少々驚きと落胆を感じた。

『新型コロナウイルス(COVID-19)との共存・共生していくこれからの時代。いわゆる“三密の 回 避”や“ソーシャルディスタンス”を考慮すると、大人数を引率する従来型の「団体登山」はますます困難になるでしょう。
こうした時代にガイド業を継続するためには、ツアー登山などを受託する「受動的」ビジネススタイルでなく、自ら企画・集客を行い少人数でも収益を確保できる「能動的」ビジネススキルが必要になります。
大手旅行会社でツアー登山の企画・販売を経験し、現在は地方のネイチャーガイド育成事業など 登山を通じた観光誘致コンサルにも携わる講師が、遵法的かつクライアントに支持されるガイドツアーの企画方法や価格設定のヒント、広告宣伝費を圧縮して効果的に集客するための SNS 活用法などをレクチャーします。』

とある山岳ガイド協会から、自活したガイドビジネスを学ぶという講習会の案内が送られてきた。

所属ガイド2000名いる中で、このような講習が必要ニーズとして出てくることに落胆した。
受動的ビジネススタイルなど、山岳ガイドの世界にあり得るのか。

コロナ禍の中でこそ、お客様と常に向き合い、山に対する想いを切らさないよう活動することが今やるべきことであって、これからビジネス勉強会とは…。

緊急事態宣言中、ホントに家で殻に閉じていたのだろうか。
チコちゃんじゃないが、「ボーっと生きてんじゃねーよ」という感じだ。
これでは、新しい登山様式YouTubeやガイドラインを作ってもらわないと何も動けないはずだと納得できた。

所属ガイド全員が、自分から積極的に動いてこそ、良いものが生まれるはずだ。
ビジネス勉強会とか、ガイドラインとか、示されるものをじっと待っていたら、協会の中で講師と講習生の関係ができてしまう。(そうしたい人達がいるのだろうが)それは本来、プロ組織としては良くないのだと思う。

それと。
ガイド資格を取得し、これから活動するという若手は、山歴や資格ばかりに拘らず、自分にしか提供できないガイドスタイルを作って、お客様と常に目線を合わせて欲しい。

ガイド活動をタレント活動と勘違いしている方もいるが、それにはそれに見合うお客様しか付かないものだ。
飽きられたら終わり。
ガイドとお客様の関係は、最低5年、10年以上続くのは当たり前のことだ。
それには、カッコいいところばかり見せ続ける努力より、常に正直に目を合わせて接すること。
そして、自分にしか提供できないものを発信し続けること。

私も以前、映画に2本関わったことがある。
膨大な時間を取られ、本業のガイドに影響が出て、数名のリピーターのお客様を無くした。
それ以来、映画やテレビのオファーは受けないことにした。
そもそも、ガイドスケジュールを優先にしたらオファーを受ける余裕もない。(今では誰からも声が掛からないが)

テレビや映画に関わったり、○○○講師や、資格検定員や理事などをやりながら、尚且つプロとしてのガイド活動ができる人はスーパーマンだと思う。

コロナの中で様々な医師や専門家がテレビに出まくっているが、最前線で働いている医師は出演できる余裕がないことと同じこと。

最近は、本来黒子であるべきガイドが表に出すぎという気がする。
しかし、有名になるためにガイド業を選ぶ人もいるので、どちらか良いのかね。
私は黒を選ぶ。