モーリス・ドニ バッカス祭


モーリス・ドニ 「バッカス祭」 1920年 石橋財団ブリヂストン美術館 フルサイズ でどうぞ。


2011年追記

モーリス・ドニの作品画像だけど、mixi、yahoo、livedoor、jugemをはじめ、僕らの仲間の記事から画像を無断で使用いている方が多いのだけど、「remove」、「kafka」、「XAI」、「sai」ほか仲間の署名が入った画像を、無意識に使用しているマナーが理解できなかったんだけど、僕のこの「バッカス祭」が、なんと商業用で使用されていた話にはびっくり。「絵画の調べ」なんだけど、なんで僕の「ブログ名」を入れているもの使用してるんだろう。そこで販売する絵画には、僕の「remove」とはいった作品を売るのだろうか?いつになったら変更するんだろうか。


ディオニュソス(ディオニソス)神話のディオニュソスは、ご存知のようにバッコス(バッカス)のことだ。ゼウス(ジュピター あるいはユピテル)とセメレの子。


ギュスターヴ・モロー の作品にもある、1895年の作品 「ユピテルとセレメ」(ギュスターヴ・モロー美術館)は、 ゼウスの本妻ヘラの策略によって、セメレが神ゼウスだという証を所望させた。生身の人間であるセメレは、ゼウスの証に焼け死ぬことになる。そういった場面を描いている。


ゼウスは、その炎につつまれるセメレが身ごもっていたを取り上げ、葡萄酒と祝祭の神 ディオニュソス(バッコス)は、誕生した。バッコスは母セメレを冥界から蘇らせたことでオリュンポス十二神の一人となった。


あるとき、農夫イカリオスのもてなしの返礼として、バッコスは葡萄酒を伝授する。イカリオスは、村の牧童たちに葡萄酒をふるまうが、葡萄酒に酔い、狂乱する牧童たちに、毒を盛られたと思い、イカリオスを殺す。イカリオスは葡萄酒の殉敎者となったのだ。そしてその娘エリゴネーは、縊死。


バッコスは怒り狂い、その村の娘達を狂乱に陥れ、縊死させた。これまたギリシャ悲劇の誕生である。ディオニュソスに捧げる悲劇(ギリシア悲劇)は、エウリピデスの悲劇に代表される。酩酊の神バッコスを祀る女性信者の禁断の儀式だ。


狂乱と陶酔の宴のバッコス祭。


楽曲では、ロッシーニの「バッカスの祭り」があり、サクソルンなどの特殊楽器を使う フローラン・シュミットの「ディオニソスの祭り」が名曲とされている。オペラやバレエでも上演されているが、シュトラウスの歌劇「ダフネ」にも、ディオニソスの祭りが登場する。


ちなみにサティの作曲したジムノペディ第1番のジムノペディとは、古代ギリシャ ディオニソス祭での弔いの舞踏で、戦死の冥福の踊り。


モーリス・ドニの絵「バッカス祭」は、フローラン・シュミットが聴こえてきそうな場面である。シンバルを鳴らす若者が描かれて、バッコスに捧げられる葡萄を高く持ち、獰猛な虎や黒豹をからかっている女?。聖書にある「怒りのブドウ」は、神の怒りと復讐をあらわしているが、この陶酔の場面では、酩酊の葡萄だ。


そして二頭の豹に引かせている2輪の戦車に乗っているのは、狩猟と貞節を司る女神ディアナ ではないだろうか。レオ・ドリーブ作曲、ルイ・メラント振り付けによる、バレエ 「シルヴィア(ディアヌのニンフ)」の第三幕では、シルヴィアの恋人である牧童が、バッカス祭を見つけるためにディアナの神殿につく場面を思い起こさせる。


モーリス・ドニの作品は、あざやかな色彩が特徴であるが、その鮮やかさに好き嫌いがあるのかもしれない。だが、そうした色彩に、癒される年齢になってきたようだ。彼の作品をみると、実に愉快な気分になるからである。


モーリス・ドニ


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