4月30日、新番組「まつもtoなかい」がスタートした。初回のゲストは香取慎吾さん。MCである中居正広さんがマッチングゲストという異例のスタートで幕を開けた。

 

 登場から何を考えているかわからない表情をしつつ、一言も発しない香取さん。SMAPはバラエティ番組で、特にメンバー間においては、このような予定調和をぶち壊すアクションをとることがある。「俺はこう出るけどお前はどうする?」というメンバー間の競争心が垣間見えつつ、メンバーのスキルを全面的に信用していないと取れない行動だ。それをかましてきたのか、それとも久しぶりの共演に固くなっているのか。しばらくかわしていた中居さんだが、意を決して自分の療養中の話を切り出していく。

 

 基本的に中居さんは自分の話をすることを良しとしない。MCとしてゲストの話を最大限聞き出すことを自分の信条としているように感じる。しかし今回はマッチングゲスト。最初にすかしてきた香取さんに対して、自分に関する視聴者が最も聞きたい話をド直球で投げ込んできた。久しぶりの共演を感傷的なものにせず、SMAPらしいバチバチのトークを繰り広げた2人は、さすがとしか言いようがない。松本さんが番組内で発した「SMAPは脅威だった」も、ご祝儀的なものではなく本音であろう。

 

 後半の歌の部分は、「架空の歌番組にゲストで登場する香取さん」を見に来たお客さんが、まさかの香取さんと中居さんの共演に涙するという感動の結末。「まつもtoなかい」は笑いと涙溢れる、最高のスタートを切った。

 

 正直、SMAPの再共演は当分ないかなと思っていた。中居さん、木村さんはもとより、稲垣さん、草彅さん、香取さんの仕事も順調で、共演する意義が見えない。SMAPの共演はその先がなければ意味がなく、今、むやみに共演したところでそれは点にしかならないだろうと感じていたからだ。しかしここにきて、中居さんの療養、ジャニーズ事務所の醜聞、「まつもtoなかい」スタートと、共演の意味が急激に現れ、そのタイミングであっという間に実現に至った。今回の共演とそれまでの盛り上がりは、SMAPのto be continuedを改めて印象付けただろう。以前、中居さんが「SMAPは『。』が付けられなかった」と語っていたが、それはどうも違うようだ。周りがSMAPに『。』を付けさせないのだ。

 

 それにしてもSMAPはリアルとファンタジーの行ったり来たりが本当にうまい。「まつもtoなかい」というファンタジーの中で、SMAPの継続性のリアルを見事に示してしまった。「SMAP再結成」はよほど機が熟さないと行わないだろう。周りの状況がそれを求めなければ、当人達の意志だけでは許されない、SMAPはそれ程のスーパーグループだ。しかし、SMAPならばその奇跡を叶えてしまうのではないか、と思えるインパクトを、今回の共演はもたらした。