出していただこうかしら・・・ね~・・・星野さん。」


防犯カメラはダミー・・・


それと・・・いままでのセリフは、

いつか見たドラマの謎解きの場面のセリフ・・・


こう見えてもドラマはご飯より好きなんだ。


星野さん・・・固まったままだけど・・・まさか死んでない・・・よね?

ハハ・・・まさか・・・


「不法侵入は何年の懲役なのかしらね~星野さん!」


ああ・・・生きてた・・・

口をパクパクさせて引きつってる・・・


「警察署長の奥様が、まさかそんなことをするとは思わないけど・・・」


「そういえば・・・最近の警察って・・・

仲間が犯した悪いことは、み~んな身内で隠しちゃうらしいから、

警察に通報したってもみ消されちゃうのかしらね~・・・でも・・・」


まだ終わらないわよ・・・


「週刊誌や新聞社はどうかしら・・・

わたしの古い友人にも記者をやっている人がいるけど、

きっと面白がって記事にするかも・・・ね~」


これで最後よ・・・覚悟しなさい!

「聞いた話なんだけど警察ってところは・・・

一度でも不祥事を起こした警察官は・・・、

その警察官がたとえ高官だとしても、

生涯エリートコースから外されて・・・

一生、窓際の部署で「飼い殺し」にされるそうよ・・・

そうなったら・・・奥様もかわいそう・・・

ねぇ・・・星野さん!!」


・・・


・・・


やばい・・・やりすぎた・・・かも・・・


泡吹きそうだよ・・・この人・・・


・・・


あ・・・深呼吸した・・・ふう・・・


こんなんでも、死んだら殺人罪になるのかしら・・・


取り巻きの連中に支えられて生き返った星野さん、

もう、ポスターに出てくる笑顔の、人の良いおばさんという顔はない。

「お、お、お・・・おぼえてろ!」

それだけ言うと逃げるように消えていった。


加藤さんや取り巻き連中も当てが外れたのか、

急ぎ足で、それについていく・・・


「おとといきやがれってんだ ばーろー へん!」


彼女等の後姿に蹴りを入れる。


もちろんポーズだけだけどね。


スカーッとしたぁ~!


あはは


と、そのとき・・・わたしの後ろで誰かの笑い声が・・・


振り返ると、そこには加奈さんがいた。


加奈さん、わたしと目が合うとチャイムのことを思い出したのか、

また下を向いて・・・上目遣いにちらっとわたしを見る。


わたし、その格好が可笑しくてクスッと笑うと、

加奈さんも我慢していたのか、クスッと・・・

クスクスがつながり・・・やがて二人で大きな笑いに変わる・・・


ぷっ・・・ぷぷぷ・・・あは・・・あはは・・・あはははは


「はぁ~楽しかった・・・あ、そだ!

加奈さんよかったら上がっていかない?お茶でもどお?」


「ええ。よろこんでいただくわ」


わたしは加奈さんの肩を抱いて玄関に招いた。


もちろん・・・右手にはガッツポーズが。。。


つづく


続きを読む 七

カーテンを開けると朝日がまぶしい。


泣きながら寝たから眼が腫れてるみたい・・・

でもいつまでも泣いてなんか入られない。


洗濯機をまわし、CDを聞きながらリビングに掃除機をかける。

いつもならノリノリのこの歌も今日はちょっとだけ寂しい。


このソファーで・・・


ソファーをぼんやり見つめていると、なぜか一つの疑問が湧いてきた。


「ここでしてたことを見られたってことは・・・この角度だから・・・」


そういってソファーにひざまずき、窓の外を見る。


外には青い空しか見えてない・・・


「こうじゃないのかな。。。こっちはどう・・・かな」


何処から見ても青い空しか見えない・・・


「!!」


見られたんじゃない・・・覗かれたんだ!!


見られたのと覗かれたのでは意味が違うわ・・・


窓は閉まっていたはずだから声が聞こえたとしても

それほど遠くではないはず・・・


ということは・・・


まって・・・じゃあ誰が!?


頭の中で今までのことを思い出してみる・・・


加奈さん・・・気をつけなさいって言ってたっけ・・・


何か知ってるのね・・・


よし!


