家に上がると、美羽は椅子に腰掛けず、俺の部屋で話そうと言った。
それに俺は素直に従い、美羽を部屋に入れた。
そして美羽は俺の勉強机に置いてある時計を持ち上げる。
「美羽――――」
俺が疑問に思い、美羽に何をするのか聞こうとした瞬間、美羽はその時計を床に叩きつけた。
「えっ……、美羽?」
俺は困惑し、美羽の名前を呼ぶ。
が、美羽はそれには答えず、壁に掛けてある時計を床に叩きつけた。
俺はなぜ美羽がこんなことをするのかがわからないため、ただただ呆然と、壊されていく哀れな時計を見ていた。
そして5つ割った時、美羽が呟いた。
「まだわからないの?」
えっ……。
俺がビックリしていると、美羽は続けた。
「君は、騙されたの。人の大切な物を壊すのが楽しくてしょうがない私に」
「待った、意味がわからない」
俺は本音を言う。
馬鹿ね、と美羽は6つ目の時計を壊しながら言う。
「最初は確かに好きだった、君の事が。でも、それが嫌になっちゃったの」
「出来心だったのか……」
「そうよ、時雄くんのお母さんに会うのは、確かに会うつもりだったわ、でも君、時雄くんが、好きになっちゃったの」
それでも……、嫌いになったのか。
ガシャン、ガシャンと時計が壊されていく音だけが部屋に響く。
「許さねぇ」
俺が呟く。
そして俺は美羽に飛びかかった。