「天ちゃん、帰ってるんでしょ?」
「天蓬なら今、風呂入ってんぞ?」
下界に討伐に出ていた幼なじみを訪ねた私を出迎えてくれたのは、見ず知らずの男の人だった。
少し着崩した軍服。
天ちゃんとは違った煙草の匂い。
しまった、部屋を間違えた?
頭が真っ白になった。
「彼女、大丈夫?」
少し低めに響くその声で、我にかえった。
「ごっ、ごめんなさい。部屋を間違えたみたいです」
慌てて部屋を出ていこうとした私に、その人は笑いながら言った。
「天蓬の部屋だろ?間違ってないぜ、輝ちゃん」
名前を呼ばれて、思わず振り返った。そこには、さっきの男の人が、煙草をくわえたまま、ニンマリと笑っている。
私、こんな人知らないよ?
てか、なんで私の名前、知ってンのよ?
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