この本の作者、アンドルー・ワイルは、医学博士であり、あらゆる医療に造詣が深い。
「本気で患者を治したい」
と思っている医師だという事の証明でもある。
(患者の命に鈍感な治療者は、往々にして他の療法に否定的)
さて、この本は随分昔の本なので、今ではアマゾンで投げ売りもされているのだが、
ホメオパシーを学ぼうとしている人に特にこの本をオススメもしたい。というのは、この本は日本にあふれる”奇跡を起こせるホメオパシー”が綴られたブログと違い
「ホメオパシーでは治らなかった例」
がたくさん紹介されているからだ。ホメオパシーの詳細な説明はいまひとつではあるが、ホメオパシーの得意・不得意分野は見事に書かれており、ホメオパシーを学ぶべきかどうか、ホメオパスにかかるべきかどうかの指標にもなる。
「第3部 もし病気になったら」という章では、
各種代替療法と現代医療をどのように使い分けるのか、各種代替療法の細かな説明と、
またそれをふまえて、病気ごとにどういった療法が有効で、どのようなライフスタイル・食生活を心がけるかも丁寧に解説されている。中でも、
「治癒経験者の話を聞きに行く事」
は重きが置かれ、繰り返し述べられている。 「癌患者がするべきこと」の項目から抜粋すると
「癌治癒の経験者、できれば自分と同じタイプ、ステージの癌が治った人を探し出すこと。治癒にかんする本などを読み、自分の治癒力にたいする自信を深めること」
という具合である。
えてして、病院で聞かされる話というのは、リスクに重点が置かれる、
「手術がうまくいったとしても、こういった危険性がある」
「5年以内にこうなる可能性もある」
「でも投薬をすれば 確率的にそのリスクが30%ほど減る」
などといった類である。しかし患者にとって重要なのは、リスクを覚悟する事ではなく、希望を強く持つ事だと思わされる本である。
随分昔、アナウンサーの逸見政孝氏が、
「私は癌にかかりましたが、必ず生還します」
というような記者会見を行った事があるが、その時、看護師をしていた妹が
「あのような会見を開いて、結局助からなかったら・・・ 患者さんたちは ”あんなに頑張っても結局はダメだった”と思ってしまうから、会見をするからには生還してもらわないと!!」
と憤慨していた事もある。(結果は残念なものとなり、やはり多くの癌患者の希望の光はスパークして散ってしまった)
けれど医師の判断に反する治癒例というのは、実際は多く起きているらしい。
例えば発達障害の教育のパイオニア、エジソンアインシュタイン協会の本には、医師や心理士の
「絶対無理」
の判定から、目を見はる改善をしているケースが、詳細に数多く報告されてもいる、
希望にあふれたアンドルー・ワイルの本は、多くの人に手にしてもらいたい1冊である。