「明日の金曜日、仕事終わったら会えないかな」

健からのメールに応えるように、翌日18時に池袋西口の公園で待ち合わせた。

 

会うなり健は「環、なんか元気ないね?(笑)」「俺が告白しちゃったから?(笑)」とおどけて見せた。

健の顔つきは凛々しい方だった。切れ長の大きい目、筋の通った鼻、そして口元が上に向いた大きな口。そして長身細身。そんな身なりからは想像できない茶目っ気を、たまに出す時があった。

環は話し出した。昨日の事。そして健からの告白について、正直どうしたら良いか分からないという事を。

 

「俺だったら、環をそんな風に1人にはしない」健は言い放った。

「なんでこんなに可愛い人を…」

 

自分の想いをまっすぐに伝えてくるのが健だ。

あまりにも直截的な言い方に、環はまた顔を赤らめてしまった。

 

西口公園で、数時間語り合った。

空には北斗七星が煌めいている。

それを見ながら「どうしたら良いのだろう」と思いにふける環。

夫は自分への愛はない様子、かといってこのままこの人と関係を持つことは…恐らくダメだろうと。

 

「…あのさ、付き合ってくれないかな」

健の言葉に、また胸がキュッと締め付けられる環。

健は俯いている環の顔を優しく手で挟み、上に向け、その唇にキスをした。

 

環は28年生きてきて、こんなに感情の渦に巻き込まれてしまうようなキスは初めてだった。

ただただ、力が抜け、健の想いを唇から感じるままになっていった。