くよくよ悩んでいるよりは行動したほうがいいに決まってる。


わたしは洗濯を終わらせると、

化粧も適当に加奈さんの家へ向かった。

朝の10時過ぎなら、もうそれほど忙しい時間でもないはず。


加奈さんの家ならこの前の散歩で見つけてある。

チャイムを鳴らすと加奈さんがインターフォン越しに返事をした。


「志村です。おはようございます」


「・・・」


しばらく無言が続いた。


「ちょっとお聞きしたいことがあるんですけど・・・」


受話器をガチャッと下ろす音が聞こえ、続いて玄関のかぎの音がした。


加奈さんが顔だけを出してあたりを見回す・・・


「朝からごめんなさい・・・実はちょっとお聞きしたいことがあって・・・」


そういうと加奈さんが玄関の扉を大きく開け、「どうぞ」という仕草をした。


わたしは門を開けると促されるまま玄関の中に入った。


リビングに通されると部屋の中央に大きなソファーがある。

会社をしてるって言ってたっけ。

応接室も兼ねているみたい。


加奈さんが奥のソファーに座るとわたしに向かいの席を勧めてくれた。


・・・いざ話そうとすると、何を何処から話していいのか・・・


少しの間、沈黙の時間が続いた。

そういえば彼女、今日はオドオドしてない・・・


わたしはなるべく彼女を驚かさないようにゆっくりと喋り始めた。


「加奈さん・・・

あなたは・・・わたしに何を言おうとしたの?」


わたしはすぐに確信に触れようとせず、わざと遠回りな言い方をしてみた。


彼女はそれだけを聞くとスクッと立ち上がり、


「ちょっと待っててね」


そういって玄関まで行き、カギをかけた。


「ごめんなさい・・・無用心だから・・・」


そう言い訳をして座ると静かに喋り出した。


「あなたには説明しなくてはいけないわね」


やっぱり何かを知ってる・・・


わたしは焦る気持ちをこらえて彼女の次の言葉を待った。


「志村さん・・・あなたはまだここへ越してきて数日・・・

知らないことばかり・・・よね。

ここは・・・」


加奈さん、眼に涙をためて・・・何かをこらえてる・・・


その涙が流れるようにこぼれだす・・・


「ここは・・・地獄よ」


わーっ!泣きだし、テーブルに突っ伏した・・・


「加奈さん・・・」


わたしはどうしていいのかわからずに、名前を呼ぶのが精一杯だった。


「ご、ごめんなさい・・・」


そういうと、彼女はティッシュで鼻を抑えながら、ゆっくりと話を始めた。


「わたしの主人は・・・建設会社をしているの・・・

市の指定業者といって・・・市が発注する工事をする会社なの・・・

仕事をいただくには入札というものがあるんだけど・・・

それは表向きなことだけで・・・ほんとうは・・・

ほんとうは・・・市の重職たちが好き勝手に工事会社を選んでいるの・・・」


「重職・・・って?」


「重職とは・・・市の中で力を持っている人のことよ・・・

市長とか・・・市会議員とか・・・」


加藤さんのご主人が確か市会議員だって・・・

それも「長」が付いていたっけ・・・


「加藤さんの・・・ご主人は・・・市会議員議長だから・・・

うちの主人が・・・加藤さんの奥さんと仲良くしてくれって・・・」


ほう・・・だからいつも一緒なのか・・・なるほど。


「主人が・・・議長に睨まれたら・・・仕事がなくなるって・・・

倒産だって・・・」


そこまでいうと、彼女はまた大声で泣き始めた。


そっか・・・ご主人の為に仲良くしてるのか・・・

そう思うと少し加奈さんがかわいそうに思えてきた。


「加藤さんの奥さんも・・・その辺はよく知ってて・・・

わたしに・・・無理なことばかり押し付けて・・・

断ろうとすると・・・主人がどうなってもいいのか・・・って・・・

だからわたし・・・どうしても断れなくて・・・ごめんなさい・・・」


そんな事情があったのか・・・

そりゃ、断れない・・・よね

わかる・・・うん


「市会議員は選挙があるから・・・贅沢な暮らしは控えろって・・・

加藤さんのご主人が面子ばかり考えるから・・・

奥さんのうっぷんが溜まって・・・それがあたしに・・・

毎日呼び出されて・・・掃除させられたり・・・洗濯とか・・・」


「そんなことまでさせられてるの!?

ちょっとちょっと~!!ひどすぎない!?

いくら偉い人の奥さんだからって、人を家政婦みたいにして・・・」


わたし、急に怒りたくなって、つい口をはさんだ。


「そりゃぁ自分はお金持ちだからセレブしてればいいんでしょうけど・・・

この辺のちょっとぐらいのお金持ちがセレブなんて・・・ばかじゃない!?

だいたいセレブっていうのは・・・モルジブあたりに別荘があったり・・・」


「持ってる・・・」


「へ?」


「加藤さん・・・持ってる・・・モルジブに別荘・・・」


「じゃあ・・・んとんと・・・死海でエステしてるとか・・・」


「先月・・・行ってきた・・・星野さんと二人で・・・死海のエステ・・・」


「まだよ!セレブの人って・・・えーっとえーっと・・・

そ、そうよ!芸能人とか有名人とかのパーティーもあったり・・・」


「あきらさんがパーティーに行くときは付いていくの・・・

付いていって・・・有名人とかと名刺交換したり・・・

お友達になったっていつも二人で自慢してるわ・・・」


「ええぇ・・・!! すごい・・・まるでセレブみたい・・・」


「うん・・・セレブにはまってるの・・・あの人たち・・・」


すごーい・・・びっくりしたわ・・・そんな人、身近にいるんだぁ・・・


「市会議員議長って・・・市の予算とかも勝手に組めるから・・・

お金は幾らでもあるって・・・ワイロがどんどん集まって・・・

お金なんて掃いて捨てるほどだって・・・」


「そ、そんな・・・そんなばかなことないわよ!!

警察に・・・そうよ!警察はなにしてんのよ!!」


わたしったら、だんだん興奮して手を振り上げてる・・・


「警察はダメ・・・星野さんのご主人が・・・警察署長・・・なの・・・」


「・・・」


開いた口が塞がらなくなった・・・


加奈さんの言葉がさらに続く・・・


「お金で手に入るものはほとんどあるけど・・・

選挙の為に・・・派手な生活をすると・・・票にひびくからって・・・

だから・・・家政婦は雇えないって・・・だから・・・だから、わたしが・・・」


「・・・」


「わたし・・・全部話すわ・・・ね

加藤さん・・・わたしを昼間に呼び出すと・・・

掃除や洗濯をさせて・・・

ご主人が・・・糖尿病だから・・・できないから・・・

わたしに・・・しろって・・・」


「・・・なにを?」


「ホスト遊びしてるんだけど・・・

昼間はそういうのがいないから・・・

わたしに代わりにしろって・・・

わたしに・・・胸や・・・あそこを触らせたり・・・

身体中を舐めさせられたり・・・

おもちゃや・・・色々な道具で・・・」


なんて・・・ひどい・・・

それじゃ奴隷じゃない!


この町は腐ってるわ・・・


たった一握りの人たちのために・・・町全体が・・・腐ってる・・・


「ごめんなさいね・・・志村さん・・・」


その言葉にやっとのことで自分を取り戻した・・・けど

まだ、心の中で怒りが収まらなかった・・・


「いいのよ・・・加奈さん。

あなたのせいじゃないわ・・・いいのよ・・・」


加奈さんが何度も頭を下げてる・・・

わたし、席を立つと加奈さんの隣に座りなおして、肩を抱いてあげた。


「おとといの晩・・・星野さんとわたしが志村さんのお宅へお邪魔したの・・・

星野さん・・・あなたを・・・自分専用の家政婦にしたいって・・・狙ってる・・・

だから・・・家の様子が知りたいって・・・

わたし・・・できないって・・・いやだって断ったんだけど・・・急に怒り出して・・・

仕方なく玄関のチャイムを鳴らしたんだけど・・・返事がなくて・・・

星野さんが電気がついてるからいる筈だって・・・

窓にまわってみて来いって・・・

わたしが窓にまわって・・・部屋の中を見たら・・・

志村さんがご主人とキスをしてらして・・・

慌てて玄関に戻って・・・星野さんに・・・もう寝てらしたわ・・・って

そういったら・・・うそだ!って・・・自分で見てくるって・・・」


わたしを・・・専用の家政婦に?

