前回の記事では、人間の行動は以下の等式によって決まる、という話を綴りました。
B = M・A・P
それぞれ、Behavior(行動)、Motivation(やる気)、Ability(能力)、 Prompt(きっかけ) を意味しています。
この等式の表す意味は、人がある行動を取るか否かは、
その行動をどれだけ取りたいと思っているかを表すやる気と、
その行動を取るために必要とされる能力と、
その行動を取るためのきっかけ、
この三つの要素によって決定される、ということです。
私たちは概して習慣形成を試みるときに、やる気というものに依拠してしまいがちですが、
人間のやる気というものは、日々絶えず変動しているもので継続性が乏しいため、
やる気を拠り所に習慣形成を試みたとしても、多くの場合失敗に終わってしまうことになる、
というのが前回までの話でした。
前回紹介した書籍の中で以下のような行動曲線というものが紹介されていました。
縦軸がmotivation(やる気)、横軸がability(能力)を示しています。
曲線の下側が(A)領域で、曲線の上側が(B)領域です。
(A)領域は、行動を起こすためのやる気と能力の合計が十分に高くないため、
行動のためのきっかけを与えられても、人が行動を起こすことがない非行動領域です。
非行動領域に入る行動の例としては、学習やダイエットなどがあります。
(B)領域は、行動を起こすためのやる気と能力の合計が十分に高いため、
行動のためのきっかけを与えられれば、人が行動を起こすことになる行動領域です。
行動領域に入る行動の例としては、スマホやゲームなどが挙げられます。
健康維持のため、自分の能力向上のため、私たちはダイエットや学習などの習慣を身に着けようとしますが、
その際に多くの人は、意志の力を使って習慣形成を試みます。
しかし、人間の意志というのは、熱しやすく冷めやすい、
その日の気分によってコロコロと移り変わる持続性の低いものであるため、
習慣というある行動の継続状態を維持するために、第一に頼るべきものではないのです。
それではいかにして、行動曲線の下側にある、私達をより良い状態に導いてくれるであろう習慣を身に着ければよいのでしょうか?
それは、行動曲線の横軸、つまり能力を調整するということです。
図示すればこういう事です。
ダイエットや学習は、行動曲線の②の場所に位置する行動です。
決してモチベーションも高くなく、その行動を遂行する能力も高くない。
これらの行動を行動曲線の上側に持っていくための方法には、二つあります。
一つはやる気を出す、というものですが、先ほど書いたようにその方法には持続性がないため、
習慣の形成は往々にして失敗に終わります。
もう一つの方法は、ある行動を取るための能力を調整するというものです。
その行動を取るための能力が十分に高ければ、
やる気があまりないままでも、状態を行動曲線の上側(図中②´)にシフトできるため、
人は行動を起こせるようになるという事です。
それでは、ある行動に対する能力を如何にして上げるのでしょうか?
長くなりましたのでこの続きはまた次回に。