スーパーイリュージョン!
グランドホステスとして羽田空港で働いているときのこと
その日はゲートで、出発便や到着便を担当していました。
平日の昼間、しかも普段より予約率の少ない(空いている)日で、仲良しの後輩、Uちゃんとずっと一緒にゲート担当でした。激コワの先輩と一緒になることもあるので、ラッキ~
るんるん(死語)で日本海方面
へ行く便の担当をしていました。
この日はお客様の集まりもよく、出発10分前にはほとんど搭乗され、ゲートのモニターを見ると、あと数名。
ファイナルコールをかけます。「キーンコーンカーンコーン」(←羽田をよく利用される方なら分かるはず。Final call for ○○airlines, flight××~ってあれです。)
でも誰も来ません。お隣のゲートも空っぽなので、付近は人っ子一人いません。皆、ラウンジなのかなぁ・・・。
しばらくすると遠くから二人、こちらに向かって歩いてくるのが見えました。
全身真っ黒な服でサングラスをかけたかなり大柄の男性と、全身真っ白のカシャカシャ素材のジャージをお召しになり、顔が半分以上隠れてる、ものすーーっっごい大きなマスク
をしている小柄な方でした。
(あっ、怪しい・・・ 超ーあやしい!!)
怪しい人を見つけるのも、仕事のうちの1つなので、本当に怪しいのか、それともただ怪しい格好をしてるだけなのかを見極めるため、私達はその人を見つめました・・・・
どうやら小柄な方は女性のようです。しかも。。。これまた日本人形かいっ
てくらい真っ黒くそして腰あたりまである長い髪をしてらっしゃいます
(お、おぬし。何者・・・??)
Uちゃんと私は見つめ続けます・・・・
そしてゲートに近づいてきた瞬間、
(OH! テン○ー!!)
その怪しいお方は・・・なんと、スーパーイリュージョンのコーラを一気飲みする・・・・ではなく、スーパーイリュージョンの引田天○さんでした。
すっぴん+デカマスクでしたが、目元を見ただけですぐ分かりました。しかもお肌は透き通るくらい真っ白自分の横を通っただけでマジックにかかったような気分になりました
「うわ~ ビビッた~」 Uちゃと私はテンションあげあげで顔をあわせました。
「怪しいけど、きれいな感じだったね~」「うんうん 」と・・・後ろを振り向くと、もう通路に天○さんはいらっしゃいません。 今さっき通ったばかりだったのに・・・・
あれっ?? もっ、もしや・・・・これがウワサの・・・
テン○ーマジック???
「なんでなんで??」私達は頭パニック
「もしかしてシップ(飛行機)、天○マジックでもう目的地についてたりして。きゃ~」
「あはは。な、わけないじゃーん」
とチラッと窓から見ると・・・・ほんとにシップが見えない。
「えーーーーっ!!!まさか!!!」
ピュアだった(というかバカだった)私達は、あわててボーディングブリッジを覗きに行く
「あーっ・・、あるね・・・ 当たり前か。 ははは・・・」
ちょうどそこは、お隣のゲートとの関係で、当該ゲートから飛行機が見えないようなつくりになっていたのでした。
そういえば、先輩からそう習ってたんだった。いやいや、舞い上がってたね。いけない、いけない。
そうよ、プロとして、ゲートクローズまでが私達の仕事よっっ しゃきんっ!!
すると、残りのお客様がぱたぱたいらっしゃった。
私は満面の笑みで、改札機からチケットの半券をとり、お客様に渡しながら
(ようこそ!スーパーイリュージョンの世界へ・・・)と心の中でご案内した。
無事、そして定刻よりも前に、当該機は目的地へ飛び立っていった めでたし、めでたし・・・・