それも・・・奴隷みたいにかい?

コメカミがピクピクッと動いたのは気のせいじゃない・・・


そうだったのか・・・

窓の外に立たないと見れる場所じゃないもん・・・

これで納得したわ・・・




わたし、加奈さんの肩を思いっきり抱いた。

「加奈さん・・・わたしこそ、ごめんね。

わたし・・・あなたもあの人たちの仲間だと思って・・・疑ってたの・・・」


加奈さん・・・何度も頭を下げて、ひたすら謝ってる・・・

わたしはそんな加奈さんをいつまでも抱きしめていたかった・・・


-------------------


ぴーんぽーん


ひろかずさんが帰ってきた。


わたし、玄関に出迎えると、ひろかずさんに向かって・・・


「おかえりなさい。ねえ・・・」


ひろかずさん、いつもと違う雰囲気に気がついたみたい。


「ん?」


「ねえ・・・ひろかずさん、結婚する前にわたしに何でもするっていったわよね・・・」


「う・・・うん」


「じゃあ、いまから総理大臣になって。」


「へ?」


「総理大臣よ」


「へ?へ?」


「総理大臣・・・わかる? ソ・ウ・リ・ダ・イ・ジ・ン・!」


「???」


「日本で一番偉いんでしょ!総理大臣・・・  なって!」


「なれって・・・そんな・・・」


「なって!なって!なって!なって!」


「わかった!わかったから・・・」


「ほんと!?」


「え・・・い、いや・・・」


「ぶぅ~~ ぜったいなって! ぜ~ったいになって!!」


「そんなこと急に言われても・・・なぁ~」


「なってくれなかったら、えっちは禁止!」


「お、おい!」


「だ~め!ぜーーったいに禁止だからね!」


ふん!って鼻を吹いてソファーに戻った。


ひろかずさんネクタイをほどきながら近寄ってくる。


「なあ・・・どうしたんだい?説明ぐらいしてもいいだろ?」


「説明なんていりませーん。何でもするっていったもん。いったもーん」


「生意気な口だ・・・ふさいでやる!」


「やー!ちょ、ちょっと!やーーー!

いやぁだぁーーちょ、ちょっと・・・だめ・・・

だ・・・だめ・・・ってば・・・あ・・・ん・・・

はう・・・ん・・・ん・・・


力ずくで・・・ちがう・・・正確には・・・

やさしく・・・甘いキス・・・だった・・・


カーテンが開いている・・・


でも動きたくない・・・今はこのままでいたい・・・


見られても・・・いいもん!


見せ付けてやる・・・


ひろかずさーーん♪


つづく


続きを読む 六






今日は少し遠くまでお散歩&お買い物。

お散歩は近所をよく知っておく必要があるからで、

お買い物はスーパーや商店の場所を覚えなくてはいけないから。


「スーパー」って簡単に言うけど、いろいろ違うのよ。

お野菜はここが安いとか、お惣菜はここがおいしいとかね。

だからいろいろ見て回る必要があるってわけ。

えへん!わたしって・・・奥さんしてるでしょ♪


え・・・あたりまえだって?


・・・ううう

そ、そりゃぁ主婦から見ればそうかもしれないけど、

わたしぐらいの年代の女性にはすごいことなのよ!


さ!早速いってみよ~!


ふむふむ・・・ここが星野さんちかぁ~

なんかすごい家に住んでるなぁ・・・

3階建てに大きなお庭・・・それに番犬。

ドーベルマンっていうんでしょ・・・あれ。

ベランダなんてロミオがよじ登ってきそう・・・

昔見た、ロミオとジュリエットの映画が頭の中で甦った。

「おぉー愛しのじゅりえっとぉ~・・・」だっけ


あ・・・つい、手が前に出て「じゅりえっとぉ~」をポーズしてしまった・・・


あたりを見回す・・・


よし!誰も見てない・・・次いこ・・・


加藤さんちはビルだった・・・すげぇ~

いーち、にぃー、さーん、よーん・・・ご・・・5階建てだわ・・・

1階には大きなシャッターがある。

いったいどこからどこまでが住まいなんだろ・・・


上を見上げていると遠くのほうで笑い声が聞こえた。

見てみると、見たことのない奥さん2人がわたしを見て笑ってた。

あたし・・・ちょっとおのぼりさん入ってた・・・かなぁ

ちょっと恥ずかしくなってイソイソと歩き出した。


公園のところまでくると・・・

また知らない奥さんたちに笑われた。


ん?わたしの服装・・・へん?

さりげなくスカートのファスナーに手を当ててみる。

ちゃんと閉まってる・・・


おかしいなぁ~


近くのお店のショーウインドーの鏡に姿を映してみたけど、

おかしいところは見当たらない・・・


なんで笑われたんだろ・・・


紺色のスカートだから、ショーツが透けてる・・・なんてことはないし。


まぁいっか!


きっとわたしのことじゃないんだわ・・・きっとそうよ。


そう言い聞かせて商店街までくると藤田さんがいた。


「たしか・・・藤田・・・加奈さんだ」


「ふじたさ~~ん」


わたしが名前を呼ぶと、藤田さん、すごく驚いたみたい。

急にソワソワしだしてあたりを見回してる。


「こんにちは~」

わたしはちょっと妹風な感じで挨拶してみた。

藤田さんはわたしより少しお姉さんぐらいの歳だと思う。

この前は気がつかなかったけど、藤田さん・・・すごい美人・・・

アップにしている髪が女のわたしから見ても色っぽい。


藤田さん、わたしだと知ってちょっと安心したみたい。

人にわからないように肩で息をしたもの。


「どうしたんですか~?具合でも悪いんですか~?」

ちょっとだけ語尾を延ばして甘ったれる感じで顔をのぞくと、

藤田さん、急に怒った様子でわたしの腕を引っ張った。


「志村さん!ちょっと・・・」


わたし、藤田さんに腕を引っ張られるままに細い路地に連れて行かれた。

そして、路地に入るなり振り返るとわたしをジッと見つめて・・・


「いい・・・あなたは何も知らないだろうけど・・・

あまり目立たないほうが・・・いいわ」


ん?どういうこと?


