週末に母と、父の墓参りに行く約束をしたせいか、父の夢を見た…





建て替える前の実家を訪ねると、玄関に鍵がかかっていなくてするっと開いた。

不用心だなぁ…と思いながら入ると、いつもと居間の様子が違う。

カーテンが開いていなくて、ふたの開いた段ボールがいくつも並んでいて、何か作業中のよう。

何を始めたのかしら…と思っていると、居間のドアから段ボールを抱えた父が入ってきた。


びっくりして、「お父さん…」と声を上げると、父は段ボールを持ったまま、困ったように、照れたように笑った。

私はその場にへなへなと座り込んでしまった。


奥の三畳間から母が出て来たので、「何でお父さんが…?」と聞くと、近所にエプロン屋さんが出来て、そこでエプロンを買ったのよ…と、よくわからないことを言い始めた。

どうも、そのエプロンを買ったら父が帰って来たので、エプロンをたくさん買おうとしているか、材料を引っ張り出してエプロンを縫おうかしてるみたい。

だから、段ボールが並んでいるらしい…




次の日に訪ねると、また玄関の鍵がかかっていない。

ここで、夢だな…と目が覚めてしまった。



父が亡くなってから、父の夢を見たのはもしかして初めてかもしれない。

困ったように照れたように黙って笑う父の顔が、まだ目に焼き付いていている。


また見られるといいな…