◆科学的事実と合致しない若い地球説
これまでの記事では、進化論がいかに科学的事実と合致しないかを多くの例で示してきた。
しかし、今回は、聖書の創世記の文字のごとくに神の創造がなされたと主張するキリスト教の若い地球説の問題を指摘したい。同説を唱える主に福音派のキリスト教は進化論批判に多大な貢献をしてきたのは事実だが、この説自体が現代科学と合致しているのか、ということである。
ひと昔前の映画『天地創造』をご覧になった方も多いだろう。
聖書の創世記第2章7節に「主なる神は土のちりで人を造り」と書かれているので、まさに人間始祖は土からニョキニュキと一気に創造され現れたと、真実であるかのように映画では描いている。
筆者が20代で初めてこの映画を見たときは創造とは、こんなものだったのか、「ふーん」という思いだけで、検証しようもなかったのだが。
では、若い地球説とは何か、ウィキペディア確認しておく。
若い地球説(わかいちきゅうせつ、英語: Young Earth creationism、略称:YEC)とは、創造論のうち、神による天と地とすべての生命の創造が短い間になされたとする説。現代科学の長い年代を否定し、紀元前数千年前から一万年前の間に、聖書の創世記にある通り、24時間の6日間で世界が創造されたとする。特殊創造説とも呼ばれる。
創造科学でも若い地球説が主張されている。
若い地球説はアメリカでは支持者が多く、創造博物館がつくられるほどである。創造博物館についてウィキペディアの解説をみると、
創造博物館(そうぞうはくぶつかん、英語: Creation Museum)は、アメリカ合衆国のケンタッキー州ブーン郡ピーターズバーグに建てられた博物館。創世博物館とも訳されている。創造科学と若い地球説を支持するキリスト教弁証学的布教団体アンサーズ・イン・ジェネシス(Answers in Genesis)が2007年に設立した。
同館は旧約聖書『創世記』の字義通り、記述そのままに天地創造がなされ、科学的にも実証できるという立場(創造科学)をとり、進化論を否定する。また、地球の年齢は数千年とする若い地球説を支持している。この主張に基づき、ヒトと恐竜が同じ時代に生活する様子を表現した展示物も置かれている[1]。
2009年には無神論者の招待を企画し、これに応じた学生団体のメンバー304人が同年8月7日に創造博物館を訪れた[2]。
アメリカでの創造論と進化論の議論は盛んであり、米世論調査企業ギャラップ(Gallup)が2010年2月11日に発表した調査結果によると、進化論を信じていると答えた米国人は40%であり、過去10年間に行われた調査においても、44-47%の人が創造説を支持している。
若い地球説は、聖書の文字のごとく創造は紀元前数千年前から1万年前の間に、24時間の1日として6日間で行われ、アダムが土のちりから一気に創造されたということである。
しかし、まず、最先端の現代科学は、ビッグバンの始まりは138億年前、地球誕生も46億年前としている。これは科学者たちがもはや異論をもたない事実であるが、数千年前に宇宙や地球ができたという若い地球説の主張はこうした事実と合致しない。
次に、以前の記事で書いたように生物科学などが解明した事実が指し示すのは、約40億年前に海の中に創造された最初の生物である単細胞生物から段階的にDNAが書き換えられて、最後に人間が生まれてきたということだ。
なぜ生物が個別に創造されたのではなく、段階ごとにDNAが書き換えられることによって創られたと明快に言えるのか?
前の記事では触れなかったが人間のゲノムには、マウスのゲノムを比較すると、まったく同じ配列のところが存在するという。以下のサイトによれば、2・5%が共通。
https://wired.jp/2002/12/09/マウスゲノム解読%ef%bc%9a「99%ef%bc%85までヒトと同じ」の意味/
これが意味するのは、最初の生命から人間までの約40億年の生命の歴史において、DNAが共通の土台であったことである。情報をのっける土台として使われているのがDNAで、その情報が偶然に生じたのか、知性から来ているのか、である。
進化論では、共通の祖先からDNAに偶然の変化が積み重なって枝分かれしていき、一方は、マウスに、一方は人間になっていったというストーリーを展開する。だが、偶然の方法では、遺伝情報は現れることはできないことは前に説明した通りである。
科学的事実を総合して考えると、これが最も納得のいく答えは段階的創造である。段階ごとのDNAの書き換え、つまり新たな情報の創造の起源は知的デザイナー、はっきり言えば神から来ると考えるのが最も合理的である。
つまり、雄、雌の繁殖行動の際のDNAの書き換えというステップが繰り返されて、最後は人間の体にもっとも近い生物のペアが繁殖行動したときDNAが書き換えられ、人間始祖のペアが誕生(双子だったか、アダム、エバと順に生まれたのかはわからないが)したというわけである。
なぜ神が個別の創造という方法ではなく、約40億年という長い時間をかけて段階的に創造してきたのか、これは宗教的観点から、もっと言えば、神のみ言を深く求める中で解かれなければならないだろう。
今回問題にしたいのは、唯物論への盲信に陥っている進化論と同様に、多くのクリスチャンが、科学的事実に反するにも関わらず、聖書の文字を全部そのまま、そのごとくに盲信しているということだ。
特に創世記に関しては、科学が解明した事実を尊重して聖書の表現を読み、真実を悟っていくというのが本来の姿ではないのか。科学的事実と合致しないのに、若い地球説を人々に主張し続けるのは、古い考えに固執してガリレオの地動説に反対したカトリック教会の指導層の姿勢と変わりがないではないか。
こうした硬直的な姿勢がダーウィンの進化論の台頭に、そして現代の進化論支配に力を与えていると考える。一般の人々は、「若い地球説は科学の否定だから進化論のほうが説得力がある」と考えるからである。進化論撲滅のために、若い地球説を支持してきたクリスチャンには再考を求めたい。