わたしがキョトンとしていると、さらに話し続ける。


「だから・・・

あなたのために言ってるの・・・お願い、わかって・・・」


ん~~いったいどうしたの?


わたしが質問しようとすると、藤田さんの目が私の肩越しに

何かを見つけたようで、急に顔色が変わった。

そして走り出すように去ろうとしたとき・・・


「ちょっと!藤田さん!」


まるで万引きを現行犯で捕まえた警備員みたいな声だった。

藤田さんはピタッととまったまま動かない・・・動けないのかも。


声がしたほうを見ると、そこには加藤さんと星野さんが立っていた。

星野さん、すごく怒っている感じ・・・

そのままの勢いでこっちに近づいてくる・・・

そしてわたしの前をすり抜け、藤田さんの前をふさぐように立ちすくんだ。


「あなた!いったい何を話してたの!」


こえぇ~


まるで先生が生徒を説教しているみたい・・・


藤田さん・・・萎縮しちゃってる・・・かわいそう


「い、いえ・・・な、なにも・・・」


わたし、藤田さんを助けようとして

「加奈さんはお肉がやすいスーパーを教えてくれてたんです」

わざと「加奈さん」と呼んで仲良しをアピールしてやった。

そして、いいながらわざと藤田さんと星野さんの間に割り込んだ。


星野さん、すごい顔でわたしを睨んだ。

そして・・・

「志村さん。あなたにも言いたいことがあるわ!」


わたしに・・・も?


「志村さん!あなた・・・お家の中では何をするのも勝手ですけど、

ちゃんと礼儀をわきまえてくださらないとね!!」


すごい剣幕だけど。。。いったい何のこと??


後ろで加藤さんの笑い声が聞こえた。

そして・・・

「しむらさ~ん・・・あなた・・・いつもあんなふうにしてらっしゃるの?」


なんだなんだ?

わたし・・・いったいなに・・・お?


「ご主人を押し倒して・・・あんなこと・・・はずかしいわ~」


え!え!ちょ、ちょっと!!ちょっとまって!!!


見られてた!?


わたし、気が動転して、たぶん茹でられたタコみたいになってたと思う・・・


な、なんでよ・・・どうして知ってるの!?


「あら~知らないとでも思ってるの~?ふふふ

あ・な・た・・・カーテンも閉めないであんなこと・・・

みんなに見てほしかったんじゃなくて? おほほ・・・」


がーーーん!!


