見送るV | A Votary of V4V

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映画 V FOR VENDETTA にハマってしまった自分のための備忘録(ネタバレ)

恐怖を克服したイヴィーはシャドウ・ギャラリーを出て行ってしまう。出て行くイヴィーと見送るVのやり取りは観ているのがつらくなるんだけど…、このときVはどういう心境だったんだろうか。

Vは、出て行くというイヴィーに対して、「わかっている。」「もう鍵のかかったドアはない」と言い、引き止めはしない。手紙を書いたのはVだと思っているイヴィーを、Vはヴァレリーの聖廟へ連れて行く。恐らくは彼の、シャドウ・ギャラリーの一番の深淵だったんだろうと思う。その場所へイヴィーを案内する。

ヴァレリーが実在することを、手紙を書いたのがVではなかったことを知らせれば、イヴィーが思いとどまるのではないかと期待したのかな?って、私はまた女脳的にそう思っていたのだけど、ここはやはり哲人V、そんな動機では動かないだろうな。

自分と同じ経験をして、同じようにヴァレリーの手紙によって覚醒したイヴィーには、ヴァレリーが実在の人物であることを知らせるべきと最初から考えていたんだろうと思う。

ヴァレリーが実在したこと、あの手紙が本当にヴァレリーという女性が書いたものであるという事実は、イヴィーの精神をより強く保ってくれるはずだし、それを知らないことには覚醒は完了しなかっただろうと思う。

ヴァレリーの聖廟を見せれば、イヴィーの強さがより確かなものになり、そうすればイヴィーは本当にVを必要としなくなりシャドウ・ギャラリーを去って行くことになるだろうと、Vには解っていたんだろう。

ヴァレリーの聖廟に案内するということは、Vにとっては、その仮面の下を覗かせるのと同じくらいの意味があることだったんじゃないかと思うわ。

しかし彼を唯一理解できる存在となったはずのイヴィーは、それでもやはりVの復讐には共感しなかった。覚醒後のイヴィーに理解されなくて、一体他に誰が彼を理解し共感し支持することができるんだろう?でもイヴィーがVに突き付けた答えは"MONSTER" だったんだ。Vは空虚感を味わったんだと思うなあ。

イヴィーは拷問を受ける前後でまるで別人のように変貌を遂げた。それがこの映画の肝の一つだと思う。だけど、この時のイヴィーの発言には『なぜそんなことを…!』と恨まずにはいられない。Vったら、黙って俯いちゃったしゃないか!

このとき、自分の復讐心をイヴィーに理解されなかったことが、後に新しい世代を代表としてイヴィーに地下鉄のレバーを委ねることを考えるきっかけになったんだろう。

このときはVはまだ、イヴィーに対する自分の恋心に気付いていなかったかもしれない。イヴィーが自分と同じように覚醒したことをVはきっと喜んだと思うし、自分の元を去って行くことも予見できていたコトのはずなのに、この胸を裂くような辛い気持ちが何なのか、はっきり分からなかったかも、と思ったりする。

または、薄々気付きつつあるその恋心を認められずにいたのかもしれない。『まさか、この私が恋をするなど…、あり得ないことだ…。』なんて、戸惑っていたかも?

イヴィーが出て行ったあと鏡で自分の姿を見て、イヴィーにMONSTER と言われてしまったこと、「血の復讐」を理解されなかったことなどを考えた。心に穴が空いたような言いようも無い喪失感に襲われたかもしれない。そして、こんなにも辛く、淋しいのが何故なのか、気付いたのかもしれない。『まさか、本当に自分は彼女に恋をしているのか。』そして同時に、『彼女に否定された』のだということも。

Vがヴァレリーの隣の監房に閉じ込められて拷問を受けていたということはイヴィーに伝わったけど、そこで恐ろしい人体実験までもが行われていたことや、Vがその唯一の生き残りであったこと、プロセロやリリマンの罪などまでは伝わらないですよね?なんというか…『女相手には、ちゃんと言葉で言わないと伝わらないのよ!V!!』って言いたくなる…。私たちはラークヒルの地獄を知っているけど、肝心のイヴィーはそこまで把握せずにVをモンスター呼ばわりだなんて…!!もう!ヒドイ!


まーー、ぜんぶ想像というか妄想なのですけど、この段階でVは観客の心を確実にグワシッと鷲掴みにしたことでしょう。こういうVの憂いがなんとも言えずイイのです。特に女性には堪らんでしょうな?

最近は原作コミックの鉄人的というか超人的なVもカッコいいなぁと思うようになったんだけど、それでもやっぱりこの映画版Vにはメロメロなのです!