昔、億単位の資産を運用している億万長者の方に
「レンくん、お金は稼ぐことよりも使うことの方が何倍も難しいんだよ」
と言われたことがあります。
当時はこの言葉の意味を本当の意味で理解することはできませんでした。
むしろ、
「何を言ってるんだろう。当たり前に稼ぐ方が難しいだろ」
と当時は思っていたくらいです。
ですが、実際に僕自身が年間1000万円以上の収益を超えていたにも関わらずキャッシュ(現金)が尽き、窮地に陥る経験をして、
「お金は稼ぐことより使う方が難しい」
この言葉を身にしみて感じます。
勘違いして欲しくないのですが、これまでの僕のお金の使い方が全て間違っていたと思っているわけではありません。
中には知識やスキルなど、これから先の人生で半永久的にインカムゲイン(配当)を生み出してくれるようなものもあるので、むしろ正解だと言えるお金の使い方もあります。
ただ僕が伝えたいのは、
「正しいお金の使い方かどうかは結果論でしかない」
ということです。
本屋のベストセラーコーナーに並んでいるお金の本やビジネス本に書いてある
「これにお金を使っておけば100%お金は増える」
なんてものは存在しません。
なぜなら、その人の状況やフェーズやタイミングによってお金を投じるべきものは人それぞれ違うからです。
例えば、現状で何のスキルもないただの会社員の方が、1000万円の貯蓄を持っているから一生安泰かと言うとそうではありませんよね。
なぜなら、現状の収入というのは労働収入に依存してしまっているわけですから、労働を辞めてしまったら、これまで貯蓄していたお金を食い潰していくしか選択肢がなくなってしまいますよね。
それなら貯蓄の一部を活用して、事業収益を作るために動いたり、配当を得るために投機をする方が大きなリターンにつながります。
逆に今回の僕のように多少の事業収益があるからといって、それを全て突っ込んでいたら、当たり前ですが、どれだけキャッシュフローが大きかったとしてもいずれキャッシュは尽きてしまいます。
また、現状で事業収益もある程度あって、貯蓄もある程度あるにも関わらず、日本円だけで持っておくのは機会損失でしかありません。
他にも、大きな会社を経営していて毎月数千万円〜数億円の支払いがある経営者が僕のように「フルベットだ〜」と勢いだけで、内部留保を全く持っていなかったら、コロナのような自然災害のようなアクシデントが起こってしまったときに即倒産に繋がってしまいます。
もちろん前提として、お金を投じる目的が金融資産を増やすためなのか、それとも感情を満たしてあげるためなのか、幸福度を高めるためなのかなど、お金を投じる目的によっても、そのお金の使い方が最適化どうかは変わってきます。
一概に金融資産を増やすためだけのお金の使い方をすべきだとは思いませんし、正しいとも思っていません。
僕が伝えたいのは、
「これにお金を使えば絶対に増える」
なんて一定の決まったものは存在しないということです。
答えは常に自分の中にしかありません。
自分で見つけていくしかないんです。
よく僕の元に相談しにきてくださる方の中に
「いや、有名なあの人が言ってるから…」
「世界的に活躍してる人があれに投資しているから…」
という方もいますが、このような他者依存思考では、確実にどこかでお金を失ってしまうでしょう。
そもそも、自分のお金をどこに投じるかを
「あの人が言ってるから」
という安易な理由で投じるのは愚かすぎます。
あなたも恋人を選ぶときに
「みんながあの人が素敵っていうから何となく選びました」
という意思決定はしないはずです。
自分自身が「この人がいい」と思って決めるからこそ、学べることや気づけることばかりですし、もし仮に自分が思っていたような結果に結び付かなかったとしても納得できるはずです。
自分の今の現状、フェーズ、目的、願望、リスク許容度、など様々なものによって
「何にお金を使うことがベストなのか」
は変わってきます。
では、どうすればお金の使い方は上手くなっていくのか?
これは僕なりの答えなのですが、お金の使い方はお金を使っていく中でしか上手くならないと思っています。
実際にお金を使っていく中で学んでいくしかないということです。
なぜお金の使い方は、お金を使ってしか上手くなれないのか?
それは座学だけでは学べないことが”多すぎる”からです。
例えば、サッカーを座学だけで上手になろうと思っても、限界がありますよね?
本を読むだけでビジネスや商売が上手くなるかと言ったら、そうではありませんよね?
結局、最後は実践を通して
「これは違うな」
「これはいい感じだわ」
「これはあってたわ」
「これは今じゃなかった」
と自分と向き合っていく中で、理解できることばかりです。
特にお金の使い方に関しては実践を通して学んでいくことが重要になっていきます。
なぜなら、お金を払うときの感情は独特なものがありますし、お金を払うということは誰かがサービスを提供するために試行錯誤して感情を動かしている場合がほとんどだからです。
例えば、今日あなたがスーパーでお金を払った商品も
「どうやったら買ってもらえるか?」
を賢い人たちが必死に考えて文章を考えたり、導線を作ったりして、提供したものです。
つまり、買ったのではなく、買わされている場合がほとんどだということ。
別にこれは決して悪いことではありません。
素晴らしい商品やスキルを持っているのであれば、むしろ、
「どうすれば手に取ってもらえるのか」
を本気で考えて試行錯誤していくべきだと思っています。
そうしないと、知ってもらうことすらできませんし、知ってもらうことすらできないということは価値に気づいてもらえないということです。
また自分自身が素晴らしい商品やスキルを持っているにも関わらず、事業主自身が知ってもらう努力を怠るのは社会にとって機会損失ですし、本当に必要としている人に届かなくなってしまいます。
ただ、世の中には中身がスカスカな商品にも関わらず、マーケティングだけは上手なものも多いというのも事実です。
先日、ある受講生の方から
「ネットに表示された広告を間違ってタップしてクレジットカードを打ってしまい、50ユーロ(約8500円)支払ってしまった」
と連絡をいただきました。
ある程度リテラシーが高い方ならネット上に表示される訳の分からないものにクレジットカード番号を安易に打つべきではないことは当たり前に理解できるはずです。
ただ、やはり経験値が少なかったり、自分自身のリテラシーが低かったりすると、このように価値がないけどマーケティングだけは上手なものにお金を支払ってしまうことになります。
このように「うわ、やっちまったな」と痛みを伴った方が爆速で成長していきますし、これからの人生で教訓になることばかりです。
大切なのは、「何にお金を使うのか」よりも「なぜそれにお金を使うのか」です。
お金は常に豊かさを与えてくれる素晴らしいものです。
本気で好きな恋人と向き合うようにお金とも真剣に向き合ってみること。
そして、お金を使うときの意思決定を他者に依存しないこと。
あなたが今よりも、より多くの富を手にしたいと思っているのであれば、お金の使い方を深く考え、自分だけの答えを見つけるために日々向き合っていくべきです。
山中蓮