マーク・トンプソン 「コンフィデンス」 部分
椅子に座る女性の表情。タイトルのとおり、これから打ち明け話でもするような表情。姉か友人かわからないが、お茶を差し出している。
壁に描かれた凸面鏡と吊るされたシャンデリア。ヤン・ファン・エイク(Jan van Eyck)の「アルノルフィーニ夫妻像(The Arnolfini Portrait)」におけるイコノロジー(図像解釈学)を感じさせる。
その鏡の中に、本作の画家、マーク・トンプソン の自画像が描かれている。反対側の光景を「ラス・メニーナス」(Las Meninas) のように意識させ、画家自身の存在感は、ヤン・ファン・エイクの自画像のように、そしてベラスケス(Velazquez)が描いた国王夫妻のように、画家自身を凸面鏡に置いた。その自画像はベラスケスのように絵を描いている画家。
二人の女性のドレスは19世紀のようだが、マーク・トンプソンは現代の画家だ。1948年にコロラドに生まれた。
マーク・トンプソン コンフィデンス
全体像からは、フェルメール(Johannes Vermee)の「恋文」や「信仰の寓意 」、「絵画芸術(画家のアトリエ)」 にみられるように、カーテンと市松模様の床。扉の奥の部屋の二人に視線を誘う。
ルネサンス美術の絵画を独自の視点でアレンジしたような作品。
凸面鏡の画家は、ラス・メニーナスのベラスケスの縁戚ドン・ホセ・ニエト・ベラスケスの位置をも思わせる。つまりいろんな見方ができる面白い作品だ。サミュエル・ファン・ホーホストラーテンの「ピープ・ショー・ボックス」 の1枚にも見える。
このマーク・トンプソンは、静物画 も作品に多い。
ヤン・ファン・エイク 「アルノルフィーニ夫妻像」 1434 ナショナル・ギャラリー
フェルメール 恋文(ラブレター) 1667-1670 アムステルダム国立美術館
しばらくの間、果てしなく楽しませてくれるマーク・トンプソンの1枚だった。
ほら、マーク・トンプソンがいる。・・・おしまい。