昨日の夜、ベッドで中国の恋愛ドラマを見ながら寝落ちした。


そのせいか、悲しくて幸せな夢を見た。


それは、わたしの眠るベッドへ夫がすべりこみ、優しく抱きしめて、「何?」と言うわたしに、大好きだった夫の長い指で「シッ」と言いながら唇にそっと人差し指を乗せた。


確かに夫の温もりを感じながら、久しぶりに「熟睡できた。


夢のなかで夫のいる実感を感じながら、目覚める時に「夫はいないはずなのに」


そして隣りには誰もいない朝。


自然と涙が溢れた。


抱きしめられた温もりは、不思議と今でも残っている。


夫がトイレに行くにも大変になった時、153cmのわたしが、180cmの夫を背中に抱えて歩いた廊下。


お盆が過ぎて、夫は最後のお別れをわたしにしたのだろうか。


わたしは、きっと夫が大好きだったのに、夫の裏切りを許せなくて、日に日に弱る夫を全身で受け止められず、ある意味冷たかったかも知れない。


夫の側にずっといると、裏切られた事が許せず脳裏に浮かぶ。


それが苦しくてとうめで見ていた。


いつの間にかその事がわたしの心のシコリになって、自分自身を苦しめている。


16年もの単身赴任、やっと帰国したらあっという間に逝ってしまった。


夫婦2人の老後は夢で終わってしまった今、どうやってこの後を生きて行けば良いのだろう。


空いた穴は塞がらず、もう埋める事も出来ないだろう。