そうだった・・・


カーテン・・・忘れてたんだ・・・


「い、いえ・・・そ、それは・・・・その・・・あの・・・」


言い訳が見つからない・・・


「あなたね!この町内でそんなふしだらなことは私が許しませんからね!」

星野先生の一発逆転だ・・・


わたし・・・何もいえなくなって小さくなっちゃった・・・


そして「・・・ハイ」と小さく返事をした。


二人はそれを聞くとまるでチンピラさんが

町をノシテ歩くように歩いていった。

藤田さんを連れて・・・


-----------------------



ピンポーン ピンポーン


はぁ・・・ひろかずさんが帰ってきた・・・


ピンポーン ピンポーン


「おーい、いるんだろーあけてくれーー」


はぁ・・・


わたしは壁に這うように玄関にたどり着く・・・

カギを回すとひろかずさんがドアをあける・・・


「ん?具合でも悪いのか?」


具合も悪くなるわよ・・・


はぁ・・・


3歩歩くたびにため息が出る・・・


はぁ・・・


もう・・・わたしのセレブな人生も終わりだわ・・・


たった数日のセレブ・・・


ああ・・・あこがれのセレブ・・・    はぁ・・・


「なぁ・・・ごはんは?」


ああ・・・セレブ・・・


「なぁ・・・」


「ごはん・・・いらない・・・」


「いらない・・・じゃなくて・・・美貴・・・だいじょうぶか?」


「はぁ・・・だいじょうぶ・・・じゃない・・・」


ひろかずさんがおでこに手を当ててくれた。


「熱はないし・・・どうしたんだ?」


「どうもしない・・・どうもしないけど・・・」


そのとたん、急に泣きたくなった。


ひろかずさんのやさしい言葉がそうさせた・・・


「ぐすん・・・」


「ど、どうし・・・」


「うわーーーーーーーん」


涙が出る・・・あとからあとから・・・


ひろかずさんの胸の中で何度も大きな声を出して泣いた。


ひろかずさんは何も言わず、ずっと抱きしめてくれた。


ずっと・・・


わたしはそのまま眠ってしまったらしい・・・


ひろかずさんの上着が、わたしの鼻水でガビガビになったことに気づいたのは翌朝のことだった・・・。


つづく


続きを読む 五

「あん・・・だめだってば・・・」


ひろかずさん・・・すごい興奮している。

昨日したばかりなのに、どうしたのかしら・・・

息も荒くなってきてる・・・


軽い挨拶のつもりだったキスなのに

ひろかずさんったら舌まで絡めてきて・・・

下から抱きしめられて・・・

あん・・・そんなことされたら動けなくなっちゃうよ・・・


だんだん頭の中がからっぽになって

何も考えられない・・・


わたしの舌を舐めて・・・唾液を欲しがってるのね


わたし・・・

ひろかずさんの唇のなかに自分の舌を入れた・・・

彼がわたしの舌を根元まで吸ってくる・・・

わたし、ゆっくり離れて・・・

そしてまた入れて・・・

舌を尖らしたまま、彼の口に・・・挿入してるの・・・

まるで彼を犯してるみたい・・・

彼もそれを悦んでいるみたい。


ゆっくり離れて・・・

そのまま離れて彼の顔を見た・・・

舌を出したまま・・・ね

彼、もっと欲しいって、わたしの舌を見てる・・・

わたし・・・一度舌を口の中に戻して・・・

唇を尖らせて・・・

彼の口の中に・・・唾液を・・・垂らした・・・

唾が糸を引いて・・・

彼の口の中へ消えていった・・・


ゴクン・・・

彼、わざと音を出しながらわたしの唾液を飲んだ。

そしてまた口を開けて・・・欲しがってる・・・

わたし・・・また唾を貯めて・・・そして垂らした・・・


頭の中が真っ白になってきて・・・

夢中で彼のパンツを下ろした。


彼の大きくなったアレを探してパンツから出した。

握ってみると、わたしの手の中で脈打ってる・・・

わかってる・・・はやく・・・入りたいのね・・・

彼もわたしのスカートの中に手を伸ばして

パンティーを脱がそうとお尻のあたりに手を伸ばしてきた。


わたし、その手を払いのけると

彼の堅くなったアレの上にまたがって・・・

パンティーの上からアレをわたしのあそこに擦り付けた・・・


・・・感じる


わたしのあそこが、もうびしょびしょになってる・・・


わたし・・・パンティーの隙間に指を入れて・・・

彼のアレを直にあそこに当てた・・・


堅さが伝わってくる・・・


すごい・・・こん棒みたいになってる・・・


わたし、我慢できなくなって・・・

アレをあそこに押し付けたまま

一気に座り込んだ・・・


はうううう・・・


肉をかきわけて・・・アレが一気に奥にまで突き刺さる・・・


いい・・・


いいわ・・・!!


すごく気持ちいい・・・


してるのか、されているのか・・・そんな感じ。

わたしが彼をいじめてるみたい・・・

これって・・・癖になりそう・・・


わたし・・・そのままよがり声を上げて上下に腰を振った・・・

腰が止まらない・・・

上下に・・・左右に・・・何度も・・・何度も・・・


身体の中心に突き刺さってるの・・・

アレが・・・

わたしのあそこに・・・


わたし・・・絶叫したわ・・・

髪を振り乱して・・・

泣いてたかも知れない・・・

よだれを垂らしていた・・・かも


急にガクガクってなって腰の動きが止まった・・・

そしたら彼のアレが中で膨らんだ気がして・・・

ドクドクって・・・脈打った・・・

あああ・・・出してるわ・・・

これ・・・これよ・・・

さあ・・・いきなさい・・・わたしの中で・・・

たっぷりと・・・さあ・・・

彼の真っ白なザーメンが

わたしの頭の中に溶けて

隅々にまで染みていくのがわかった・・・


そのあと、わたしの記憶はどこかに飛んでいった。

気が付いたら彼がわたしを抱きしめていた。

ちょっと恥ずかしかったけど・・・気持ちよかった・・・


ひろかずさん・・・だいすき・・・


つづく



続きを読む 四




「今日は燃えるゴミの日ね・・・」


朝の午前8時半。

わたしはひろかずさんを送り出した後、引越しの荷物をほどいて

出来たゴミを、透明の袋に詰めて玄関の扉を開けた。

さすがに詰め込みすぎたせいか、両手いっぱいのゴミは重い・・・。

これを決められた場所、通りを20メートルほど行ったところにある

集積所まで持っていった。

ちょっと息が上がって辛い・・・もう少し小さくするべきだった・・・。


はぁはぁ言いながら角を曲がると

集積所の周りに数人の人盛りがあった。

ご近所の奥様達だ。

い、いまがわたしの「ご近所デビュー」だわ・・・。

心の中でそう言うとちょっと緊張しちゃった。


息を整えて・・・

「おはようございます」

わたしは自分から元気に声をかけた。

こういうことは新人からしたほうが良いに決まってる。

奥様達は話をやめてこっちに振り返った。

「おはようございます」

奥様達が一斉に返事を返してくれた。


「はじめまして!今度こちらに引っ越してきました志村と申します。

みなさん、よろしくおねがいします!」

ペコリとお辞儀をして新人らしく元気さを表現しての挨拶。

ちょっとわざとらしかったかな。


「まあ志村さん。待ってたのよ~」

背の高い綺麗な女性がちょっとハスキーな声で話し始めた。

あれ・・・この人、どこかで見たことがあるような・・・。


「こちらが加藤さん。ご主人が市会議員をしてらっしゃるの。」


市会議員!! いきなりきたかー!!


加藤さん。 歳は40歳を越えたぐらい。

若いときは綺麗だったと思うけど、

ちょっとお肉が付きすぎて脂ぎってる。

朝からジャラジャラとアクセサリーがついてるし、

どちらかというとナナイロガマガエルという感じ。


「加藤さんのご主人は市議会議長もしてらっしゃるのよ」


ほー なんだかわからんけど、すごい・・・。

「長」が付いているんだからきっとすごいに違いないよ・・・うん。


「よ、よろしくおねがいします!!」


わたしは緊張したままで丁寧に挨拶した。

「まぁ あきらさんったら~そんなことまで・・・」

加藤さんはおほほ笑いをしながら優越感全開。


「そしてこちらが星野さん。」

あきらさん・・・という綺麗な人が次の人を紹介してくれた。

「星野さんはPTA会長をしてらっしゃるのよ」


今度はPTAが出た!!

星野さんはにっこりと笑って握手の手を出した。

わたしはそれにつられて手を出してしまった。

普通、ご近所の挨拶で握手する?

