変化したノロウィルスの菌、インフルエンザの猛威、蚊が媒介する病気の復活、こんな時代を生きながら周りを見渡すと、
「敵を駆除すること」
に躍起になる人の姿があちこちに見える。
おかげで現在では耐性菌なるものもあり、発達センターでは中耳炎を抗生剤で治療し過ぎた事が背景にあるケースもたくさん遭遇している。(耐性菌についてはこちらをクリック→クリック)
けれど病院に頻繁に通い、薬をせっせと使う人に
「薬はあまり使わない方が良いですよ」
とか
「薬には副作用と呼ばれる作用がありますね」
というような事は口に出すこともはばかられると感じることも多い。
きっと昔は、寒ければ生姜湯を飲み体を温めたり、ケガをしたところに庭先のアロエを切って塗ったり、咳が出たらオオバコを煎じたり、風邪が流行する季節にはみかんを食べてビタミンCを補給したり、ということを当たり前のように行っていたのだろうけれど、今はそういう風に病気に対処する人はほとんどいない。
以前テレビで、小林製薬の社長が
「今は芳香剤の時代ではなく、消臭剤というネーミングのものこそ求められる時代だとピンときたんです」
と話していたが、病気というものに対しても、「徹底的に消し去る」「対峙する」時代になったのである。
その結果、抗生剤の使い過ぎが耐性菌を生み出してきたように、徹底的に排除しようという風潮が「排除できない力」をもたらしたのである。
であればこそ、大切なのは「消し去ること」や「新しい強烈な薬」を開発することではなく、自然界の力をもう一度きちんと検証して学ぶ事、そして、自分の体の仕組みをきちんと各自知ることではないだろうかと思う。
医者がいるから自分の体の事は知る必要がない、
発達センターがあるから我が子の教育については家では考えなくて良い、
胃薬があるから暴飲暴食しても良い、
ということではなくて、どんな専門家がいたとしても、「生きる」ということについては自分が最終責任者であるということは忘れてはいけないし、そのためにも、もっと貪欲に自然界に目を向け、自分でできる養生法を身に付けることが肝要なのではないか。
私はロジャー・モリソンのホメオパシー講座を学んで以降、ホメオパシーレメディもほとんど使用しなくなったし、病気に対する考え方もすっかり変わってしまった。
西洋医学の薬であったとしても、ホメオパシーレメディであったとしても、いつ・どれだけの量をどの頻度で使うのかをよく知らないで適当に使えばどんなものも毒であることも良く分かったし、大切なのは
「今自分の体がどういう状態にあるのか」
「今の状態に必要なのは一体何か」
をきちんとアセスメントできる力の方だということも充分理解できたからだ。