夏休みも中盤に差し掛かり、一緒に学習している受験生たちも気持ちが切り替わり、集中力が増してきたように感じます。
やはり目標が決まると、モチベーションも上がってくるのでしょうね。
この仕事をしていて幸せだなぁと感じるのは、そういう子どもたちの表情を見たときです。
何かに集中して一生懸命になっている人の表情というのは、輝いて見えるものですね。
日本の受験は詰め込み式が良くないとたびたび批判の対象になります。
大量の情報を闇雲に記憶させるだけの学習で、考えさせることがないという批判です。
確かにそういう一面があることは否定できないと思います。
ただ、頭の中に様々な知識が蓄積されているからこそ、物事の真偽を見抜くことができ、新しいアイディアも湧きやすくなる、という良い点もあります。
どんなことでも、一方的な意見に流されず、良い点、悪い点の両論を併記し判断すること、複眼で見ることが大切です。
とにかく、日本の高校受験、大学受験では避けられないのが「記憶」です。
そこで、数回にわたり記憶のメカニズムとともに、効率的な記憶方法について綴ってみたいと思います。
「記憶」ということを話題にしたときに、記憶することが得意という人よりも、「全然覚えられない」という人が多いように感じます。
でもそれは当然のことなのです。
私たちは日々生活する中で、さまざまな情報を脳にインプットしながら生きています。
目から入ってくる情報、耳から入ってくる情報、鼻から、皮膚から、味覚から。
私たちはさまざまな情報に触れながら生活しています。
脳内には一千億個の神経細胞が存在すると言われていますが、そのすべての情報を漏らすことなく記憶していたのでは、脳はあっという間に容量不足になってしまいます。
だから脳は覚えるよりも、忘れる事を基本にしているのです。
そういう背景が分かれば、覚えられないことのほうが当たり前であると納得できると思います。
それでは、覚えておくべき情報、忘れてよい情報を、いったいどこで判別しているのでしょうか?
その判別を行っているのが、海馬と呼ばれる太さ一センチ、長さ五センチほどの脳の部位です。
この海馬が必要と判断した情報だけが、記憶として脳の大脳皮質に保管され、それ以外は廃棄されるようになっているのです。
それでは、海馬に必要な情報であると認識してもらうためにはどうしたらいいのでしょうか?
続きます。