イギリスのお菓子が好きで、今まで何度も作ってきた。


・スコーン(これはもう、いろいろなレシピで何種類も❣️)
・ショートブレッド
・トライフル
・パブロバ
・キャロットケーキ
・ジンジャーブレッド
・サリーラン
・メイズオブオナー(これはキューのニューエンズまでわざわざ食べに行ったなぁ…)
・ホットクロスバンズ
・ミンスミートパイ
・アップルクランブル……


イギリスでいろいろ楽しんで美味しかったと思うものや、本で見ておいしそうだなと思ったものなど、気の向くままに作ってきた。


でも、ずっと気になっているのに、食べたこともない、作ったこともないものが一つあった。

ヴィクトリア・サンドイッチ。





100年以上も前、ヴィクトリア女王がワイト島の別邸に滞在されていた時に供されて、女王のお気に入りになったと言われる、素朴な焼き菓子。


スポンジケーキにジャムが挟まっただけのシンプルなもので、どこかで見かけても、あ〜、前から食べたいとは思っていたけれど、今日はこちらのスコーンのセットにしようかな…などと、何故か食べる機会を自ら逸していたというか…


なんでかな、ずっと気になっているくせに、オーダーしたことも、作ったこともないとは。



そのくせ、自分がティールームを開くことがあったとしたら、絶対に置きたいお菓子でもあるの。


矛盾しているよね…


多分、憧れが強くなりすぎていて、ちょっとやそっとでは食べてはいけないような気すらしていると言うか…





そんな憧れのお菓子を、外出自粛しているこの数日、急に作ってみようという気になった❗️


子供達も家にいるし、作ったらすぐ味見してくれる誰かがいると言うのは気持ちも上がる。


朝ごはんも食べずに作り始めることにした。



参考にする本はいくつかあると思っていたけれど、イギリスで買ってきた本はセルフライジングフラワー使用のレシピのことが多いので、それは使えない。

普通に薄力粉とベーキングパウダーのレシピが載ってる本はないかしら…


探してみても、意外と見つからない。

せっかく作ろうと思い立ったのに、今日も作れないのかしら…とガッカリしそうになった時、一冊見つけた。


あ〜、良かった✨
これで作ろう。


でも、この本の中のお菓子は今まで作ったことがないから、美味しくできるかどうかは賭けだわ…


とりあえず材料は家にあるもので出来そう。

さっそく取りかかる…




そして、あんなに憧れていたお菓子は、意外と簡単に焼き上がったのだった。




間に挟むジャムは、本当はラズベリーらしいのだけど、うちの子達は好きじゃないので、ストロベリーに差し替え。


そして、バタークリームを挟むスタイルもあるらしいのだけどそれはカロリーが怖すぎるので、とりあえずホイップクリームを少し添えてみることにした。


起きてきた子供達にホイップを任せて、紅茶をいれる。

もちろん、こんな時には子供達の好きなチャイとかではなく、テイラーズオブハロゲイトのヨークシャーティー・ゴールド(普通のよりこちらがお気に入り❣️)を、ミルクで。


カットした感じはこちら…

う〜ん、切り口もかなりイギリス的〜❣️




さっそくお味見。


子供たち二人とも、一口食べて目を閉じ、ん〜🌟という顔。

え、そんなに美味しい⁉️
では、ママも…


ん〜✨🌟✨
何、この予想以上のお味は❣️




イメージとしては、普通のスポンジケーキにジャムを挟んだ、ごくごくシンプルなお菓子なんだと思っていた。

ところが、外側はカリッと中はしっとりずっしり、アーモンドプードルでも入っているかのような濃い味がする!✨


ええぇ、憧れのお菓子はこんな味だったのかぁ…


あれ? ママ、食べたことなかったの⁉️
じゃあ、これが正解かどうかもわからないの⁉️


そうなのよ〜、何十年も憧れ続けて、でも食べたことも作ったこともなくて…

そんなのおかしいよね。




でも、考えてみると昔から、行ったことのない外国の料理本とかを買ってきて、藪から棒に作ってみたり、といった楽しみ方をよくしてきた。


アジアのエスニック料理とか、実際に行く前に何度も作って本場の味もこんななのかな〜とか考えて楽しんでいたし、アラブ料理とか、南米の料理とか、未だに行ったことないけど何度も作ってみたことはある。


でもそれでも充分楽しんできたのよ。


実際に出かけないで、カウチに居ながらにしてガイドブックで旅行に行ったつもりになるカウチ・トラベラーならぬ、キッチン・トラベラーとでも言うのかな…



そして何年後か、何十年後か、実際にその国で食べる機会がやってきたとしたら、二倍楽しめるもんね、きっと。



子供たちは「良い日曜日だ〜✨」とご満悦で自分の部屋に帰っていった。

外出自粛で出歩けず、少し面白くない顔で家にいた二人だったけど、気分も晴れたみたい。


こんな時にこそできる楽しみ方もある。


家族みんなで、狭いながらも安心できる我が家で仲良くのんびり過ごす。

それができるだけで、実は充分幸せなんだよね。