今から10年以上前、とても腕の良いカイロプラクターの所で随分お世話になった。
ここで施術を受けるとすぐに調子が良くなっていたのだが、その後、夫の転勤に伴い、もうそのカイロプラクターの施術を受けられなくなってしまった。
引っ越した後も、私は何度か腰や骨盤の調子を崩し、そのたびに口コミ(ネットや知人の口コミ)を頼りにカイロプラクターの元を訪れている。しかし10年以上前に味わったような経験は得られていない。
さて、その素晴らしいカイロプラクターに施術をしてもらっている時、私は
「こんなに素晴らしい仕事、子どもさんにも継いでもらいたいですよね」
と言ってみたことがあった。カイロプラクターは
「いえ、私は自分の子にはこんなに辛い仕事はしてほしくありません」
と即答だった。とても意外な答えに
「そんなに辛いですか?」
と尋ねると、
「患者さんを診て、自分の施術で本当に良くなったのか、良くなっているのか。良くなる速度が思わしくなければ何が原因か考えると夜も眠れないですよ」
との事。
私はとても感動した。
そして、「きっとここまで真剣に考えてくれる人だから、こんなに素晴らしい施術ができるんだ」と納得もした事を覚えている。
また、15年くらい前に、動物占い(=個性心理学)でクライアントを次々にとっている女性に占ってもらった時、
「私はこの仕事が楽しくて楽しくて仕方ないですよ。また誰か困っている人がいたら、私がすぐに見ますから紹介して下さい」
と言われ事もあったが、結果的にはこの人の占いはとても雑で、自分が救われたとは ちっとも思えなかったものである。
自分の仕事が「楽しい」というのはとても良い事のように聞こえるし、風水的には、「幸せいっぱいの人」に診てもらった方が自分も幸せになり「そうな」気はする。
でも、やはり私は クライアントのため、患者のために日々苦しみ、だからこそ研鑽を惜しまない施術者を選びたい。患者の痛みを自分の事のように考えてくれる人ならば、必ず間違いのない施術もしてくれる。けれどそういう施術者を見極める事は、口コミやネットではとても難しいので、基本的には
「これをやれば 人生変わりますよ」とか
「誰か紹介して下さい」
などと軽々しく口にする人は、私としてはあまり信頼しないことにしている。
ハーネマンカレッジの講師であり、医師であるロジャー・モリソンとジョナサン・ショアは、患者のための一つのレメディを決めるのに、一晩中討議する事もある。そしてレメディ投与後に作用が得られなかった時はありとあらゆる可能性を全て丹念に検討する。
ホメオパシーとはこんなに厳しいものなのだということを、先生の経験談を通じて毎日かみしめている。