この人の癖なのかしら・・・


星野さんも40歳ぐらいかな。

まあるい顔で人のよさそうな感じ。

選挙のポスターなんかで見かけそうなか顔だ。


「こちらは・・・加奈さん。えっとぉ~」

みんなよりちょっと後ろに下がった感じでモジモジしている・・・


「・・・藤田加奈です。」

そう言うのがやっとという感じで声を出してる。

「そうそう!藤田加奈さん!」

なんか、ビクビクしているけど・・・

「こちらのご主人は会社を経営してらっしゃるのよ」


すごい・・・社長婦人だ・・・。

でもなんかオドオドとしているようすがなんか変。

具合でも悪いのかな・・・


そんなことを思っていると星野さんが声を出した。

「ねぇ・・・この人、誰だかわかる?」

ニヤニヤしながら「あきらさん」という人を指差す。

ん~~見たことあるんだけど・・・名前が出ない・・・


わたしが悩んでいる様子を見せると、加藤さんが

「宝塚の・・・ほら」と助け舟を出してくれた。


宝塚・・・へ?

あ・・・あああ!!!

思い出した!!

「如月あきら」だ!!

宝塚で・・・男役の・・・有名な人・・・

テレビや雑誌で何度も顔は見て知ってる。


すごーーい!! 超有名人だよ!!


あきらさんの顔を見て驚いているわたしを見て、

あきらさんがケラケラと笑う。

「うふふ・・・大丈夫よ。今はただの主婦で・す・か・ら・!」


おいおい!ただの主婦って・・・あんたはそれだけでもすごいよ!


それにしてもどうりで綺麗なはずだ・・・。

たしか数年前に実業家と結婚して引退したんだっけ。

きっと大金持ちと結婚したんだろうな・・・いいな~。


「あはは わたしはなにもしてないのよ

いつも気ままに自由にしてるのが楽ですものね」


なにもしてない・・・って・・・??

いきなり「なにもしてない」っていったい何を何もしてないの?


「だからね」

星野さんが説明する。

「だから、あきらさんは町内会の役職や仕事は何もしてない・・・

という意味なの」


ほうほう・・・

言葉のど真ん中をはしょっちゃう・・・のか

ん~・・・天然がかなり入ってる人だわ


あきらさんが再びケラケラと大きく笑った。


-------------------------


「ただいま~」

ひろかずさんが帰ってきた。

「おかえりなさ~い♪」

わたしはお味噌汁の火を止めて玄関に彼を迎えた。

靴を脱ごうとしている彼にわたしは矢継ぎ早に話し始める。

「ねえねえ!聞いて!!今日、誰に会ったと思う?」

ひろかずさんが「だれ?」と聞き返してくる・・・はず

「ん?それより腹減った・・・」

ちがーう!!

わたしの聞きたいのは「腹減った」じゃなくて「だれ?」よ!

ちがうちがうちがうちがうちがうーーー!!

おまえなんかきらいだーー!!

履いてたスリッパをひろかずさんに向かって投げつけた。

「わかった!わかったよ!」

ひろかずさん、にっこり笑ってわたしを抱きしめてくれた。

「だれ?」

そう!それよ!それを待っていたのよ!

「びっくりしないでよ!如月あきら!!」

「・・・」

「おどろいた?ねえ!おどろいたでしょ!」

「・・・だれ?それ・・・」


ズル・・・


・・・だめだこりゃ。


ん~~こんなビッグニュースをこのままにしてはおけない・・・

わたしは実家の母に電話し、今日のことを話した。

「ね!すごいでしょ!でしょでしょ!・・・」


母と盛り上がること30分・・・

わたしはやっと正気に戻ることが出来た。

「はぁ~すっきりした・・・さてごはんごはん・・・」

ひろかずさんはソファーの上でふくれっ面でテレビを見てる。

ん?なんで怒ってるの?

わたしはソファーに飛び乗ってひろかずさんにキスをした。

ひろかずさんったらキスされただけですぐに・・・


あん・・・だめ・・・だめよ・・・

機嫌悪かったくせに・・・もう

だめだめ! ごはん食べてから・・・

だめってば・・・だめ・・・

あん・・・


つづく


続きを読む 三





















「あふ・・・あああ・・・はあああ・・・」

「あ・・・!そこ・・・! ああん・・・かんじちゃう・・・」


そう・・・今日もたっぷり愛して。。。

やん・・・そこはゆっくりと・・・そう・・・そうよ

やだ。。。舌を尖らしてる・・・

あん・・・それ・・・すごい!

あ・・・いい! イキそうよ・・・

だめ!・・・もっとじらして・・・もっと・・・

はああ・・・

いい・・・!・・・いやん! 腰が勝手に浮いちゃう・・・!

あああ・・・・

舌が中に入ってくるぅ・・・!!

じゅぼじゅぼ。。。って、いやらしい音まで聞こえるわ・・・

いやいや・・・! どうにかなりそうよ・・・!

きて!・・・おねがい・・・もう・・・もうがまんできない!!


あ・・・あああ・・・かたい・・・

かたい棒が・・・あそこに当たってるわ・・・

いや・・・こすられてる・・・

おねがい。。。じらさないで・・・


あああ・・・はいるわ・・・

はい・・・って・・・・くる・・・・

あああ! かたい!

すごい!すごい!いい!!

い、いや!ぬかないで!!

あ・・・! またはいってきた・・・!


あああ・・・

やん!すごい!!

奥まではいってきたぁ・・・

すごい!すごい!

かたいわ!! すっごくかたいの!!

あん・・・そこ!!

そこよ!! つ・・・ついて!!

や!・・・いやいや!!

すごい!すごいの!!


いい・・・!! いいわ・・・!!

そうよ! もっとして!!

もっと・・・!!

めちゃくちゃにして!!!


いや・・・イク・・・イクわ・・・

イク・・・イク・・・はう・・・

イクイク・・・!

イク!!

イッチャウ!!!

いくぅぅぅぅぅーーーー!!!


はぁはぁ・・・

今日もすごかった・・・わ


はぁはぁ・・・

コンドームの中に・・・たっぷりでてる・・・

毎日してるのに。。。すごいわ・・・


ねぇ・・・キスして・・・

ん。。。はぁぁぁ・・・

優しいキス。。。愛してるわ・・・


うふ・・・

おちんちんがビショビショになってる。。。

あたしが舐めてあげるわね・・・

あたしの口の中で・・・

もう一度硬くしてみて・・・

たっぷり吸ってあげるから。。。





あたしは美貴。

3ヶ月前に「志村美貴」になったの。

それまでは樋口美貴。

そう、あたし・・・結婚したのよ。

うふふ・・・

玉の輿よ!

