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「ぼくに与えられた 

    ぼくの一日を
    ぼくが生きるのを
    ぼくは拒む
 
自分を溶かし出してしまうような光を恐れ、寧ろ輪郭をはっきりと描き出す影や、いっそのこと存在をかくまってくれる闇を愛し、晴天の日よりは雨の日の方が機嫌がよかった。
十代半ばにして生を疎み、白雪姫やシンデレラよりは月に帰るかぐや姫に心を打たれた。
可哀想だと思ったのではなく、羨ましかったのだ。
自分を取り巻いている存在や思惑がうっとうしくてたまらず、媚びない程度の微笑を愛用することで友人同士の馴れ合いからも半目からも器用に身を遠ざけていた。誰にも何も期待してはいけないと自ら戒め、相手の横暴は許しても、わかったような同情やいたわりには必ず冷笑で一矢を報いずにはいなかった。」
 
 
 
 
 
大好きな小説。松村栄子の 僕はかぐや姫。
2006年のセンター試験の国語の小説の問題にもなったから、どこかで読んだことがある人もいるかもしれません。
 
 
初めて読んだとき、この主人公の気持ちがすごく分かる気がして辛くなるくらいに心が痛かった。
痛くて、優しくて、切ない。
 
 
太陽のように美しくて明るいものを恐れて、ハッピーエンドな物語よりは月に帰るかぐや姫を羨ましく思う。
 
 
 
 
 
 
「女らしくするのが嫌だった。優等生らしくするのが嫌だった。人間らしくするのも嫌だった。そう感じたのはいつ頃だったろう。器用にこなしていた<らしさ>の全てが疎ましくなって、すべてを濾過するように<僕>になり、そうしたらひどく解放された気がした」
 
 
 
 
 
 
若くて、子供でも大人でもなくて、「あたし」ではなく「わたし」、「わたし」よりは「ぼく」。
 
 
大人になるってどんなことだろう。大人ってなんなんだろう。
 
 
 
そんなことを考えさせられる物語。
 
 
 
 
 

 

 

私は作家の辻村深月さんが大好きで、初めて読んだ辻村さんの作品が「凍りのくじら」
 
 
 
「あなたの描く光はどうしてそんなに強く美しいんでしょう」
 
「そういう質問をまま受ける。私の撮る写真についての話だ。それに対する私の答えは決まっている。
暗い海の底や、遥か空の彼方の宇宙を照らす必要があるからだと。」
 
 
 
 
何気なく立ち寄った本屋さんで何気なく手にしたこの一冊。
そして何気なくめくったページにあった、この文章。
 
 
 
それだけで、私は辻村さんの書く小説の虜になりました。
 
 
 
辻村さんの書く文章は本当に繊細で、普段私が言葉に出来ない感情を綺麗に言葉に表してくれているから、そう!こういうことが言いたかったの!って思う瞬間がたくさんある。
 
 
言葉にできない気持ちの方が人はきっと多いから。
だからこそ伝えたくて、伝わらない歯痒さがもどかしくて。
 
 
 
 
私にとって辻村さんの表現や選ぶ言葉たちは、そんな私の不器用な気持ちを代弁してくれている感じ。
 
 
 
どちらかというと女性向きの小説を書く作家さんだと思うけど、読んでいてどんどんストーリーの中に引き込まれていく感じ。
時に涙が出そうになったり、ハラハラしたりする。
 
大好きな誰かを一生懸命に小さな身体で守ろうとする少年がいたり、凍りのくじらだけじゃなくって本当にすごく素敵なお話を書く作家さんだから、たくさんの人にも読んで欲しいなあ。
 
 
 
 
 
 
いつか辻村さんの小説を全部集めて本棚に並べるのが密かな夢なのです。
 
 
 
 
 
xoxo

 

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