最近よくKing & Princeの動画を見るのであるが、高橋海人さんのダンスから目が離せない。特にichiban (Special Dance Clip YouTube Edit)の高橋さんは凄い。メンバーが躍る中を縦横無尽に泳ぎ回っているといった印象を受ける。一人だけリズムを倍刻んでいるのではないかと錯覚する位ダンスにキレがあり、ジャケットの襟をつかんだり顔を手でなでたり手先に表情を付けたりと、とにかく常に遊びを入れている。これは振り付けを完全に自分のものにしている証拠で、遊びの部分に神経を注ぐ余裕がなければできないことだ。

 

 また、表情が素晴らしい。最初はアイドルらしいキメ顔をしているが、すぐに踊ることが楽しくてたまらないといった顔に変わっていく。そしてその後、段々と恍惚とした表情に変わっていき、やりきった顔で曲は終わる。本人にそんな意識はないのかもしれないが、そのダンスからは、少年性から青年性、ピュアリティからエロスといった様々な表現を感じさせてくれる。凄いと「感心」する踊りはこれまで何度も見たことがあるが、鳥肌が立つような「感動」を覚える踊りが、高橋さんにはある。

 

 一方で、高橋さんのダンスがKing & Princeの柱となり得るかというと、それは難しいように思う。とにかくスピードが速く遊びが多いので、仮に高橋さんをメインに据えたパッケージをTVで見ると、おそらく視点が定まらなくなってしまうのだ。そこを、エンターテインメントとして成立させているのが平野さんだ。平野さんのダンスは、力強さと華という相反する2つのものを含んでいるので、グループの集合体として安定感をもたらすと同時に、強烈な華をも放つ。平野さんがいるからこそ高橋さんは自由自在に自分の踊りができ、また高橋さんのダンスがあるから平野さんの力強さとセンターとしての輝きが倍増している。

 

 それにしてもKing & Princeのダンスは本当に素晴らしい。とかく2人が注目されがちだが、岸さん、神宮寺さん、永瀬さんのダンススキルも相当だ。この3人のダンス歴はよくわからないのであるが、ジャニーズ事務所に所属してからだとしたら、相当な練習を積み重ねてきたことは容易に想像できる。「世界を目指していた」というのは、5人全員の総意だろう。そしてこれだけのスキルを積み上げた5名が、自らその夢を諦めたとは思えない。3名の脱退、退所の理由の1つにメンバー間の方向性の違いが挙げられていたが、それは単に世界を目指す人と、国内の芸能活動を続けたい人に分かれたのではなく、何らかの理由で世界進出の夢が破れた後の、各々の方向性の違いだったに違いない。

 

 私がKing & Princeの動画を見るようになったのは昨年の11/4以降である。自分の勝手な感傷であることは十分に自覚しているのであるが、それでもやはり彼らのダンスを見る度に「もっと早く気が付かなくてすみません」という気持ちになってしまうのだ。