た・ま・の・こ・し・!

旦那様はお医者さん♪

といってもまだ駆け出しのお医者さんだけど、

彼のお父さんが大きな病院を経営してるから・・・

10年後は外科部長ぐらいでしょ・・・

そして未来は・・・「院長婦人」・・・うふふ


彼も、彼の財産も、彼の経歴も・・・

そしてそして・・・彼のぜーんぶがわたしのもの!

うふ・・・愛してるわ♪

ひろかずさーーん♪

うふふ。。。うふふふふ。。。。あはははは・・・



あたし達、結婚してすぐに、ここに家を建てたの。

正確には、結婚が決まったときに彼のお父様が

ここに家を建ててくださったの。

普通の一戸建てと同じぐらいの大きさだけど、そこはがまんがまん。

彼はまだまだ安月給の身だから、いきなりは・・・・ね。


でもローンはお父様が払ってくれるから、

生活は・・・楽かな♪

やーーん! あんまりうれしくて、踊りたいぐらいだわ!


さーてと。

引っ越しの荷物はこれで全部終わったし・・・。

ご近所には挨拶は終わったし・・・

そうそう!ゴミの出し方だわ!

えーと・・・火曜日と金曜日が生ゴミね。

水曜日が缶で月曜日と木曜日が燃えるゴミ・・・

土曜日がプラスティック類か。

なんか、めんどくさいなぁ・・・。

憶えるまでに時間かかりそう・・・

でも最初が肝心だしね。

ご近所様とは長いお付き合いになるんだから

最初にいい印象を与えておかないとね。


でもでもぉ

かれったら・・・あ!

すぐ「彼」っていっちゃう・・・

ひろかずさんね。

ひろかずさんったら、毎晩すごいの!

「結婚するまでは・・・ね」なんてお嬢様っぽいこと、

絶対死語だと思ってたのに・・・

ひろかずさんったら本気でわたしのこと処女だと思ったのかしら・・・

わたしは・・・お医者様なら襲われてもよかったんだけどね うふ。


そしたら結婚したとたん・・・すごいの!

