ヒューゴ・シンベリといえば「傷ついた天使」(Haavoittunut enkeli)が有名。アテネウム美術館とタンペレ大聖堂にある。


アテネウム美術館とタンペレ大聖堂には、そのほか「死の庭園」、「花輪運び」など、ヒューゴ・シンベリの作風の違った作品が、フレスコ画とエッチングや油彩でそれぞれ納められている。


記事 XAI 「ヒューゴ・シンベリ 傷ついた天使」


今回の作品は、その所蔵先アテネウム美術館にあるものだけれど、「傷ついた天使」のほうが話題性があるので、ちょっとマイナーな作品。





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ヒューゴ・シンベリ(Hugo Simberg) 「アダムとイヴ」(アダムとエヴァ) 1895 アテネウム美術館

宗教に関してまったく無知なんだけど、フィンランドは民間信仰の強いお国柄なんで、 ヒューゴ・シンベリのこの作品に「アダムとイヴ」(アダムとエヴァ)とあるのが不思議に思えた。


キリスト教の慣習とフィンランドの精霊信仰が、19世紀の ヒューゴ・シンベリの時代にどのようなかたちで融合されていたのかわからないが、現代は8割がキリスト教福音ルーテル派だと聞いた。


この作品をみて、蛇も禁断の果実もはなく、動物と男女、そしてヤハウェと思われる足だけが描かれていて、楽園追放の場面なのか?


エリアス・リョンロート(Elias Lönnrot)が1835年に編纂した「カレワラ」(Kalevala 民族叙事詩)には、登場してなかったけど。第50章で、マリヤッタのが漿果(果実)を食べた後に男の子を産むという話がある程度。


北欧ではアスクとエムブラ(Askr & Embla)が、アダムとイヴのように原初の人類となっている。





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ヒューゴ・シンベリ(Hugo Simberg) 「冬の納屋」(BARN IN WINTER) 1899 
アテネウム美術館 (C) VALTION TAIDEMUSEO 2006


フィンランドの「復活祭」のような作品。冬だから「冬至祭」だろうか。巨大な焚火の「コッコ」(kokko)は夏至祭が有名。タイトルのとおりに納屋を焼いている作品だとすれば、これは風物詩なんだろうか?


フィンランドの納屋といえば、トントゥ(Tonttu)の棲家。なんかフィンランドの歴史や行事、神話に関心が向いてしまうような作品。

トントゥ(Tonttu)と小人のエルフは同じだよね? → 記事 ヒューゴ・シンベリ エルフの王


あとで思ったんだけど、 「アダムとイヴ」のイヴの目の前にいる動物は、僕の別ブログでアップした「Satu(サトゥ)」(Satu Ⅱ)に描かれている動物に似ている。


記事 ヒューゴ・シンベリ(Hugo Simberg) 「Satu(サトゥ)」


そこにSatu(サトゥ)って何かわからなくて、女性の名前に多いと書いたのだけれど、女性の祖なのだろうか。