童貞君らしくて、女のあそこにも興味津々。

わたしも最初はしおらしくしていたから・・・

「恥かしいわ・・・」とか「電気消して・・・」なんて

オトメなこと言ってたんだけど、だんだんじれったくなっちゃって・・・

「あ・・・そこは気持ちいいみたい・・・です」なーんてね♪

ひろかずさんも憶えがよくて、すぐにコツを掴んだみたい。

舐めたり吸ったりしてはわたしの顔を盗み見て反応をうかがってる。

わたしもわざと気持ちいいときに大袈裟に反応してあげるの。

そうすると彼・・・何度も何度もくり返ししてくるから・・・あたし・・・

やん・・・ちょっと・・・

こんなことかんがえてるから変な気持ちになってきちゃった・・・

今晩は・・・わたしが上からいじめちゃおうかしら。。。うふふ


つづく


続きを読む 二










響子は穴とクリトリスを同時に愛撫され

必死に肉棒にしがみついた・・・

修一は指を穴の中へ潜らせると

クリトリスに舌を絡めながら吸い始めた。


響子の陰部は2箇所を同時に責められ

我慢はすでに限界に来ていた・・・


「あん・・・そんなことしたら・・・またいっちゃう!!」

この小説を初めから読む

俺は響子に会う度に夢中になっていった。

今では本気で一緒になりたいとさえ思っている。


知り合ってからすでに9ヵ月・・・


今は俺のマンションで毎日のように響子の身体におぼれている。

艶のある肌・・・

カモシカのような脚・・・

とがった乳首に柔らかな乳房・・・

くびれたウエストと美しい尻・・・

そして・・・


響子の魅力は決して身体だけではない。

その献身的な奉仕はご主人様に仕える召使いのようだ。


妻とは比べ物にならなかった。

もっとも、今は別居しているが・・・

響子と知り合ってしばらくして、

チャットの中で響子との仲がばれ、

それが妻の耳に入った。

妻はその日から実家に戻り、

数日後に離婚届が郵送されてきた。

離婚はもはや時間の問題だろう・・・


だが、今の俺にはそれも好都合なのかもしれない。

離婚はすなわち、響子と一緒になれるチャンスなのだから・・・



-------------------------------------------------------



うふふ・・・

こんなに上手くいくとは思わなかったわ・・・


鏡の中のわたしが笑っている・・・

わたしは響子。

鹿島響子よ。

うふふ・・・ふふ・・・あはは・・・あはははは・・・・


わたしの本名は・・・石井裕子。

仙台の女学校を卒業したわたしは東京の銀行へ就職が決まった。

何をしても目立つことがなかったわたし。

ブスというほどではないけど、恋愛なんて一度もしたことない。

黒ぶちのめがねのおさげ髪なんて。。。

いまどきそんな女の子なんていないわよね。

でも・・・それがそのときのわたしだった。


銀行の入社式の後、新入社員たちは3ヶ月の研修が待っていた。

研修センターで2ヶ月間研修の後、それぞれの支店に研修生として

配属されていく。


松井修一と出会ったのはわたしが研修生として配属された、

海の近い町の小さな支店だった。

そしてそこでも最初の3日間で、わたしの「価値」は決まってしまった。

わたしは可愛い新入生ではなく、「その他」の部類だった。

新入歓迎会のとき、わたしには「わかめちゃん」というあだ名がついた。

刺身の盛り合わせの・・・

中央に飾られたの刺身ではなく、脇に添えられたわかめ・・・


そうなることは初めからわかっていた・・・

だから、苦しくはなかった。


そんなとき・・・


外回りでほとんど社内にいない渉外主任・・・松井修一。

彼だけは違っていた。

彼はいつも汗をぬぐって帰ってきた。

そして、わたしが入れたお茶をおいしそうに飲み干してくれた。

ミーティングでは、いつもわたしに意見を求めてくれた。

修一は・・・修一はわたしを丁寧に、優しく扱ってくれた。


わたしはいつも彼の帰社を待った。

彼が戻ってきた後の支店内は、わたしにとって楽園だった。

彼と同じ空気を吸い、彼の匂いを密かに楽しんだ。

彼はすでに結婚していたが、そんなことはどうでもよかった。


ある日、彼はわたしを誘ってくれた。

心臓が止まるかと思うほど嬉しかった。


食事の後・・・初めてのキス・・・

そして・・・そして・・・

彼は・・・わたしを抱いてくれた。


恐くなかった。

大きな手が、わたしの身体を優しく包んだとき、

わたしはこのまま死んでもいいとさえ思った。

彼の「男」がわたしに入ってきたとき、

わたしは「女」であることを知った・・・


わたしたちは、誰にも知られないように密かに会った。

彼は会う度に、わたしに女の歓びを教えてくれた・・・


でも・・・でも・・・

彼は突然にわたしの前から消えた。

転勤だった。

わたしは彼からの連絡を待ったが、

それはむなしい時間を、過ごすだけだった。


彼がわたしを捨てた・・・

わたしはただ遊ばれただけ・・・


・・・


それからしばらくして、わたしは髪を金色に染め、ピアスをつけた。

化粧品関係の本を片っ端から読み漁り、化粧技術を身に付けた。

男たちは急に優しくなり、わたしは何度も誘われるようになった。

それは修一に対する復讐であった。


いろんな男に抱かれた。

男たちは食事やブランド品でわたしの目を引こうとし、

わたしの身体を欲しがった。

でも・・・思い出すのは修一のことだけだった。


むなしかった・・・


わたしはしばらくして銀行を辞めた。

夜はファッションヘルスで働き、

言い寄る男たちに貢がせては、その金を貯金した。

2年間で貯金は4000万になった。


わたしはそのお金で海外に行った。

手術をするために・・・

小さかった眼は大きく美しくなり、

歯は全て抜いて、美しい歯並びに変わった。

胸は倍ほどに大きくなった。

他にも頬や顎、鼻など、あらゆる所を整形した。


作法や料理、会話術なども習った。

花嫁修業と思えば、それほどおかしくもないはず。

旦那様を喜ばせるために美しくなるんですもの・・・


ジムは今でも通ってる。

太股の筋肉・・・カツヤクキンというのかしら。

その筋肉を鍛えると膣が締まると聞いたから・・・


1年前。

全ての準備を整えて、わたしは探偵事務所を尋ねた。

修一とその奥さん、めぐみの行動を探るために・・・


奥さんは浮気していた。

チャットで知り合った男・・・それも数人いるらしい。

きっかけはこれだ!と思った。

チャットで知り合うことはめずらしくない。


わたしはチャットでめぐみに接近した。

同性だからか、めぐみには何の疑念もない。

浮気の話をしたら、向うから乗ってきた。

はしたない女・・・

軽蔑しながら、わたしは修一をチャットに誘うように仕向けた。

めぐみはチャットでの浮気がばれてしまうことを恐れ断り続けていたが、

「大丈夫よ!チャットを紹介することで、

あなたが逆に潔白だということが証明できるじゃない」と説き伏せた。


渋々承諾するめぐみが修一を連れてきたのはその数日後だった。

これがチャットでなかったら・・・きっと成功しなかったわ。

あまりのドキドキに言葉なんて出なかったもの・・・

わたしは言葉を選んで修一の気持ちを惹いた。


修一と会った時・・・

ばれるんじゃないかと冷や冷やしたけど

突然のアクシデントで助かった。

あのナンパ男君がきてくれたおかげで

自然と修一に接近できたもの。


あの日の修一との一夜は永遠に忘れないわ・・・

昔とちっとも変わらずに、わたしを愛してくれた・・・

わたしはここまでしてあなたを求めたのよ!って

何度も口に出して言ってしまいそうだったわ・・・


その晩・・・

わたしは違うHNを作りチャットに入った。

そして、「ゆい」と「シュウイチ」が怪しいという噂を

常連だった人たちの間で流した。

もちろんめぐみの耳に入るように・・・

めぐみは激怒してたらしい。


数日後、何も知らないふりをしてチャットでめぐみに会った時

彼女ったらわたしを泥棒猫呼ばわりしたわ。

わたしもそのお返しに・・・

彼女が寝てきた男たちのHNを次々と書いてやった。

そして最後にこう書いてやったわ。

「ご主人にばらされたいかしら?」

彼女は何も言わず消えていったわ・・・


いい気味・・・


それからわたしはめぐみに手紙を書いた。

その手紙に、探偵さんが集めてくれた証拠の写真を添えて。。。


「この写真のネガはわたしが持っています。

修一さんがこれを知ったらどうなるでしょうね。

話し合いで解決できたとしても、

これからの夫婦生活はきっと地獄でしょう。

別れることになっても、離婚原因は貴女にあるのだから、

当然高額な慰謝料なども請求されることでしょうね。

裁判にでもなれば当然、貴女がしてきたことは親戚一同に

全てが公けになることでしょう。


わたしからの提案として、

貴女から離婚を申し出てくだされば、わたしは全てを破棄します。

離婚理由は「ゆい」という女性と修一さんの浮気でどうでしょうか。

貴女はご主人の浮気で泣く泣く別れたけな気な妻・・・

ということであれば世間体も悪くないはず。

夫婦生活に飽きて他の男たちともっと遊びたいのでしょうから、

この際離婚してもっとおおらかに楽しむのもいいんじゃないかしら。」


数日前。

めぐみから修一さん宛に離婚届が送られてきたらしい・・・

それも自筆と印鑑を添えて・・・


これでやっと・・・

あの人はわたしだけのものになるんだ・・・

あとは彼からのプロポーズを待つだけ・・・


うふふ・・・うふ・・・うふふふ・・・


鏡の中で響子が笑う・・・

笑ながら響子は口笛を吹こうとした。

その瞬間、響子の口がぐにゃりと曲がった・・・


真夜中に吹く口笛 完